それ、認知症かも? 家族ならではの「認知症4つの見極め方」
生活の中で、さりげなくチェックしよう
【1】電話でテストを受けてみる
家族は異変を感じていても、それは、認知症の一歩手前であるMCI(軽度認知障害)の可能性もあります。
認知症を発症してしまうと、ほとんどの場合は根治が難しく、進行を遅らせることしかできません。しかし、MCIの場合は、認知症の発症を防ぐこともできますし、回復することもあります。
MCIをチェックする方法のひとつに、「あたまの健康チェック」(https://info.ninchisho.net/mci_check)というテストがあります。10分の電話によるテストで、オペレーターと話しながら診断を受けます。後日結果が郵送され、内容物が分からない状態で届きます。価格は3000円(税抜)で、97%の正確性を実現しています。
注意すべきポイントは「ここに電話してみて!」という、丸投げではいけません。ご本人は認知症という意識がないのですから、「わたしも受けるから一緒にどう?」といった声掛けをしたり、日頃の苦労をねぎらってプレゼントとして渡すなど、ご本人が気持ちよく電話できる環境を整えることが大切です。
【2】年齢を聞いてみる
「認知症の人と家族の会」の顧問を務める三宅貴夫先生が開発した、三宅式簡易認知症判定テストというのがあります。「年齢」を聞くだけ。5秒もあれば認知症かどうか大体の判断ができるというものです。
あくまで年齢を聞くのであって、生年月日を聞いてはいけません。生年月日は一生変わらないものなので、認知症の人は覚えています。年齢は毎年更新されるので、古い記憶は鮮明で新しい記憶が苦手な認知症の人には覚えるのが難しいのです。
もうひとつポイントは、1回ではなく何回か時間を置いて聞いてみるということです。年齢が上下する、年齢がかなり若すぎたりする場合、認知症を疑ってみてください。亡くなった90歳のアルツハイマー型認知症の祖母も、やや高度というレベルまで認知症が進行したものの、生年月日だけは覚えていました。しかし、年齢はと聞くと、30歳近く若い年齢を言うこともありました。
【3】見ているテレビ番組の種類をチェックする
わたしの母は、認知症になってから見るテレビ番組の種類が変わりました。以前だったら、連続ドラマを見ていましたし、好きな俳優さんがいました。ところが現在は、認知症のため、前回の放送内容が記憶できません。結果、単発である相撲中継や、クイズ番組、ワイドショーなどが増えました。
前回の内容が分からない連続ドラマは、当然面白くないのです。自然と、見るテレビ番組の種類も変わっていきます。
【4】お財布の中の小銭をチェックする
母は、買い物をする際に小銭ではなく、お札で支払いをします。認知症で計算が出来なくなってしまい、レジでの失敗を避けるため、間違いのないお札ばかりを出します。結果、お財布の中は小銭だらけになってしまうのです。
小銭をチェックする際に、銀行のキャッシュカードやクレジットカードなど、ふだんどういうお金の管理をしているかも見たほうが、あとでラクです。
意外と両親や祖父母のお金の管理について、把握できていないのではないでしょうか?
余談ですが、亡くなった祖母の場合、認知症が進行したあとで、銀行口座を調べることになりました。口座番号も何も知らなかったため苦労し、家庭裁判所に申立をして成年後見制度を利用しました。そうなってからでは大変ですので、早い段階から「お金の流れ」を自然なカタチで抑えておくことをオススメします。
いかがでしたか? どれも病院へ連れていくという強行手段ではなく、生活の中で「さりげなく」認知症かどうかを判断する方法です。冒頭にも書きましたが、ご本人のプライドを傷つけないようにしながら、認知症の兆候を探してください。
少しでも気になった場合は、お近くの「ものわすれ外来」へ相談してください。ご本人を連れていくのが難しい場合、まずはご家族単独で受診可能な病院もあります。事前に相談し、連れていく方法を相談してみるといいです。
【関連記事】
工藤広伸 (くどうひろのぶ)
祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間20往復、ブログを生業に介護を続ける息子介護作家・ブロガー。認知症サポーターで、成年後見人経験者、認知症介助士。
ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(http://40kaigo.net/)