高齢者のための正しい「口腔ケア」手順や注意ポイントを専門家が解説「口内は保湿が大切」
口腔ケアに必要なアイテムと、正しい手順を教えてもらった。改めて見直してみよう!
口腔ケアに必要なアイテム
・歯ブラシ
・義歯用歯ブラシ(入れ歯の場合)
・タフトブラシ
・歯磨き粉
・コップ
・口腔ケア用の綿棒やウェットシート
・歯間ブラシ
・デンタルフロス
・舌ブラシ
・スポンジブラシなど
※以下3つは必要に応じて用意を。
・ガーグルベーズン(うがい受け)
・洗口液
・保湿剤など
口腔ケアのやり方
Step1 うがいをする
水でガラガラではなくブクブクうがいを長めにし、乾燥がひどい場合は、指やスポンジブラシを使い、ジェルや水分で口腔内を湿らせる。
Step2 歯ブラシで汚れを取る
歯ブラシで汚れカスを取る。歯のすき間などは、歯間ブラシやデンタルフロスを用いる。義歯の場合は、外して口をゆすぎ、義歯を専用ブラシで清掃する。
介助者が行う場合、歯ブラシを持たない方の人差し指を磨く歯の頬側に入れると視野が広がり磨きやすくなる。
また、外出先で口腔ケアをする場合や、うがいが難しい人の場合は、口腔ケア専用のウェットティッシュなどで歯と粘膜の清掃を。
Step3 舌の清掃をする
舌苔(舌のこけ)がある場合は、舌ブラシで奥から手前に優しく動かして取る(注意ポイントは後述する)。舌が乾燥しているときは、ジェルや水で湿らせてから行うこと。
Step4 うがいをする
うがいをして、残りカスを洗い流す。うがいができない場合は、口腔ケア用のウェットティッシュなどで拭う。
Step5 口内をチェックする
口内の状況を観察し、かみ合わせの不具合や口内に傷や炎症などがないか確認する。
Step6 口内を保湿する
口内が渇いている場合は、最後に再び口内用の保湿剤を使用する。余分な保湿剤は吐き出すか、軽く拭き取る。
口腔ケアをするときの注意ポイント
・口内をしっかり鏡で見ながら行う。
・口内が見にくい場合はペンライトなどで照らすとやりやすい。
・歯ブラシは口内が傷つかないように柔らかめのものがおすすめ。
・細かい部分はタフトブラシを使って磨く。
・入れ歯や部分入れ歯は、必ず義歯専用の歯ブラシを使って食べ物のカスなどを取り除いてから洗浄を。
・歯磨き時の水分や汚れによる誤嚥に注意する。
・舌の清掃は強くこすらないこと。
「ご本人に代わって家族がケアする場合は、専門家にやり方を教えてもらったうえで、誤嚥に注意しながら慎重に行ってください。
とくに嚥下機能が低下しているかたの場合は、口腔ケアのときの体勢に注意が必要です。顔を横に向け、さらに枕やタオルなどで高さを調整して頭を上げてあごを引いた状態にして、水分や汚れが気管に入るのを防ぎます。
その際、水分の使用はなるべく少なくして、歯ブラシを持たない方の人差し指で頬側に添え、吸引器、口腔ケア用のウェットティッシュや綿棒、ガーゼ等で水分を除きながら慎重に行います。吸引器については、ケアマネジャーに相談して専門家の指導のもと安全に行うようにしてください」
舌苔の掃除方法のポイント
舌苔のケアをするときにも注意が必要だという。
「舌苔とは舌に生じる汚れのことです。乾燥、脱水、ストレス、加齢などが原因で唾液分泌量が減少すると、舌苔の原因となる因子が増えます。
舌苔の清掃は、無理やりゴシゴシと強く擦ることはおすすめしません。味を感じる細胞の集まりの味蕾(みらい)がなくなり、味覚障害につながる場合もあるので気をつけましょう。様子を見ながら、毎日、舌ブラシで優しく拭うようにしてみてください。
なお、舌に保湿剤を塗って5分ほど経ってからブラシで拭うと舌苔を取りやすくなります。
舌苔の清掃は、基本的に歯磨きの後に行いますが、ケアの後には保湿を。口の中の乾燥で舌苔が増えやすくなるため、保湿剤で乾燥を予防することが大切です。
舌苔は、白っぽい、茶色っぽいなど体調によって状態はさまざま。いつもと違うなど気になるときは歯科医師など専門の方に相談してください」