「海藻を分解できるのは日本人だけ」など 最新研究でわかった日本人の驚くべき体質
●アメリカでは「人種差医療」が進んでいる
日本で生活していると「人種の違い」を意識することはあまりない。しかしながら、「人種のるつぼ」である移民国家のアメリカでは、人種による体質の違いをふまえた医療が進んでいる。それは当地で「人種差医療」と呼ばれている。
「アメリカで病院を受診すると、どういった人種や民族の血を引いているか、などを書くように求められます。人種差別ではないかという意見もあるかもしれませんが、アメリカでは科学的根拠に基づく人種の区別であって、差別ではないと認知されています」(奥田先生)
たとえば、アメリカで妊娠を望む人、あるいはすでに妊娠している人が受ける「出生前遺伝学的スクリーニング検査」には、こんな問診項目がある。
〈生まれてくる子の両親のどちらかが、ユダヤ系か、フランス系カナダ人ですか。もしそうなら、テイ=サックス病の保因者であるか検査を受けましたか〉
〈生まれてくる子の両親のどちらかが、ラテン系か、アフリカ系黒人ですか。もしそうなら、鎌状赤血球症の保因者であるか検査を受けましたか〉
そんな〝立ち入った質問〟とも思えるような項目が設けられ、特定の人種に多い遺伝病の早期発見に力を入れているのだ。
ここで論じる「体質」とは、2つの要素が組み合わされることでできている。
「体質には、遺伝によって決まる部分と、生活習慣や環境の影響を受けて変化する部分があり、実際にはこの両方が複雑に絡み合っています。
たとえば、日本人が動脈硬化になりにくく、心筋梗塞が少ないのは、善玉コレステロールが遺伝的に多いことに加え、先祖代々が魚を多く摂取する食生活をしてきたおかげだと考えられています。
同様に、日本人の骨が強いのも遺伝だけでなく大豆製品を多く摂取してきたことが関係しているでしょう」(奥田先生)