花粉症の重症度チェック「くしゃみの頻度は?」薬の選び方や漢方による対処法を専門家が指南
この春は、花粉の飛散量が過去10年で最も多いという予測もあり、花粉症の症状に悩まされている人も多いだろう。くしゃみの頻度や鼻づまりなどの症状から、あなたの花粉症の重症度をチェック!症状に合う薬の選び方や漢方による花粉症対策について、専門家に教えてもらった。
花粉症重症度チェック!
まずはあなたの花粉症のレベルを確認してみよう。
★1日に平均何回くしゃみが出ますか?
□ 21回以上 → レベル5
□ 11~20回 → レベル4
□ 6~10回 → レベル3
□ 1~5回 → レベル2
□ 1回未満 → レベル1
★1日に平均何回鼻をかみますか?
□ 21回以上 → レベル5
□ 11~20回 → レベル4
□ 6~10回 → レベル3
□ 1~5回 → レベル2
□ 1回未満 → レベル1
※「くしゃみ発作または鼻をかむ」のレベルを決める際は、レベルが高い方を選ぶ。たとえば、くしゃみはレベル2、鼻をかむ回数はレベル4の場合、レベル4を選択する。
■鼻づまりの程度はどのくらいですか?
□ 一日中完全につまっている → レベル5
□ 鼻づまりが非常に強く、口呼吸が1日のうち、かなりの時間ある → レベル4
□ 鼻づまりが強く、口呼吸が1日のうち、時々ある → レベル3
□ 口呼吸はまったくないが、鼻づまりがある → レベル2
□ レベル2未満 → レベル1
<<診断結果>>
診断結果は下記の通り。※充全型とは「くしゃみ・鼻漏型」と「鼻閉型」の両方に該当。
花粉症の症状別、薬の選び方を専門家が指南
上記のチェックリストで症状が中等症、軽症の人は、医薬品の服用で症状をかなり抑えられるという。
「いま病院で最も多く処方されているのがフェキソフェナジン塩酸塩やロラタジンといった第2世代抗ヒスタミン成分です。従来の薬より眠気が起こりにくく、効果の持続時間が長いのが特徴です。
さらに肥満細胞を強化して、くしゃみなどを引き起こす化学伝達物質の放出を抑制する働きも期待できるので、症状が表れる前や軽いうちから内服するといいでしょう」(耳鼻咽喉科専門医・浦長瀬昌宏さん)
近年は、病院で処方される医薬品と同成分を含む市販薬も登場していると教えてくれたのは、薬剤師の児島悠史さんだ。
ただし選ぶ際は注意点もあるという。
「市販の点鼻薬の多くに血管収縮薬が入っているため、2週間以上使い続けるのは要注意。繰り返し使うと、薬剤性鼻炎という薬が原因の鼻炎になる恐れがあります。ナファゾリンなど“~ゾリン”という成分は血管収縮薬なので、それが入っているものはいざというときの切り札とし、日常的な花粉症対策として使い続けるのは避けてください」
市販薬も上手に使いながら、つらい花粉症を乗り越えよう。
処方薬と同成分の市販薬を薬剤師が厳選!
薬剤師・児島さんおすすめする花粉症の薬はこちの2商品。(※使用上の注意を読んで使用すること)
『クラリチンEX』7錠1518円~/大正製薬
1日1回1錠で眠くなりにくい
第2世代抗ヒスタミン成分「ロラタジン」を10mg(1日量)配合。眠くなりにくい。
『フルナーゼ点鼻薬』<季節性アレルギー専用> 第1類医薬品 1738円(編集部調べ)/グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン
花粉症専用の点鼻薬
1日2回で24時間効果が持続。血管収縮薬不使用。
目指せ! 漢方で体質改善
漢方では「天人合一(てんじんごういつ)」という考え方がある。これは、自然と人は一体であり、人は自然環境や気候の影響を常に受けている、という意味。
「自然と調和できていれば問題ありませんが、許容量を超えると、バランスが崩れてしまい、病気になるという考えです。花粉症も、自然の影響(花粉)を自分の許容量以上に受けたことで、弱っているところに影響が出たと、東洋医学では考えられています」
とは、漢方薬剤師の平地治美さんだ。漢方では症状を抑え込むだけでなく、原因を考えて根本から対処する。
東洋医学では花粉症には「寒」と「熱」の2タイプがある。
「花粉症は鼻水の状態などから、寒タイプと熱タイプに分かれ、それぞれ養生法が変わります。まずは自分がどちらのタイプか下記の表を参考にチェックしてみてください。漢方薬は、眠気やだるさなどの副作用が出にくく、体質改善が期待できます」(平地さん・以下同)
寒・熱あなたはどっち? タイプ別養生法
【寒タイプ】
★特徴
□ 水っぽいサラサラとした鼻水が出る
□ 冷えると悪化する
□ 寒いと悪化する
★対処法
水分量は1日1L 冷たいものは摂らない
「水分や冷たいものの摂りすぎで、胃腸の働きが低下し、水分がうまく処理できていない人に多くみられます。水分量は1日1Lを目安に。ホットタオルなどで首を温めて、体を冷やさないようにしましょう」
★漢方薬
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
アレルギー性鼻炎などに処方される漢方薬。「体を温めながら水分代謝を促し、水っぽい鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状を緩和します」
★食べ物
【○】しょうが、ねぎ、シナモンなど体を温めるもの
【×】トマト、きゅうり、レタスなど夏野菜、アイス、果物
【熱タイプ】
■特徴
□ 黄色くドロドロとした鼻水が出る
□ 体に熱がこもっている
□ 温めると悪化する
■対処法
暴飲暴食を改め食生活を見直そう
「飲酒量が多かったり、食べすぎの人が多いので、食生活の見直しが急務。お酒、にんにく、とうがらし、揚げ物など、熱がこもる食べ物は控えめにし、さっぱりとした味付けの食事を心がけましょう」
■漢方薬
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
「ダイエット向けの漢方薬として有名ですが、花粉症にも使えます。食べすぎにより体の中にこもった熱を、排便と共に排出する働きが期待できます」
【食べ物】
【○】ハッカ、ミント、そば、梨、すいか
【×】とうがらし、にんにく、酒、チョコレート
花粉症緩和が期待できる「お茶」も
西洋薬と併用しても問題ないが、薬の作用がぶつからないよう服用のタイミングは1~2時間程度ずらす方がよい。
「漢方は、本来なら煎じてのみますが、病院で処方されたり、市販されている漢方薬の場合、のみやすくフリーズドライにして処方されます。そういった漢方薬の場合、熱湯で溶かして、のみ頃に冷まして服用するといいでしょう」
漢方薬までは必要ないという場合は、花粉症の症状緩和が期待できるお茶を取り入れてみるのもいいだろう。
「おすすめは、すぎな・黒豆茶・甜茶(てんちゃ)です。特に甜茶はほのかに甘く、牛乳を入れるとミルクティーのような風味になっておいしいですよ」
ただし、飲みすぎは厳禁。あらかじめ温かいお茶を500mlほど作っておき、それを水筒などに入れて、1日を通して飲み切る習慣を作るとよい。体質改善を目指して、ツライ時期を乗り越えよう。
教えてくれた人
児島悠史さん/薬剤師
薬局業務のほか寄稿、講演なども行う。主な著書に『ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます』(羊土社)など。 平地治美さん/漢方薬剤師 和光鍼灸治療院・漢方薬局代表。主な著書に『女性の心と体をやさしくいたわる ととのえ漢方習慣』(永岡書店)など。取材・文/鳥居優美
※女性セブン2023年3月23日号
https://josei7.com/
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