自分で治すひざ痛 患者の9割が症状が改善した「ひざほぐしストレッチ」をイラストで柔道整復師が解説
寒くなってくると痛みを抱えたひざが疼くという人は少なくないのでは? そこで、ゴッドハンドと名高い柔道整復師の酒井慎太郎さんが、実際に患者へ指導しているストレッチを伝授。患者の9割がこれで症状が改善したとか。早速挑戦してみましょう。
変形性ひざ関節症以外の痛みはコレで解消
ひざの痛みの原因の約9割が前述の「変形性ひざ関節症」とされてきたが、最近の研究では、それだけではないことがわかってきたと、酒井さんは言う。
「いま注目されているのが『膝蓋下脂肪体』。この組織は本来ゼリーのようにやわらかく、ひざの曲げ伸ばしのたびに、関節の内部と外部を移動しながら、骨や筋肉、腱の摩擦を緩和するよう機能しています。ところがこの組織が硬くなり、ひざのまわりでコブのような状態になったとき、ひざに痛みを発症するのです」(酒井さん・以下同)
ひざからすねにかけて外側へねじれた状態で日常生活を送っていたり、普段からひざを曲げた生活をしており、ひざを伸ばす機会が少ないとなりやすいのだという。
「膝蓋下脂肪体の異常は、X線やMRIにはほぼ写らないため、病院では見過ごされることも。だからこそ、セルフケアが重要になります」
自分で直す!「ひざ痛ほぐし」ストレッチのやり方
自分で解消するにはまず、ひざをまっすぐに伸ばす習慣をつけることが大切だという。
「多くの人がひざを少し曲げた状態で生活しており、しかもそれに気づいていません」
ひざを曲げたまま生活していると、そのまま固まり、まっすぐに伸ばせなくなる。そうなると、O脚になりやすく、軟骨や半月板へのダメージも増加するという。上記の4つのSTEPにもひざを伸ばす動作が入っている。まずは“ひざを伸ばす”ことを意識し、ストレッチを始めよう。
【STEP1】ひざコブほぐし
ひざの皿のまわりにある「膝蓋下脂肪体」という組織が硬くなるほど、ひざの痛みは増す。特に硬くなりやすい3か所をほぐすマッサージを紹介。
床に座り、ひざが痛い方の足を前にまっすぐ伸ばして、ひざまわりを両手でつかむ。
両手の親指を使って、ひざの皿のすぐ下の、内もも側を約1分もみほぐす。
両手の人差し指、中指、薬指の指先をひざの裏に回し、約1分もみほぐす。
両手の親指でひざの皿の真上を約1分もみほぐす。
【STEP2】ひも綱引きストレッチ
長さ1mほどのひもを利用して、ひざ下を内側に向けて、ひざのねじれを矯正する。
ひもは両端を結んで輪にする。両端を持ち、右のかかとを床から少し浮かせ、右手で持っているひもの輪の右端をかかとの外側から通して、右のかかとの内側に引っかける。同じ要領で左足にも引っかける。
両足を前方にまっすぐ伸ばし、ひもがピンと張った状態にする。
つま先を内側にし、かかとを外側に向けて力を入れ、両足で綱引きをするイメージでひもを引っ張る。この状態を約30秒キープ。
【STEP3】ひざ押しストレッチ
硬くなって曲げづらくなったひざの関節を矯正するストレッチ。痛みが出たときはまずこれを試して!
いすの上に片足をのせ、ひざをまっすぐ伸ばしたら、足を少し内向きに回す。ひざの皿のすぐ上に両手をのせ、垂直の角度で力を入れて押し込む。この体勢を30秒キープ。同じ要領で反対の足も行う。
O脚を改善したいときは、眠っている間にひざ痛を解消する「バスタオルぐるり巻き」エクササイズを。
寝ながらにしてひざ痛を解消し、O脚まで改善する方法もある。用意するのは下半身をすっぽり包める大きめのタオル。両足をまっすぐに伸ばし、タオルを引っ張りながら下半身全体に巻きつけ、足を固定する。あとは普段どおりに眠るだけ。眠りにつくまでの体勢を固定できれば、寝返りでバスタオルがズレたり外れたりしてもOK。就寝のたびに行おう。
【STEP4】テニスボールストレッチ
あおむけに寝て、片足を上げ、ひざの裏の真ん中にテニスボールをセットする。
テニスボールを挟んだ方の足のすねを両手で抱え込み、力を加えながらひざを曲げる。テニスボールの位置がズレないように注意して30秒キープ。同じ要領で反対の足も行う。
あおむけに寝るスペースがない場合や腰が痛む場合は、床やいすに座ったまま、ひざの裏にテニスボールを挟み、右記と同じ要領で行っても同様の効果がある。座って行うと足に力が入りやすいので、足の力を抜くよう意識すること。
ひざの可動域が広がると痛みが軽減
さらに上記STEP2~4は、動かしづらいひざの可動域を広げる効果もあるという。
「長年繰り返してきた悪い姿勢や運動不足、加齢などの影響で足の筋肉が衰えると、ひざ関節を構成している大腿骨と脛骨の間が狭(せば)まり、ひざの動かしづらさを感じるようになります。それをケアするのがSTEP2~4のストレッチ。硬くなったひざ関節をほぐしつつ、可動域を広げるので、ひざがなめらかに動くようになります」
どのストレッチもイタ気持ちいいと感じるぐらいの力加減で行うのがおすすめだ。STEP1~4を朝晩2回、3週間続けると変化を実感できるという。
教えてくれた人
さかいクリニックグループ代表 酒井慎太郎さん/柔道整復師。解剖実習をもとに考案した「関節包内矯正」を中心に施術を行い、井上尚弥さん、高橋由伸さん、佐々木健介さんら多くの著名人の治療も手がける。『痛みの元凶を自分で治す ひざ痛ほぐし1分ストレッチ』(徳間書店)など著書多数。
取材・文/土田由佳 イラスト/ico.
※女性セブン2023年2月2日号
https://josei7.com/
●ひざ痛対策【まとめ】|痛みをあきらめないで!曲げ伸ばしの苦痛をスッキリ改善