子宮がはみ出す?「骨盤臓器脱」チェックリスト 体操で治る?原因や対処法を医師が解説
陰部にピンポン玉のようなものが触れる感覚がある──なんて経験はありませんか? それってもしかすると「骨盤臓器脱」かも。骨盤底がゆるんで支えきれなくなった子宮や膀胱、直腸などが、腟から体外にはみ出てしまった状態で、更年期以降に見られる症状なんです。女性なら誰でも起こる可能性がありますが、特にコロナ禍で運動不足による筋力低下が著しい人は要注意。症状や原因、解消法を医師に聞きました!
「骨盤臓器脱」は欧米では経腟分娩経験者の約3割が発症
「骨盤臓器脱」という、聞き慣れない人も多いであろうこの病気。実は更年期以降の女性の多くが悩まされていたんです。
股の間に何かが下がってきている感じがする、風呂で体を洗うとき股の間にピンポン玉のようなものが触れる…。こんな“違和感”があったら、「骨盤臓器脱」の可能性があるという。女性泌尿器科医の関口由紀さんが解説する。
「骨盤臓器脱とは、骨盤内にある子宮、膀胱、直腸などの臓器が本来の位置から下がり、腟からはみ出てくる疾患。はみ出ている臓器によって子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤(イラスト参照)などと呼ばれ、それらを総称して骨盤臓器脱と言います」
主な原因は骨盤内の臓器を支える骨盤底のゆるみ。
「骨盤底とは、骨盤の底にある筋肉や靭帯などの組織の総称で、経腟分娩で胎児が腟を通るときなどに、これらの組織は損傷します。閉経を迎えると、女性ホルモンが減少して骨盤底の支持力がさらに低下。臓器を支えられなくなり、骨盤臓器脱が発生すると考えられています」
と教えてくれたのは、産婦人科医の高尾美穂さんだ。
欧米では経腟分娩を経験した女性の約3割に骨盤臓器脱がみられたというデータもある。つまり、経腟分娩をした人はなりやすいということだ。加えて、慢性の便秘や咳をともなう呼吸器疾患、重いものを持つ仕事をしている人などは、骨盤底に加わる腹圧が高まることから、骨盤臓器脱発症のリスクが高まるという。
まずは下のチェックリストで自分が当てはまるかを確認してみよう。チェックが多くつく人ほど危険信号だ。
あなたの骨盤底は大丈夫?チェックリスト
<日常生活編>
□ 運動不足だ
□ 1日のうちで座っている時間が長い
□ 重いものを持ち上げることが多い
□ 猫背で姿勢が悪い
□ 座っているときにひざが開く
□ カラオケで大声を出すのが好き
□ スキニージーンズのような体にピッタリしたパンツをはくことが多い
<体形・健康状態編>
□ 太っている(下腹がぽっこり出ている・ウエストにくびれがない)
□ お尻と太ももに境目がない
□ トイレに行く回数が多い
□ 尿もれする
□ 便秘がちでいきむことが多い
□ くしゃみや咳がよく出る
□ 入浴後、腟から湯が出てくることがある
□ 呼吸が浅い
<妊娠・出産編>
□ 経腟分娩の経験がある
□ 吸引や鉗子を使った器械分娩だった
□ 難産だった
□ 妊娠中や産後に、尿もれがあった
□ 35才以上で出産した
□ セックスするときに痛みがある
□ 閉経している