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健康

子宮がはみ出す?「骨盤臓器脱」チェックリスト 体操で治る?原因や対処法を医師が解説

 内臓が外に出るとなると恐ろしく思われるが、過度に心配する必要はない。

「基本的に命にかかわる病気ではないので慌てなくても大丈夫。ただ、そのままにしておくと、歩きにくくなったり、下がっている臓器が膀胱や尿道を刺激・圧迫して、頻尿・尿もれなどが起き、外出するのが億劫になる、引きこもりになるなど、“生活の質”が低下します。はみ出た臓器が下着にこすれて、出血する場合もあります」(高尾さん)

 重力が影響して臓器が出てくるため、寝ているときは症状が出ず、長時間立っていたり、歩行後などに症状が出やすくなるという。そのため、夕方から夜になるとはみ出てくることが多い。気づいたら慌てず、まずは自分で腟の中に押し込んでみよう。多くの場合、押すと戻るという。

 腟の付近は一般的にデリケートゾーンなどと呼ばれ、触れることをためらう人もいる。しかし、指で触ったり押したりしても傷つくことはないので、この機会に自分の腟付近を鏡などでしっかり確認して、ほかに違和感がないかチェックするのもおすすめだという。

 下のセルフケアを参考に、実践してみてほしい。ただし、これは応急処置。骨盤臓器脱が自然に治ることはないので、一度、女性泌尿器科や婦人科を受診しよう。

 立ったまま、やや前かがみになって、足を少し広げる。数本の指の腹を出ている臓器に添え、腟の中に完全に収まるように押し込む。はみ出た臓器に直接触っても、下着や服の上からでもOK。

「骨盤臓器脱」の治療法 軽症なら体操、下着、ペッサリーが有効

 骨盤臓器脱の治療は大きく分けると保存療法と手術の2つ。保存療法は症状の軽減、手術は根治を目的とする。

「症状が軽い場合は、弱まった骨盤底筋の収縮力を高める体操(次ページからを参照)を行い、毎日3か月は続けてください」(高尾さん)

 あわせて、重いものを持たない、便秘や肥満を改善するなど、腹圧がかからないような生活をすることも重要。

「気づいたときに腟と肛門をギュッと5秒くらい締めてゆるめる。たったこれだけのことでも、骨盤底筋のトレーニングになります。また、立ちっぱなしの日は、横になって少し休むことも心がけましょう」(関口さん)

 予防として、骨盤臓器脱専用のサポート下着やペッサリーなどの装具を使う方法もある。サポート下着は、医療機関で販売していたり、注文を受けつけている場合もあるが、「骨盤底サポーター」でインターネット検索すると、販売店が見つけられる。いずれにせよ、購入前に自分の症状はサポート下着で対処できるか、医師に必ず相談を。

 一方、ペッサリーは腟の中に入れて、子宮や膀胱などの臓器を支えるもの。腟の出口の大きさと腟内の広さ、深さ、下がっている臓器の種類などから、医師が患者に合ったものを選ぶので、病院で挿入してもらおう。

「医療機関で2~3か月に1回、定期的に挿入する方法が一般的ですが、自分で着け外しできるタイプのものもあります。病院で挿入する長期継続使用タイプに比べると腟への負担が少なく、自宅で洗えて、自分のタイミングで外せるので、セックスも可能です」(関口さん)

 ただし、ペッサリーは正しく使わないと感染症の原因になるほか、痛みによって生活に支障が出ることも。定期的に受診し、腟の状態を診てもらうことが大切だ。

根治を目指して手術という方法も

 臓器がかなり下がって排尿・排便がしにくい、膀胱炎を繰り返すなど、症状が重い場合は、レーザー治療や手術をするという手もある。骨盤臓器脱の手術は、体への負担が比較的少なく、高齢でも受けられる。主な手術方法は下の表を参考にしてほしい。

 骨盤臓器脱は、命にかかわる病気ではないものの、恥ずかしさから病院に行けず、誰にも言えず、人知れず悩んでしまいがちな病気だ。でも、自分だけではない。医師に相談し、自分に合った治療法を選べば、不安と不便から必ず解放される。これを機会に一歩、踏み出してみませんか?

【押し込む】

 出ていたらまずは押し込むこと。出ている臓器の少し後ろ側まで手を添え、指を手前に引き上げるようにして、臓器を腟の中にゆっくりと押し戻す(前出イラスト参照)。

【運動】

 骨盤内の臓器を支える骨盤底筋を鍛えることで症状を軽くし、進行を防げる(下記エクササイズを参照)。毎日続けること。

【サポート下着】

 体の外側から下がらないように押さえる、骨盤臓器脱専用の下着。普段の下着の上に重ねて着用するタイプと、下着の代わりに直接着用できるクッション付きのものがある。どちらも健康保険は適用外。

【ペッサリー】

 腟の中に医療用シリコン製のペッサリーを挿入し、下がっている臓器を支える。さまざまな種類があるが、健康保険が適用されるのは「リング・ペッサリー」(自己負担額約1万円)。

【レーザー治療】

 腟内と外陰部にレーザー光を照射し、腟壁を引き締める。手術は20~30分で、入院の必要はない。ただし、健康保険適用外(約20万円)。

【手術】

 腟壁を縫い縮める「NTR手術」、骨盤底の支えを作る「TVM手術(経腟メッシュ手術)」、臓器を吊り上げて固定する「LSC手術(腹腔鏡下仙骨腟固定術)」があり、いずれも入院が必要。健康保険が適用される(自己負担額10万~30万円)。

「骨盤臓器脱」を防ぐ体操 1日5分!子宮を支えるエクササイズ4

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