兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第155回 ツガエの「兄ガチャ」】
ライターのツガエマナミコさんは、若年性認知症を患う兄と2人暮らしです。穏やかな性格な兄ですが、症状が進行する中でマナミコさんが困惑…いや、落胆すらしてしまう出来事が発生することも増えてきました。今回は、マナミコさんが、兄を介護することになった自分の人生について考えます。
* * *
「持論を展開いたします」
去年あたり「親ガチャ」という言葉が物議をかもしておりました。どんな親の下に生まれるかは選べないものだから、ガチャガチャ回して出てくるカプセルトイのようにアタリ・ハズレがあるという意味でございまして、「なかなか上手いこと言うなぁ」と思ったものです。でも、なぜか喉元につっかえてまっすぐ降りて行かないザラツキも同時に感じておりました。
この違和感は何なのか?
はい、今回は哲学者気どりのツガエがつらつらとうっすい持論をご披露する面倒くさい回でございます。
正直、自分の場合は「兄ガチャハズレの人」だと思ったのです。「ハズレもハズレ、大ハズレだ!」と何度湯船に浸かりながらこぶしで水面を叩いてきたか知れません。
でも、ハズレになったのはここ数年の話で、発病前の兄は可もなく不可もない、わたくしにとって人畜無害で非の打ちどころのない兄でございま