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健康

【筋肉】の正体 がんや糖尿病など病気を予防する役割も 

 若い頃には難なくできたことが、年を重ねるにつれて億劫になり、体も疲れやすくなってきた…。「体力がなくなった」というけれど、実はこれ“筋肉”の衰えが原因なんです。

 筋肉は何もしなければ加齢に伴いどんどん衰えていきますが、逆に努力次第では何才になっても鍛えられる。つまり、あなたの筋肉はあなた次第! まずは、下の筋肉レベルのチェックからスタート。

疲れやすくなったら要注意 筋肉レベルチェック!

□階段の上り下りに手すりが必要だ。
□片脚立ちで靴下が履けない。
□家の中でよくつまずいたり、すべったりする。
□15分以上続けて歩くことができない。
□大きな横断歩道を青信号で渡りきれない。
□2kgくらいの買い物をすると、持ち帰るのが困難だ。
□掃除機がけや布団の上げ下ろしなどの家事がツライ。

●1つでも思い当たる人は、筋肉が衰えているかもしれません。

「筋肉」が健康を守っていた

 そもそも筋肉とは何なのか? 筋肉の正体について知ることから始めましょう。

 筋肉は体を動かす以外にも、がんや糖尿病など病気を予防する役割もあり、何才になってもキープすべきものなのです。

●体力の正体は“筋力”と“全身持久力”だった

“筋力”は、筋肉自体が発揮する力のことで、体を動かす役割がある。一方、“全身持久力”は、運動を長く続けるための力のことで、心肺機能にも深くかかわっている。この2つが体を動かすのに不可欠な力で、いわゆる「体力」と呼ばれるもの。体力をつければ、生活習慣病を発症するリスクも低くなる。

●筋肉のピークは20代 あとはどんどん衰えていく

全身筋量の加齢変化

 女性は14才以降、筋肉が増えるペースは緩やかになり、20才頃ピークを迎える。40才頃までは、その状態をキープできるが、45才頃から徐々に減り始め、50才を過ぎると減る速度は加速する。筋量は20~50才の間に10%、50~80才では30~50%も減少してしまう。

●筋肉量は男性40%に比べ、女性は30%

 体を動かす骨格筋は、全身に400種類以上あるといわれている。男性の筋量は全体重の40~45%なのに比べ、女性は30~35%と、やや少なめ。そのため、女性は積極的に筋肉を維持する必要がある。

●筋肉が疲れるのは乳酸が原因ではない

活性酸素により脳が疲労を感じるイラスト

 これまでは、疲労物質である乳酸が骨格筋の中に老廃物として蓄積されるため、疲労が起こると考えられてきた。「最近は、疲れて体が動かなくなるのは、活性酸素によって攻撃された脳の疲労によるものという説が一般的になってきました。筋肉だけでなく、脳が疲れることによって、体は動けなくなってしまうのです」(樋口さん・以下同)。

●がん予防や認知機能を改善する物質を筋肉が分泌している

 デンマーク・コペンハーゲン大学のベンテ・ペダーセン教授のチームは、『マイオカイン』という筋肉が分泌する30種類以上のホルモン群を発見。

「それらには、『大腸がんの細胞の自然死を活性化させる』『脳の働きを促進させる』『動脈硬化の進行を遅らせる』『アルツハイマー型認知症の原因物質を減らす』などの作用がありました。『マイオカイン』は運動不足の筋肉からは分泌されにくいため、筋肉を動かすことが必須なのです」

●日本人は世界一の座りすぎ。筋肉は“下半身”から落ちやすい

上半身と下半身の筋量の加齢変化

「老化は足から」とよくいわれるが、上半身よりも下半身の筋量の減少率の方が大きいことがわかる(上グラフ参照)。

「特に日本人は座っている時間が世界一長いというシドニー大学の調査結果もあります(2011年)。20~30分に1度は立ち上がり、その場で足踏みをするなど、せめて1時間に1回は足を動かして、足の血流を改善させてください」

●糖尿病は筋肉の減少が原因だった!?

 筋肉細胞内には、GLUT4(グルコーストランスポーター)という糖を輸送するたんぱく質がある。「よく運動をしている人は運動不足の人に比べ、この量が約2倍多く、少量のインスリンで血糖値を下げることができます。筋肉を鍛えることは、糖尿病の予防にもつながるのです」。

●筋肉は怠け者だけど、正直者!

 筋肉は何もしなければどんどん衰えていくが、その分、鍛えれば結果がちゃんと出る。

「80才になっても90才になっても、運動する習慣を身につければ筋量は増加することが、さまざまな研究で実証されています。普段、運動習慣がない人は10分多く歩くだけでもOK。何もしないよりは、少しでも動かした方がいい。何もしないのがいちばんいけません!」

●筋肉には“短距離型”と“長距離型”がある

赤身魚と白身魚のイラスト

 筋肉には、速くて瞬発的な動きをする“速筋線維”と、遅くて持続的な動きをする“遅筋線維”の2つがある。この比率には個人差があり短距離走が得意か、長距離走が得意かが決まる。“速筋線維”は瞬間的に大きな力を出せるが疲れやすく、加齢によって減りやすい。

 鍛えるのも大きな負荷が必要なので、高齢者は長めの運動で“遅筋線維”を鍛えた方が効率的。ちなみに“速筋線維”は白色を、“遅筋線維”は赤色をしており、俊敏な動きで餌をとるひらめなどの白身魚、長距離を回遊するまぐろなどの赤身魚の身の色を見るとわかりやすい。

 これから迎える超高齢化社会は、1人でも多くの人が“アクティヴ・シニア(元気な高齢者)”を目指さなければ、破綻するのは目に見えている。いつまでも健康でいるために、筋肉を維持することから始めよう。

イラスト/小山ゆうこ

※女性セブン2018年9月20日号

【関連記事】

●めざせ健康長寿!脳から筋肉への指令をよくして”しっかり動く”体になる方法

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この記事へのみんなのコメント

  • TOMio

    うちの両親、最近、よくつまずくようになってしまいました。 野菜を作ってるし、普段から動いてるから体力はあるとおもってたけど、やっぱり歳なんだな、、

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