イケメン利酒師に学ぶ日本酒の豆知識・食のプロおすすめ酒とつまみのペアリング6選
最近、日本酒が注目を集めている。日本各地で作られたさまざまな味わいの日本酒を、旅行気分でおうちで嗜む人が増えているのだそう。日本酒の世界は知れば知るほど奥深いのも魅力のひとつ。味わうことがより楽しくなる知識と、おすすめのおつまみを、日本酒に詳しい方々に教えてもらいました。
日本酒をもっと楽しむいろは
日本酒を飲むのは楽しいけれど、日本酒の知識は難しいと思っていませんか。いえいえ、そんなことはありません。ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」で日本酒講師を務める、利酒師・清酒専門評価者の並里直哉さんが、わかりやすく“日本酒のいろは”を教えてくれました。
■日本酒の本場は当然ニッポン!
「原料となる米は磨き(精米)によって粒の外側を30~60%、場合によってはそれ以上削られることも。日本酒は世界的にみても原料コストがとても高いお酒なのですが、蔵の最高品質のものでも5000円程度の値付けが大半。“本場の日本酒”を気軽に味わえる環境にいるので、ぜひ目を向けてみて」
■新酒とは?
「搾ってから時間が経っていない、フレッシュなお酒を『新酒』と呼びます。醸造年度内(7月1日~翌6月30日)に造られて出荷されたお酒を新酒というなど定義は様々です。より新鮮さを出すために加熱処理をしない『生酒』や、新米の使用を強調した『新米新酒』として販売する場合もあります」
■温度
「日本酒はタイプや好みに応じて飲む温度を調整しますが、温度帯により味わいが変わるというのが特徴的。5℃の雪冷え、10℃の花冷え、15℃の涼冷え、20℃前後の冷や(常温)、30℃の日向燗、35℃の人肌燗、40℃のぬる燗、45℃の上燗、50℃の熱燗、55℃のとびきり燗と温度幅があります。そのようなお酒は世界的に見ても珍しいのです」
種類はこんなにたくさんあるんです!
日本酒は原料や精米歩合などによって、名称や種類も変わる。種類を知っておけば、ラベルを見るのが楽しくなりますよ!
■純米酒と本醸造酒の違い
(特定名称酒/原料/精米歩合)
<純米酒>
・純米大吟醸酒/米・米こうじ/50%以下
・純米吟醸酒/米・米こうじ/60%以下
・特別純米酒/米・米こうじ/60%以下、もしくは特別な製造方法
・純米酒/米・米こうじ/―
<本醸造酒>
・大吟醸酒/米・米こうじ醸造アルコール/50%以下
・吟醸酒/米・米こうじ醸造アルコール/60%以下
・特別本醸造酒/米・米こうじ醸造アルコール/60%以下 もしくは特別な製造方法
・本醸造酒/米・米こうじ醸造アルコール/70%以下
※国税庁課税部酒税課「酒のしおり(令和3年)」より
■熟成
蔵元は樫樽貯蔵、長期洞窟熟成、長期氷温熟成などさまざまな挑戦を行っている。特に低温熟成大吟醸への注目度は近年非常に高くなっている。
■生酛(きもと)
「酒造りに必要な乳酸を添加せず、手間と時間をかけて乳酸菌に乳酸を生産させる、伝統的かつ高度な技法を採用する蔵が増えている」
■ニューウェーブ
通常日本酒には黄麹を使うが、焼酎に使われる白麹や黒麹を用い、白ワインのようなシャープでさわやかな酸味を持つ特徴的な仕上がりに。
■スパークリング
「一ノ蔵 発泡清酒 すず音」「松竹梅白壁蔵『澪』スパークリング清酒」など初心者向け商品が大ヒットし、シャンパーニュのような高級志向のお酒も登場。
唎酒師・清酒専門評価者 並里直哉さんが提案!日本酒に合うおつまみ
日本酒講師を務めている並里直哉さんが、日本酒に合う意外なおつまみを提案してくれました。「日本酒の旨みは相乗効果で膨らむ唯一の味と言われています。飲むだけでも幸せですが、おつまみはその幸せを何倍にもしてくれます」(並里さん)
●『イチゴ大福』nanarica tokyo
上品な甘さとあまおうの酸味が絶妙
「ジューシーないちごと商品ごとに変えるこだわりのこし餡、大福生地とのバランスが絶妙。意外にも甘みのあるお酒と合わせると、さわやかな味わいに」(並里さん)。
イチゴ大福 400円/nanarica tokyo nanarica.shopinfo.jp/
<これが合う!>
『讃岐くらうでぃ』甘味に甘いお酒を合わせてみて。
●『SAYURI』チーズ工房アドナイ
ブリータイプの白カビチーズは熟成が進むにつれ、食感が変化
「濃厚で上品な国産チーズ。特に日本酒のお燗と合わせると、ねっちりとした食感がとろりと変化します」(並里さん)。
SAYURI 約180g1300円/チーズ工房アドナイ adonaicheese.stores.jp/
<これが合う!>
『惣誉 生酛仕込 特別純米』お燗で膨らんだ旨みがチーズの旨みと心地よく合わさります。
女優・村川絵梨さんが厳選!日本酒に合うおつまみ
日本酒に詳しい女優の村川絵梨さんは、唎酒師の資格を持ち、純米大吟醸をプロデュースしている。週に5日は日本酒を楽しみ、酒蔵もたびたび訪問している村川さんが厳選した日本酒に合うおつまみを教えてもらいました。
●『お米チップス 米職人【のり塩味】』久世福商店
炊きたてご飯から作るお米チップス
蒸し米を固めて薄くスライスした生地を焼いて揚げているためパリッとした食感に。
「軽い感触でやさしい味わいがお酒に絶妙にマッチ。お米なので罪悪感なく、豪快に食べられます」(村川さん)。
お米チップス 米職人【のり塩味】 100g 388 円/久世福商店 kuzefuku.com
<これが合う!>
『天明 亀の尾65本生 re preparation』澄んだ甘みがスナックと相性◎。
●『洗わないから美味しいかき 生食用』ヤオコー
コクと食感、旨みが凝縮!
かきを循環水に入れ、雑菌や不純物を排出させるため安心してかき本来の味を楽しめる。
「レモンを絞ったり、ポン酢ともみじおろしをかけても◎」(村川さん)。
洗わないから美味しいかき 生食用 130g 537円/ヤオコー yaoko-net.com
<これが合う!>
『苗加屋 純米吟醸 琳青』。かきの味を引き立ててくれます。
発酵料理家・真野遥さんおすすめ!日本酒に合うおつまみ
発酵料理家の真野遥さんは、発酵食と日本酒のペアリングが学べる料理教室を主宰するなど幅広く活動中。日本酒がぐっと引き立つおつまみと日本酒をおすすめしてくれました。
●『ひさみのへしこ【至福】』HISAMI KYOTO
程よい塩っけで日本酒との相性◎
ほどよく脂ののった鯖を塩漬けにし、2~3週間かけ糠漬けに。
「一般的なへしこは塩分が強く独特な風味ですが、これは浅漬けで、塩鯖感覚で焼いて食べられます」(真野さん)。
ひさみのへしこ【至福】(片身2枚入)972円/HISAMI KYOTO hisami-kyoto.jp
<これが合う!>
『白木久 特別純米酒 銀シャリ 無濾過生原酒』
食用米のみでお酒を醸す酒蔵さんなのでへしことは間違いのない組み合わせ。
●『漬け物の米油漬け 奈良漬とチーズとケール』10%Iam
奈良漬とチーズにケールを加えた米油漬け
「食材の組み合わせが面白く、かつヘルシー。奈良漬の甘みと独特の香り、ケールの苦み、チーズと米油のコクが奏でるハーモニーがなんとも絶妙!冷蔵庫に常備しています」(真野さん)。
漬け物の米油漬け 奈良漬とチーズとケール 90g 1058円/10%Iam 10iam.shop
<これが合う!>
『不老泉 山廃純米吟醸 備前雄町 無濾過生原酒』
意識が飛ぶほどに抜群なマリアージュ。
教えてくれた人
唎酒師・清酒専門評価者 並里直哉さん
酒類総合研究所認定・清酒専門評価者、国際利酒師などの資格を持つ。ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」でも日本酒講師を務める。
女優 村川絵梨さん
唎酒師の資格を持ち、金沢の酒造メーカー「福光屋」とコラボし、純米大吟醸をプロデュース。週に5日は日本酒を楽しみ、酒蔵もたびたび訪問。
発酵料理家 真野遥さん
レシピ開発や、発酵食と日本酒のペアリングが学べる料理教室を主宰するなど幅広く活動中。著書に『手軽においしく 発酵食のレシピ』(成美堂出版)など。
撮影/黒石あみ(本誌)
※女性セブン2022年3月3日号
https://josei7.com/
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