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『ドクターX』対立してきた蜂須賀が膵臓がんに!これまでの最終回パターンを分析

『科捜研の女』『相棒』と並ぶテレビ朝日の人気ドラマシリーズ、米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』第7シリーズ(テレビ朝日系・木曜21時~)第9話。メディカルソリューション本部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)が膵臓がんだと判明。大門未知子(米倉涼子)に、これまで否定してきた外科手術を依頼する。新たな感染症の危険の中、手術はどうなる? いよいよ今夜最終回。

蛭間の妻と蜂須賀が膵臓がんに

 念願だった感染研究センターの完成を目前にした蜂須賀は、組織の腐敗を防ぐため、病院長以外の役員任期を1期1年とする方針を発表する。病院長代理に返り咲いたばかりの蛭間重勝(西田敏行)に対する、露骨な排除方針だ。

 当然、権力に固執する蛭間は大激怒。院長室を訪れた妻・華子(藤真利子)が体調の悪さを訴えても、「気のせいなんじゃねえか?」と取り合わないほどだった。
 
 しかし、華子の様子から異変を察知した大門は検査を勧める。

「もし悪い病気だったとしても主人には言わないでね。あの人、今なんだか大変そうだから」
「妻の病気より大変なことってこの世にある?」

 色恋沙汰に疎そうでいて、ときどき芯を食ったことを言う。結果、華子が重度の膵臓がんを患っていると判明する。

 今回、大門の手術を受けた患者は華子だが、ストーリーの中心は蜂須賀本部長だった。たびたび、体調の悪そうな様子を見せていたが、蜂須賀も華子以上に難しい膵臓がんにかかっていたのだ。

 これまで外科手術を否定し、ケミカルサージェリーによる内科的治療を推し進めてきた蜂須賀。しかし今回は、華子の病状を自分と重ね合わせたのか、大門に外科手術を認める。

「この手術、あなたに任せます。切れるものなら切ってみなさい!」

「ドクターX」最終回のパターン

 例のごとく大門は「私、失敗しないので」ということで、難しいとされていた華子の手術を成功させた。続いて、最終回では蜂須賀の手術……ということになるだろう。

 シリーズの最終回はだいたい3パターンに分類される。

・身内が病気になる
・対立してきた人物が病気になる
・病院の反対を押し切って手術を強行する

「身内」パターンでは、大門の親代わりといってもいい神原晶(岸部一徳)や、麻酔科医の城之内博美(内田有紀)。第5シリーズでは大門自身の病気が見つかり手術を受けている。

「対立」パターンだと、蛭間をはじめとして、鳥井高(段田安則)やニコラス・丹下(市村正親)など。それまで大門と対立し、医者としての姿勢を否定してきた敵役が、自身が病気になったことで大門に手術をお願いした。

「病院の反対」は、医局の政治的理由で手術を止められていた大門が、独断で手術を強行。医局に縛られ、上に逆らうことができなかった医局員たちも医者としての正義に目覚めて大門に協力する……というパターン。

 今回の蜂須賀本部長は「対立」パターンだが、これまでの敵役と比べると大門との距離が近い。

 夜景の見えるレストランでのディナーや寿司デート。理想とする医療にとって大門は利用価値があると考えて接近していたのか、自分の病気を治せるのは大門しかいないという計算があったのかは分からない。ただ、うれしそうに理想を語る蜂須賀は、ピュアに患者を救うことだけを考えているようにも見えた。

「あと一歩で世界中の医師たちが国も文化も宗教も超えて一体となる感染研究センターが完成します。私の理想とする100%の医療が実現するのです!」

蜂須賀に対する優しい「失敗しないので」

 大門の側から見ると、外科手術を否定する蜂須賀の印象は決して良いものではなかったはずだが、今回、だいぶ印象が変わったようだ。蜂須賀行きつけの寿司屋の大将(小堺一機)によると、「感染症対策の基本」として何十年も前から中近東やアフリカにマスクと石けんを送り続けており、「アフリカの子どもたちから届いた写真を宝物みたいに見せてくれました」とのこと。

「出世にも名誉にも全然興味がない、根っからの感染バカ」なのだ。

 蜂須賀から、自分の手術を頼まれた大門は「今日の(華子の)オペより厳しいね」としつつも、蜂須賀のデスクにアフリカの子どもたちから送られた写真が飾られているのを見て「ハッチの好きな100%にするよ。私、失敗しないので」と宣言した。

 普段の「失敗しないので」は、手術に反対する人たちへの挑発的な意味合いが含まれているが、今回の「失敗しないので」は、メチャクチャ優しい表情だ。蜂須賀の医療に対する考えに共感し、「対立」ではなく「身内」に近い気持ちになっているのではないだろうか。

 大門は、蜂須賀の求める「100%の手術」に近づけるため、徹夜で術式を検討。神原に弟子入りした当初の大門はものすごく不器用だったという。「失敗しないので」とは言うが、決して天才タイプではなく、努力タイプなのだ。

コロナ禍の医療ドラマとしての決着は

 しかしここで、新たな感染症が発生する。しかも、完成した感染研究センターを視察に来たサフィリスタン王国のシェルプ博士が感染していることが判明。案内していた蜂須賀も感染している可能性が高い。

「新型ウイルスの感染者が発生した危険性があります。感染研究センターは立ち入り禁止とします。コードCBR! コードCBR!」

「CBR」とは「Chemical,Biological,Radiological,Consequence(化学的、生物学的または放射能汚染発生)」の略。

 本シリーズでは新型コロナのパンデミックが描かれつつも、いつの間にか収束。大門が致死率の高い感染症・ラッサ熱に感染するも、こちらもいつの間にか回復。さらに新型のウイルスが登場とは……。

 今季のドラマでは『日本沈没』(TBS)でも新型感染症が発生していた。コロナ禍で「PCR検査」や「変異株」という単語がものすごく身近になっており、ドラマのネタにもしやすいのだろう。

 ただ、現実世界では新型コロナひとつでみんなこれだけ苦労しているだけに、安易に新型感染症が発生してサクッと収束されるとリアリティがなさすぎて引いてしまう。

 コロナ禍に放送された医療ドラマとして、感染症に対してどんな決着をつけるのだろか。

文とイラスト/北村ヂン

北村ヂン

1975年群馬県生まれ。各種おもしろ記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。……といいつつ最近は漫画ばかり描いています。

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