「足が冷たくて眠れない」悩みに医師が回答 日常生活で注意すべきポイント3つ
寒い夜、足が冷えて眠れないと悩む女性は多い。湯たんぽや電気毛布を使ってみたり、自分なりに対処しているのに効果が感じられないのはなぜなのか。3人の専門家に、日常生活で冷えないために気をつけたい3つのポイントを教えてもらいました。
1.温め食材にたんぱく質をプラス
冷えを改善するには、日々の食生活を見直し、体の内側からのアプローチが大切だ。医師の石原新菜さんはこう話す。
「温活フードといえば“しょうが”ですが、根菜類にも体を温める作用があるので積極的に食べましょう。
また、たんぱく質は、筋肉づくりに欠かせないため、毎食、忘れてはいけません。特に肉や魚は消化する際に胃腸内で熱を発生させるので温め食材としても必須です。
おすすめは、肉も根菜も入った豚汁。発酵食品のみそにも腸内環境や血流の改善を促し、体を温める働きがあります。しょうがをたっぷり入れて食べましょう」(石原さん)
足が冷たくて眠れないとき、足湯にプラスするなら、温めた飲み物をゆっくり飲むこと。カフェイン入りのものは避け、ホットミルクやココア、しょうがはちみつ湯、具なしのみそ汁などを飲むと、体が温まりやすい。
2.熱めのお風呂は逆効果!
全身を温めるには入浴するのがいちばん。だが、一刻も早く温まりたいからと、熱めのお湯に入るのは逆効果だ。
「湯温が高すぎると体の表面(皮膚)の温度が急上昇するため、体内が温まる前に、脳が『温まった』と勘違いし、汗を出して皮膚の温度を下げようとします。その結果、湯冷めをする可能性が高いので、注意しましょう」(石原さん)
さらに、42℃以上の熱い湯に入ると交感神経が優位になって脳も体も興奮状態になり、なかなか入眠できなくなる。冷えた体を温めたいなら、38~41℃の湯に20~30分ゆっくりつかり、体の芯まで温まるのが基本となる。
その際、体が温まる入浴剤を使うといいが、なかでもおすすめは「重炭酸」の入浴剤。これを使うと炭酸ガスが湯の中で重炭酸イオンに変化し、溶け込むことができるのだ。
「湯に溶けた重炭酸イオンは皮膚から吸収されると、血管が拡張して血流を促進します。冷えや睡眠の質を改善できることもわかっています」と言うのは、鶴見大学歯学部教授の斎藤一郎さん。
「重炭酸イオンは中性で、より多く溶け込むことができるので『中性重炭酸入浴剤』とうたっているものを選ぶといいでしょう。温度が高すぎると長く入っていられないので、38~41℃のお湯に入れて、20~30分くらいつかるといいですよ」(斎藤さん)
主原料は重曹とクエン酸なので、体を温めるだけでなく、肌の洗浄効果も期待できるのもうれしい。
3.ブーツの中の汗が足冷えの原因に
今シーズンはひざ丈のロングブーツが復活するなど、久しぶりにブーツが流行している。ブーツは防寒に優れているが、脱いだ後に足の冷えを強く感じることがある。その原因は、意外なことに、「足汗」だ。
汗研究の第一人者である医学博士の五味常明さんは、次のように解説する。
「足裏には背中や胸の5~10倍もの汗腺があり、1日にコップ約1杯分の汗をかくといわれています。汗は蒸発する際の気化熱によって体温を下げるため、そのままにしておくと冷えて、温まりにくくなるのです」(五味さん・以下同)
ブーツや、厚手の靴下+靴など、密閉度が高くなるほど足汗が蒸発しにくく、ムレやにおいの原因に。これを防ぐには、冬でも制汗剤の使用が有効だ。
「足裏は、甲の3倍の汗をかくので、指だけでなく足裏全体に、しっかり制汗剤を塗ることが重要です。においのもととなる雑菌の繁殖を抑制する効果と、毛穴を引き締めて汗を抑える効果のある『ミョウバン』由来のものを選ぶといいですよ」
帰宅後は靴下を脱いで汗を拭き、濡れたままにしないことも大切だ。
教えてくれた人
石原新菜さん/イシハラクリニック副院長。医師。父・石原結實氏のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、病気の治療にあたっている。温活ドクターとして知られ、「冷え」に関する著書多数。
斎藤一郎さん/鶴見大学歯学部教授
五味常明さん/汗研究の第一人者である医学博士
取材・文/山下和恵 イラスト/うえだのぶ
※女性セブン2021年12月16日号
https://josei7.com/
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