もうすぐ武道館ライブ!88才の高木ブーがステージ上がる前に欠かさないルーティンを明かす
「55年ぶりにあのステージに立ったら、どういう気持ちになるのかな。楽しみだね」と語る高木ブーさん。18日の武道館ライブに向けた歌やコントのリハーサルも、いよいよ追い込みである。大舞台を前にブーさんは何を思い、どう過ごしているのか。加藤さんや仲本さんとは、どんなことを話しているのか。根掘り葉掘り聞いてみた。(聞き手・石原壮一郎)
ライブフェスのリハーサル、毎日頑張っています
このところハードな毎日です。『8時だョ!全員集合』の頃と同じぐらいかな。それはちょっと大げさだけど、当時との年齢差を考えると、同じぐらいって言ってもいいと思う。でも、身体も気持ちもすごく元気なんだよね。それだけ張り切ってるのかな。
18日の「『ドリフ&ももクロ ライブフェス』~コントもあるョ!全員集合」まで、あとちょっと。毎日、ももクロの4人や東京03の飯塚悟志君たちと、念入りにリハーサルを重ねてます。歌もあればコントもたくさんあって盛りだくさんの内容なんだけど、昨日は歌中心、今日はコント中心って感じで、リハーサルも盛りだくさんなんだよね。
武道館のステージに立つのは、ビートルズの来日公演の前座でドリフターズが出て以来だから55年ぶり。加藤(茶)、仲本(工事)、僕の3人で、あの時と同じ『Long Tall sally(のっぽのサリー)』もやります。前回の出番は1分ちょっとであわただしかったし、ステージが安定してなくて微妙に揺れたんだよね。やりづらかったな。
今回はたっぷり出られて、足元もしっかりしてる。いざステージに立ったら、どういう気持ちになるのかな。たぶん僕たち3人は、長さん(いかりや長介)と荒井(注)さんも横でいっしょに演奏してるように感じるだろうね。55年のあいだにあった出来事が、一気によみがえってきたりするのかな。それどころじゃないか。
ももクロの4人は本当に素晴らしい
加藤や仲本と言ってるのは、「ももクロの4人は素晴らしい」ってこと。かわいいのは言うまでもないんだけど、性格がいいし気配りもすごい。とくに仲本は、ライブの元になったニコニコ生放送の番組で4人に初めて会ったから、「本当にいい子たちだなあ」って何度も言ってる。僕は以前から彼女たちのコンサートに出たりしてよく知ってるから、「そうそう、そうなんだよ」って保護者みたいに嬉しくなっちゃう。
リハーサルの合間には、加藤と時代劇の話をすることが多い。僕もあいつも時代劇が好きで、専門チャンネルでよく見てるんだよね。藤田まことさんの『剣客商売』はやっぱりいいねとか、最近は加藤剛さんの『大岡越前』にはまってるとか。仲本は居酒屋を少しずつ再開したらしくて、「いやあ、またやれてよかったよ」ってホッとしてた。
今回のプログラムで苦労したのが、ドリフがももクロの曲の演奏を演奏して彼女たちが歌うところ。曲のテンポが速いんだよね。最初の頃は、加藤や仲本と「最近のは速いな」なんて苦笑いしてた。だけど、やれないとは言えない。僕もだけど、ふたりも家でかなり自主練したんじゃないかな。ここ数日は、無理なく演奏できるようになってきた。
ドリフとももクロでコントをやるんだけど、みんなカンがいい。「全員集合」のときも聖歌隊や後半のコントで、いろんな女性アイドルといっしょにやってた。昭和と令和で形は違うけど、見る人にもあの頃のことを思い出してもらえるんじゃないかな。仲本と僕と高城れにちゃんの雷様も、いい感じに仕上がってきてる。れにちゃんの雷様姿は、今回のライブの大きな見どころのひとつだと思うな。
僕は、ステージに上がる前に欠かせないルーティンがある。それはユンケルを一本飲むこと。飲んですぐに効いてくるわけじゃないから、30分ぐらい前じゃなきゃいけない。実際の効き目がどうなのかはよくわからないけど、飲まないと落ち着かないんだよね。どんなきっかけでいつごろ始めたのか、自分でも忘れちゃった。
ほかにも、楽屋を出るときに両手で顔をパンパンはたいたり、楽器に向かって「ヨシッ!」なんて言ったり、人それぞれ決まった「儀式」がある。僕にとってはそれがユンケル。ちなみに、散歩がてら近所の薬局に行って自分で買ってきます。そのあとスーパーにも寄って、スイーツをいっしょに買ってくるパターンが多い。あんみつとかね。
泣いても笑っても、もうすぐ当日を迎える。緊張っていうのとはちょっと違うけど、気合いは入るよね。ももクロのファンの人は、みんなペンライトを持って応援するのかな。「全員集合」でもコマ劇場とかでも、ドリフのステージでは客席でたくさんのペンライトが揺れてることはなかったから、その景色を見るのも楽しみです。
ブーさんからのひと言
「いよいよ18日が武道館ライブです。ももクロのみんなとリハーサルを重ねてきました。さまざまな趣向を凝らしたステージになっています。当日、みなさんにお会いできるのを楽しみしていますね」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する『もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~』が放送中。11月18日開催の『ドリフ&ももクロ ライブフェス』~コントもあるョ!全員集合」は、観客席の増席が決定。Go Toイベントキャンペーンが適用される生配信チケットも含めて、イープラスで好評発売中!
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。