【砂糖】意外な活用法 調理の裏ワザ、傷の治療、しゃっくりを止めるなども
虫歯や肥満の原因になるからと、何かと悪モノにされがちな砂糖だけど、料理やスイーツの味つけ以外に、意外なパワーが潜んでいるのをご存じですか?
お肉やトマトがぷるるん、脱水力や脱臭効果を利用すれば、もっとおいしく&もっと生活が快適に。
目からうろこの活用術をお届けします!
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「保水性」と「脱水性」相反するパワーを使い分ける
砂糖をしばらく置いておくと、固まってしまうことがあるが、これは砂糖の分子と水分が結合しやすい性質があるから。
「砂糖には、一度抱え込んだ水分をなかなか離さない保水作用があります。しかも面白いことに、砂糖は塩もみしたきゅうりと同様に、周囲の食材から水分を奪って、抱え込もうとする脱水の作用も持ち合わせています。このように、一見相反する特性が共存することこそ、砂糖の魅力です」(管理栄養士の清水加奈子さん)
「スプーン印」で知られる三井製糖によると、食材に水分を染み込ませたい時は、砂糖を加えると軟らかく仕上がるという。
「例えばケーキを作る時、砂糖がでんぷんの水分と結びつくことで、しっとりと焼き上がります。反対に、多めの砂糖を使うと、食材の水分を奪って離しません。ジャムを作る時に大量の砂糖を使用することで、砂糖がカビや微生物の水分を奪い、腐りにくくするのです」(清水さん)
調理時には、振りかけるタイミングや量で、食材の水分を調整すれば、おいしさがグレードアップ!
水っぽいトマトをぷるぷる完熟風に
青みの残る硬めのトマトをくし切りにし、適量の砂糖を振りかけて冷蔵庫で冷やすと、甘みが増して感じられる。
「トマトはほとんどが水分。砂糖をまぶすことで、中の水分が排出される脱水現象が起こります。そして今度は砂糖の糖分がトマトの細胞内に取り込まれ、細胞壁が崩れる。するとトマトが軟らかくなり、食感が完熟風になるのです」(前出・清水さん)
試しにトマトに砂糖をまぶしてみたところ、砂糖自体の甘みが添加された感じはまったくなく、自然な味わいに。味・食感ともに完熟風で、おいしく食べることができた。
干ししいたけなど乾物を早く戻す
ボウルにぬるま湯を入れて砂糖ひとつまみを溶かし、干ししいたけを入れ、さらに落としぶたをすると早く戻せる。
「砂糖が水を抱え込みながら、干ししいたけに水分が入りやすくなる、いわば道筋を作る作用をするのです」(清水さん)
ぬるま湯だけで戻す方法と、砂糖を入れたぬるま湯で戻す方法を比べてみたところ、砂糖なしで戻したものは、20分たっても戻し汁の色が薄く、芯の部分はまだ硬いまま。
砂糖入りでは、20分後は戻し汁の色が濃くなり、芯まで軟らかに。水にもしっかりしいたけの色が出て、戻っているのが、見た目でもわかった。
砂糖でしめる「しめさば」
バットに上白糖を敷いてさばを並べ、その上からさらに上白糖をまぶす。40分ほど置いてから水で洗い、塩や酢を使ってしめると、さばの余分な水分と臭みが同時に取れる。さらに砂糖の甘みがほどよく残って、おいしく仕上がる。
「塩にも同様の効果がありますが、砂糖の方が脱水効果が高く、しっかりしまって魚の臭みも取れます」(清水さん)
サーモンマリネの「てり」がアップ
砂糖と塩を2:1の割合で混ぜ、刺身用のサーモンにまぶし、軽く重しをのせて6時間ほど冷蔵庫で寝かせる。塩では出せないてりが生まれ、よりおいしいマリネに。
「砂糖は水に溶けやすく、砂糖に水とサーモンの油が混ざって、てりになります。濃いめのマリネ液になるので、冷蔵庫で2週間ほどもちますよ」(清水さん)
肉を軟らかくする
ステーキ肉やしょうが焼きの豚肉などに砂糖をもみ込んでおくと、しっとり軟らかく焼きあがる。管理栄養士の清水加奈子さんはこう語る。
「砂糖が水によく溶け、その水分を抱え込んで離さない性質によるものです。長時間漬けすぎると、かえって脱水して身がしまりすぎてパサパサになってしまいます。もみこんで砂糖が水分をしっかり抱き込んだタイミングで表面を焼き固めれば、ジューシーでおいしくいただけます」
生わさびの辛みを引き立てる
続いて、おろし器の上に少量の砂糖をふり、生わさびの茎の部分からすりおろす。生わさびのあくは消え、辛みが引き立つ。
「これはすいかに塩をかけると甘く感じるのと同じ原理によるもの。砂糖で辛み成分が増えるのではなく、砂糖の甘さで辛みを引き立てるのです」(清水さん)
クッキーやパンを湿気から守る
保存容器に角砂糖を2~3個入れておくと、砂糖がクッキーやパンの余分な水分を吸収し、しけるのを防いでくれる。同様にチーズの保存容器に角砂糖を入れておくと、カビが生えにくい。
次は生活編。生活シーンでも、とっさのときに覚えておくと便利な、魔法のような使い道がたくさんある。