脳にいい注目の栄養素ベスト6 調査で判明した“物覚えがいい人”の食生活【医師監修】
記憶力の低下を防ぐのに、最も重要なのは「食事」だという。食事は毎日欠かせないもの、どうせ食べるなら脳にいいものを食べたい。そこで、専門医に”脳にいい”とされる栄養素や摂り方を聞いた。アンケート調査で判明した”物覚えがいい人”の食生活も合わせてレポートする。
記憶力低下防止に最も必要なのは「食事」
記憶力の低下を防ぐのにもっとも重要な役割を担っているのが「食事」といえる。
以下、女性セブンのメルマガ会員組織『女性セブン倶楽部』のアンケート調査より(有効回答者数1524人)。
★1日3食、バランスの良い食事を摂っていますか?
食事については、半数以上の人が1日3食、バランスのよい食事を摂っているという結果に。これは、「物覚えがよい」人も、「物覚えが悪い」人も数値的にはあまり違いはなかった。
★脳の活性化にいい食材を意識して摂っていますか?
脳にいい食材を意識して摂るのは「物覚えがよい」人で4割、「物覚えが悪い」人で約3割だった。また「何が脳にいい食材かわからない」という人が、両者ともに約2割という結果だった。
脳にいい注目の栄養素ベスト6
「私たちの体は食べたものでできており、何を摂るかで体の組成や代謝が変わってきます。特に脳は大部分が脂質なので、質のいい油を摂らないと脳の働きが悪くなり、記憶力低下にもつながります」(認知症予防専門家で精神科医・今野裕之さん・以下同)
下のリストは最新栄養医学に基づく“脳にいい栄養素”だが、その摂り方には注意が必要。
【1】オメガ3脂肪酸
アマニ油やえごま油など植物由来のα-リノレン酸、イワシやサバなどから抽出されるDHA、EPAが代表的。
【2】クルクミン
ウコンなどに含まれるポリフェノールの一種。鮮やかな黄色をしており、カレーのスパイスなどに利用される。
【3】カテキン
ポリフェノールの一種で、お茶の苦味成分として知られる。緑茶をはじめ、紅茶やウーロン茶にも含まれる。
【4】クロロゲン酸
コーヒーに多く含まれているポリフェノールの一種。コーヒーの苦味や褐色、香りのもとになっている成分。
【5】レシチン、コリン
レシチンは脂質の一種で、コリンはビタミンとよく似た働きをする栄養素。ともに、卵黄や大豆などに多く含まれる。
【6】レスベラトロール
ポリフェノールの一種で、赤ワインをはじめ、ぶどうの種や皮、ピーナッツの薄皮、ココアなどに含まれる。
「現代の日本人は、コーン油やマヨネーズなどに含まれるオメガ6脂肪酸を摂りすぎている傾向にありますが、DHAやえごま油、アマニ油などに含まれるオメガ3脂肪酸は不足気味ですから、これらを意識して多く摂るといいでしょう。
ただし、加熱すると酸化するので生で摂るのがコツ。また、オリーブオイルを選ぶ場合は、認知症予防に有効なオレオカンタール入りの“エキストラバージンオリーブオイル”がおすすめです」
腸の動きも脳に影響することが分かった!
最近は、腸の状態が悪化すると脳にも影響を及ぼすとされており、腸で悪玉菌を増やさない食物繊維と、脳の神経伝達物質を生み出す働きにかかわるビタミンB群が豊富な葉物野菜は、絶好の脳活食材。
そのほか、豚肉やレバー、豆類もビタミンB群が多く、海藻、きのこも食物繊維が豊富。たこや鮭、ホタテなどに含まれるプラズマローゲンも、脳の老化を防ぐ成分として注目度が増している。
実際、アンケートの回答でも、物覚えがよい人は、脳の活性化を意識した多彩な食事を摂っていることがわかった。
物覚えが良い人の食生活とは?
■朝ご飯に炭水化物を摂り、しらすを食べる。(46才・会社員・大阪府)
■DHAやEPAを多く含む青魚を食べるようにしています。(47才・パート・広島県)
■くるみを1日14g食べる。(63才・主婦・大阪府)
■食事はバランスよく摂るように心がけ、特にごまや納豆は必ず食べるようにしています。(47才・パート・茨城県)
■飲み物はコーヒーや緑茶を飲むようにしている。(66才・主婦・福岡県)
■オメガ3系の油を摂取する。(69才・主婦・大阪府)
物覚えがよい人と悪い人との差は、生活習慣や気持ちの持ち方の違いにある。が、それらはどれも、すぐ実行できそうなことばかり。そう、変わろうと思えば、誰もが明日から生まれ変われるのです!
教えてくれた人
今野裕之さん/精神科医。『ブレインケアクリニック』名誉院長。認知症予防専門家。著書『最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術』(青春新書インテリジェンス)など。
取材・文/北武司
※女性セブン2021年6月17日号