地下鉄に乗っているとき大地震が発生したら…崩落、 停電、脱線への備え方
密閉され、周囲の状況がわかりにくい地下鉄の車内で、もしも地震が発生したら…。崩落で生き埋めにならないかなどの不安で、すぐに車外へ出たくなるのが心情だ。実際、阪神・淡路大震災のときは、神戸高速鉄道の大開駅で天井が崩れたケースもあった。車外にすぐ出るは正解?命を守る為に知っておきたい知識を専門家に教えてもらった。
地下鉄は地上に比べて地震に強い設計
「地下の深度が浅かったり、駅の構造によっては崩落の危険性はあります。しかし一般的に、地下は地上に比べて地震に強く、特に地下鉄は安全性が考慮された設計になっています。ですから、慌てて外に出なくても大丈夫です」
と、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。
というのも、地面が揺れた場合、地上にある建物は地面とは逆方向に力が働くために大きく揺れるが、地下の構造物は地面と同じ方向に力が作用するので、揺れが大幅に減衰するのだという。
前出の阪神・淡路大震災でも、大開駅以外の地下の被害は少なく、東日本大震災でも、東京や仙台の地下鉄で崩落や脱線といった事故は発生しなかった。
東京メトロは緊急地震速報を受信した場合、全路線の列車が緊急停止する
東京メトロなどの主要な地下鉄各社では、一定以上の揺れを検知したり、緊急地震速報を受信した場合、全路線の列車が緊急停止するようになっている。また、停電への対応も考慮されている。
「駅舎や車両には非常用電源が設置されており、停電時には切り替わるシステムが採用されています」(和田さん・以下同)
線路内の浸水には注意
地下鉄内で怖いのは、崩落や停電よりも、線路内に水が浸入する“浸水”だという。東日本大震災のとき、東京メトロ飯田橋駅につながる地下道に水が流れ出した。
「地下の線路脇には排水口があるうえ、防水ゲートなども設置されているため、一瞬にして地下が水没するようなことはありません。
地下鉄構内や線路内に浸水が検知された場合、車両は最寄り駅に移動し、アナウンスなどで避難が指示されるので、車内で待機している方が安全度が高いといえます」
人が車外に出ると、車両が動かせなくなり、ほかの乗客に迷惑をかけることになる。さらに、線路脇には高圧電線があり、触れると感電死する危険性もあるので、勝手に車外に出てはいけない。
まとめ
●地下鉄は安全性が考慮された設計になっている。
●地下の構造物は地面と同じ方向に力が作用するので、揺れが大幅に減衰する。
●線路内の浸水に注意。
●むやみ外には出ずに、乗務員の指示に従う。
地下鉄車内では乗務員の指示に従って、落ち着いて行動しよう。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年10月22日号
https://josei7.com/
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