大反響の「片手でクッキング」そのコツとポイントを紹介
脳血管障害等による片麻痺の患者さんたちから「料理も趣味もあきらめる必要はなかった」との声が続々――。
東京ガスが片麻痺の人に向けたレシピ集『片手でクッキング』を、ホームページに公開したところ、アクセスが一気に増え、大きな話題になっている。
『片手でクッキング』に紹介されているレシピは「鶏肉の炭火焼き風とグリル野菜」「アクアパッツァ」「ツナトマトソースのペンネ」「おにぎらず」「野菜とベーコンのスープ」の5品。
脳出血の後遺症で半身に麻痺がある東京ガスの女性社員の声などを取り入れ、1品でも満足でき、片麻痺の人でも作りやすく食べやすいメニューを選んだ。
こうしたメニューは一見すると片手では調理が難しそうだ。しかし、ポイントを使えばできるもの。6つの例を紹介しよう。
卵は落として割る
洗った卵を横にして約30cmの高さからボウルに向けて落とすと割れる。
「落とす高さが重要で、30cmより高すぎると殻が細かく砕けて黄身がつぶれ、低すぎると割れません」(東京ガス 食情報センターの杉山智美さん)
缶詰は半開きで充分
すべり止めマットの上に缶詰を置き、引き金を起こす。そして親指でフタの中心を押さえ、タブを人差し指で手前に引く。半分開けば中身は出るので、無理に全部開ける必要はない。
ヘタはひねって取る
プチトマトやいちごのヘタは、つまんでひねれば簡単に取れる。レタスをちぎる、きのこをほぐす、油や調味料を絡めるなど、道具を使わずに手でできる作業も多い。
肉ははさみで切る
肉でも野菜でも、はさみの方が切りやすければ、包丁から切り替える。道具は柔軟な発想で使えばいい。
菜箸よりトングを活用
トングはつまむ時に使うものと思いがちだが、寄せる、かき混ぜるといった作業にも有効なので、使用法を固定せずに幅広く活用しよう。
皮ごと切る
玉ねぎやにんにくは、切ってから皮をむいた方がむきやすい。ちなみに、片手調理で食材を切る時は、柄の刃に近いところを持って切ると食材が安定し、切りやすい。同社東京2020 オリンピック・パラリンピック推進室の原口聖名子さんはこう語る。
「弊社勤務のアスリートが、これらのメニューを作ってみたのですが、“あ、意外に簡単にできた”と言っていました。片麻痺歴が長いかたでも片手調理のコツや、情報を知らないことが多かった、という事実は驚きでした」
そんなレシピはどれも工程が簡単だが、見栄えがする点もいい。
「片手でも豪華なメニューが作れた」という達成感を強く感じられる、と杉山さんは言う。まだ、定期的な料理教室の開催予定はないが、東京ガスで大きなイベントを行う際に、実施していく予定だ。
【データ】
冊子はカラーで20ページ、無料でサイトhttps://www.tokyo-gas-2020.jp/challenge/からダウンロードできる。
写真提供/東京ガス
関連記事
→「片手でクッキング」が話題!麻痺があっても料理を楽しむ
※女性セブン2018年4月19日号
【関連記事】