地震で電車が止まり帰宅困難になったら…覚えておきたい「指定避難施設」って?
東日本大震災では、震源地から離れた首都圏でも公共交通機関が止まった。その結果、地震発生時に外出していた人の3割にあたる約515万人が、当日中に自宅に帰れない“帰宅困難者”となった(内閣府推計)。
首都直下地震が発生した場合、それを上回る約650万人の帰宅困難者が出ると推計されている。もし、そのうちの1人になったら…。 帰宅できなくなったときに、どこに避難すべきか、専門家に教えてもらった。
徒歩での帰宅はやめた方がいい
東日本大震災のときは、徒歩で帰宅した人も多かったが、それはやめた方がいいと、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。
「大勢が一斉に移動すると、人が密集し転倒事故が起きたり、道路に人があふれ、救急活動の妨げにもなります。余震が発生する可能性もあり危険なので、すぐに歩いて帰ろうとしてはいけません」(和田さん・以下同)
東京都は条例で、災害時はむやみに移動を開始しないよう呼び掛けている。
では、地震により電車が止まって帰れなくなった場合、どこで待機すればいいのか。
指定避難施設に向かう
「職場で被災したのであれば、職場で待機します。街中で被災した場合は、近くの“指定避難施設(帰宅困難者支援施設)”に向かってください。指定避難施設とは、火災や津波などの危険から一時的に身を守る“一時避難場所”で、公園や大型施設など、地域ごとに指定されています。
例えば東京なら、渋谷ヒカリエや新宿髙島屋などが該当します。水や毛布などが配布されるので、公共交通機関が回復するまで、そこで待ちましょう」
●学校などの避難所は自宅での生活が困難になった住民用
学校などの“避難所”の中には、一時避難場所を兼ねているところもあるが、避難所は災害により自宅での“”生活が困難”になった地元の住民が優先となるため、基本、帰宅困難者は受け入れてもらえない。
JRや地下鉄の駅舎も開放されるが、これら帰宅困難者向けの施設は、あくまで一時的な安全確保が目的なので、宿泊を前提とした用意はないと心得ておこう。
また、困ったからといって警察や病院へは行かないこと。これらの施設は、防災・救助活動が優先となる。業務に支障をきたす恐れがあるので安易な利用は控えたい。
→災害時に生き延びるための防災マニュアル|本当に必要な備え、進化したグッズ、食料
まとめ
●歩いて帰宅しない。
●職場で被災した場合は、職場で待機する。
●街中で被災した場合は、デパートなど指定避難施設に向かう。
●学校などの避難所は、地域の生活困難者のため。
●駅舎には、宿泊前提の用意はない。
●警察、病院は防災・救助活動が優先。安易な利用は控える。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
※女性セブン2020年8月13日号
https://josei7.com/