ひとり暮らしの高齢の親を【空き巣・特殊詐欺】から守るには?家族がしておきたい防犯対策
離れて暮らす親の暮らしは、普段なかなか見ることができない。だからこそ、帰省などで訪れたときには、家の様子だけでなく、防犯についても一度見直しておきたい。空き巣や特殊詐欺から親を守るために、家族ができる備えについて介護職員・ケアマネジャーの経験をもつ中谷ミホさんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家
中谷ミホさん
福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はライター・編集者として、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆・編集する。著書『介護職六法』(中央法規出版)、監修『サ責があなたに贈る本』(HTC出版)。保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級・終活ガイド資格1級。X(旧Twitter)https://twitter.com/web19606703
久しぶりの訪問で気づきたい、親の家の変化
離れて暮らす高齢の親の家を久しぶりに訪れると、ポストにチラシやダイレクトメール(DM)がたまっていたり、庭木が以前より伸びていたりすることがあります。こうした家まわりの様子は、防犯の面からも注意しておきたいポイントです。
今回は、ひとり暮らしの高齢の親を空き巣や特殊詐欺から守るために、家族ができる防犯対策を紹介します。
帰省すると、ポストにはチラシやDM、庭木も伸びていて…
※実例をもとに設定を一部変更しています。
渡辺悠子さん(仮名・54才・会社員)の70代の母親は、実家でひとり暮らしをしています。趣味や友人との外出で、家を空けることもよくあります。
久しぶりに実家を訪ねると、郵便受けにはチラシやDMが何枚もたまり、庭木の枝や雑草も伸びていました。母親の体調を心配した渡辺さんでしたが、本人は変わらず元気な様子です。
ほっとした一方で、気になったのが防犯面です。「留守しがちな家だと思われて、空き巣に狙われないだろうか」「庭木が茂って、周囲から見えにくくなっていることも心配」。さらに、最近は知らない番号から固定電話にたびたび電話がかかってくると聞き、特殊詐欺への対策も必要ではないかと考えるようになりました。
ひとり暮らしの高齢者宅で気をつけたい防犯上のリスク
郵便受けに新聞や郵便物が長くたまっていると、留守であることに気づかれる恐れがあります。また、庭木や植栽が茂っていると、玄関や窓まわりに死角ができやすくなります。周囲から見えにくい場所は、侵入されても気づかれにくいため注意が必要です。
もうひとつ気をつけたいのが、固定電話を使った特殊詐欺です。高齢者を狙った特殊詐欺では、警察官や役所の職員、家族などを装った電話が、被害のきっかけになるケースがあります。
離れて暮らしていると、家まわりの変化や、どのような電話がかかってきているのかを家族が把握しにくいこともあります。ここからは、郵便受けや庭、玄関・窓、固定電話について、家族ができる具体的な3つの防犯対策を紹介します。
対策【1】郵便物をためず、庭木や雑草を放置しない
侵入者は事前に家の周囲を下見し、留守かどうかや、侵入しやすい家かどうかを確認することがあるといわれています。郵便受けや庭の様子も、そのチェックの対象になりえます。
実家を訪れたときは、郵便受けに不要なチラシやDMがたまっていないか確認しましょう。不要な郵便物は、受け取りを拒否できる場合もあります。日本郵便が配達した未開封の郵便物などは、「受取拒絶」と書いたメモや付せんに署名または押印して貼り、郵便窓口へ持参するか、郵便ポストに投函すると差出人へ返還されます。開封済みのものや、日本郵便以外の事業者が配達したものは対象外です。
また、庭木や植栽が玄関や窓を隠している場合は、外から見通せるよう剪定し、雑草も伸びたままにしないようにしましょう。
ただし、高齢の親自身に剪定や草刈りを任せると、転倒やケガにつながるおそれがあります。家族で対応するのが難しい場合は、地域のシルバー人材センターや、草刈り・庭の手入れに対応する民間サービスに定期的に手入れを依頼しておくと安心です。
訪問介護を利用しているかたは、事業所によって保険外サービスで対応しているところもあるため、相談してみるとよいでしょう。
参考サイト:
日本郵便「迷惑な郵便物等の受取拒絶」
https://www.post.japanpost.jp/question/121.html
警察庁「住まいる防犯110番」
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_e_1_main.html
対策【2】玄関や窓の施錠、防犯設備を見直す
空き巣などの侵入対策では、まず玄関や窓の戸締まりを徹底しましょう。警察庁によると、住宅への侵入では、施錠していない状態で被害に遭うケースが多く発生しています。ゴミ出しや近所への買い物など、短時間の外出でも施錠する習慣をつけておきましょう。
窓からの侵入に備えて、補助錠や防犯フィルムを取り付ける方法もあります。このほか、窓ガラスへの衝撃を感知して警告音を鳴らすセンサーや、踏むと大きな音がする防犯砂利、人感センサーライト、カメラ付きインターホンなども防犯対策に役立ちます。
ホームセンターの防犯用品売り場を親と一緒に見て、自宅に取り入れやすいものを探してみるのもよいでしょう。
参考サイト:
警察庁「住まいる防犯110番」
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1_main.html
広島県警察「住まいの防犯対策」
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/police/sumainobouhantaisaku.html
対策【3】固定電話の特殊詐欺対策をする
警察庁は、特殊詐欺対策として「犯人と話さないこと」が重要だと呼びかけています。知らない番号からの電話には出ないことを基本にしましょう。
手軽にできる方法として、固定電話を常に留守番電話にしておくのも効果的です。メッセージで相手を確かめてから、必要な電話にだけかけ直すようにすれば、犯人と直接話さずに済みます。
固定電話には、着信時に相手の番号を表示する「ナンバー・ディスプレイ」や、非通知の電話に番号を通知してかけ直すよう案内する「ナンバー・リクエスト」といった機能があります。NTT東日本・NTT西日本では、70才以上の契約者、または70才以上のかたと同居する契約者を対象に、ナンバー・ディスプレイとナンバー・リクエストの月額利用料と工事費を無料にしています。(利用には一定の条件があります。)
このほか、着信時に警告メッセージを流して通話を録音する機能や、迷惑電話の着信を拒否する機能を備えた防犯機能付き電話に買い替える方法もあります。
警察官や役所の職員などを名乗る電話であっても、その場で個人情報を伝えたり、お金に関する話を進めたりしないようにしましょう。不審な電話があった場合は、警察相談専用電話「#9110」や消費者ホットライン「188」に相談できます。
親には「詐欺に気をつけて」と伝えるだけでなく、「知らない番号には出ない」「不審な電話があったら家族に知らせる」など、どのように対応するか具体的に話し合っておきましょう。
参考サイト:
警察庁・SOS47「固定電話の番号表示・非通知拒否サービス」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/service/
防犯機器の購入費などを補助する自治体も
たとえば広島市では、世帯員全員が65才以上であることなどの条件を満たす世帯を対象に、防犯機能付き電話機や固定電話に取り付ける機器の購入費、特殊詐欺対策サービスの初期工事費の一部を補助しています。補助額は対象経費の2分の1で、上限は1万円です。
対象となる機器や年齢、申請期間、補助額は自治体によって異なります。購入前に、親が暮らす自治体の案内を確認してみましょう。
参考サイト:
広島市「広島市防犯機能付き電話機設置等補助事業のご案内【令和8年度】」https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/1035962/1021171/1025678/1049745.html
帰省をきっかけに、防犯対策を見直そう
渡辺さんはその後、母親と一緒に郵便物を整理し、伸びていた庭木は地域のシルバー人材センターに手入れを依頼することにしました。固定電話については、ナンバー・ディスプレイとナンバー・リクエストを申し込み、知らない番号からの電話には出ないよう母親と話し合いました。
離れて暮らしていると、親の家の変化には気づきにくいものです。帰省したときには、郵便受けや庭、玄関や窓のまわり、固定電話の着信状況などを見てみましょう。帰省をきっかけに、親の家の防犯について一度見直してみてはいかがでしょうか。
