倉田真由美さん「ホイホイの釣果」くらたまね~&らいふVol.25
くらたまこと、漫画家の倉田真由美さんは、暮らしの中で毎年夏に悩まされていることがある。キッチンにあるテーブルで仕事をしていると、どこからともなく忍び寄る黒い影――ゴキブリを巡る今夏の攻防戦とは?
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。夫の叶井俊太郎さん(享年56)の闘病から看取りまでを綴った書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
毎年夏、出没は深夜
なぜか分かりませんが、うちには割とゴキブリが出ます。
昨年夏は、大きなのを6、7匹はやっつけたと記憶しています。出没はほとんどが深夜で、キッチン横のテーブルで仕事をしている時にどこからともなく現れるというパターンです。何度遭遇してもやはり最初びっくりはするんですが、逃げられると厄介なので一撃必殺のスプレーをシャー!と吹きかけて仕留めていました。見つけたのは1匹も逃していません。
今年の夏も2回ほどやっつけたのですが、ある日うちに遊びにきていた妹に「昨夜真由美さんの寝室で、まあまあ大きいの見たよ」と言われ、ゴキブリホイホイを設置することを決意しました。目に入ったやつらだけでは、取りこぼしもあるということです。
妹と一緒にドラッグストアに行き、ゴキブリホイホイを買ったのが8月上旬。二人で組み立てながら、実家での子供時代を思い出しました。
「昔、うちにも毎年のように置いてあったよね。ゴキブリホイホイ」
うちの実家も、まあまあ出没率が高かったと思います。
「あったね。大きいのが何匹も捕れてた」
妹が頷きます。気持ち悪いのに、獲れていると達成感のようなものがあり中を何度ものぞいたものでした。
「うちも、いると思うんよね。去年何匹もやっつけたし。今年はもう、これで捕りたい」
「捕れるといいね」
妹の激励を受け、ここだと思うところ5か所に設置しました。4つは冷蔵庫横やゴミ箱の奥などキッチン、1つは妹の目撃情報があった私の寝室です。
ホイホイの釣果
その後数日経って、「さあ、捕れてるかな」とちょっとわくわくするような変な気分でキッチンに置いた1つを手に取り、中を覗き込んでみました。
「あれ、いない」
内心、1匹はかかっている自信があったので拍子抜けしました。他のも確信しましたが、キッチンはどれも空振り。
腑に落ちない思いで私の寝室に向かい、期待しないで中を見ると1匹かかっていました。妹が見たのが捕れたのかもしれません。
「どうだった?」
妹に聞かれて釣果を答えると、「そっか。じゃんじゃん捕れるかと思ってた」と残念そう。私たちは二人とも、子どもの頃に実家で何匹も捕れていたのを覚えているので、そのイメージが強いのかもしれません。
そこでちょっと工夫をして、鶏の唐揚げの切れ端を餌としてホイホイの中に追加してみることにしました。SNSで「ゴキブリは唐揚げが大好き」というアドバイスをもらったので、それを試してみようと思ったのです。
そしてさらに数日。残念ながら、まだ1匹もかかっていません。
がっかりもしましたが、でも考えようによっては「現在、うちにはゴキブリがいない」ともとれます。そういえば、深夜仕事していてもホイホイ設置以降全然見かけません。
我が家はクリーン。
そう信じて暮らしていくことにします。
