猫が母になつきません 第444話「くみちょう」
組長就任です。いきなりの任命に面食らいましたが、断る選択肢はなさそうだったし、勢いにおされて「わかりました」と返事してしまいました。町内会費を集めて町内会長さんのところに持って行くのが仕事。一応回収は上期と下期にわかれているものの前任の方は「いっぺんに回収してました」ということで、年に一度やれば済むのならさっさとかたづけてしまおうと思いました。
でも、知らない人のおうちをいきなり訪問してお金をもらうなんて心理的なハードルは意外と高い。普段ほとんど猫としか話してないのに…。大家さんとお向かいのおうちの方以外は面識ないので、何か身分証とか持っていったほうがいいのかな?お留守だった場合はメモとか残す?その場合は電話番号とかも書いたほうがいい?さっさとやる前に頭はぱんぱんです。
そして一番大事なことに気がつきました。会費は一年で2400円、みんながぴったり出してくれるとは思えないのでお釣りが必要です。財布をみると100円玉は2個、千円札は4枚ほど。絶対足りないのはわかるけど、いくらあれば大丈夫なのかはわからない(泣)。近くに銀行はないし、コンビニで出すにも限界があるし、有料だし。キャッシュレス時代の集金て大変。
ネットで「町内会費_集金」で調べてみると同じ悩みを持つ人がたくさんいて、そのお悩みに対する回答は「持ってきてもらう」というのが多かった。そうか、封筒にお手紙をいれて各家にポスト投函しておこう。どのお家も距離的には近いのでいきなり訪問されるよりは都合のよいときに持って行く方がいいと思うし。そうしよう、そうしよう。
町内会費に電子決済を導入しているところも出てきているらしいのですが、高齢者の方が多いとそれも難しい。そもそも回覧板というものが超アナログだし。そして町内会は高齢者の方達に支えられている…。とりあえず組長は集金がんばります。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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