猫が母になつきません 第438話「もようがえ」
ずっと気になっていたんです…リビングにベッドがあることが。引越しのときに本来ベッドルームとなるべき部屋にとりあえず段ボールを全部入れ、リビングルームに家具を全部置いてもらいました。実家から賃貸への引越し、捨てたくないものも泣く泣く捨てて荷物を減らしましたが、それでも小さな平家はぱんぱん。外から見たらちょっと膨らんでたんじゃないかと。母が亡くなってすぐの引越しだったので、母の荷物は処分する間もなく、すべて一緒に運びこみました。
その後、段ボールはすべて開け、荷物は納めるべき場所に納めて落ち着きはしたものの、リビングに置かれたベッドはそのまま。ベッドのフレームが解体できないタイプで、狭い廊下を移動して奥の部屋にベッドを設置するのは一人では無理でした。一年以上リビングで寝ていて、もうこのままかもと思っていましたが、先日東京から友人が2人遊びにやってきて、うちでご飯を食べたついでにベッドを動かしてくれることになりました。3人いればベッドの移動なんてあっという間、リビングにはかなりゆとりができました。すっきりしたー。
しかし、友人たちがいる間ずっと納戸に身を潜めていたさび、やっと出てきてみたらあるべきところにベッドがない! ニャーニャークレームが止まりません。夜になって私が先にベッドに入り、後からさびも布団に潜って落ち着こうとするものの、しばらくして突然がばっと起き上がり「ちがう!」とベッドを降りて行ってしまいました。しばらくすると戻ってきてまた布団に潜り、じーーーーっ「ちがう!」(笑い)。これを5回は繰り返したと思います。私は先に寝てしまいました、ごめん。
猫は警戒心が強く「いつもと同じ」が好き。さびには模様替えでストレスを与えてしまいましたが、翌日にはもう慣れたのか普通にベッドで一緒に寝てくれました。安心して眠れる場所、目覚められる場所、それはささやかだけど贅沢で、いつまでもそれを守れる自分でありたいと思うのです。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
※現在、1話~99話は「介護のなかま」にご登録いただいた方のみご覧になれます。詳しくは以下をご参照ください。
https://kaigo-postseven.com/156011