猫が母になつきません 第430話「リーダー」
我が家のリーダーはさびである。メンバーが私とさびだけなので、リーダーもないだろうという話ではありますが、一日中一緒なのでサビに合わせた生活サイクルになっているのは事実。もともと手がかからないし甘えん坊でもない大人な性格のさびですが、最近なぜかリーダー気質を見せ始め、私がトイレに行こうとすると「はい、トイレトイレ」と先に立って連れて行く。おなかがすいたら「さあさあ、ごはんごはん」と私を台所へといざなう。さびがごはんを催促する時間は毎日正確に決まっており、時計をもっているのではと疑うほどです。台所で私がさびの器とフードを手にしたのを確認すると、食事の定位置である机の下にスタンバイして正座で待つ。ぬかりない段取りと行儀のよさもリーダーの風格です。
寒い時期は一緒に寝るので、私が遅くまで起きていると「もう寝る時間は過ぎている」と怒られ、私は急いでパソコンの電源を落としベッドに潜り込みます。なぜかさびが単独でベッドに入ることはないので、必ず私が先に布団に入ってさびを迎え入れます。私が左腕を差し出すとさびは自分の両前脚をそこにのせてしばらくじーっと前を見ている。そのきりっとした横顔をうっとりと眺める私…一生ついてゆきます。さびが眠くなって小さな頭を私の腕にのせると、もうかわいいばかりでリーダー感はなくなってしまいますけど。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。