ヘルパーの離職率が過去最低に 介護労働安定センター調査で判明「人材不足感」には課題も
介護労働安定センターが実施した令和5年度の介護労働実態調査において、訪問介護員(ホームヘルパー)の離職率が11.8%と過去最低を記録したことが明らかになった。前年から1.5ポイント低下したこの結果は、介護業界全体における労働環境の改善の成果を示すものであり、介護職員全体でも離職率が13.1%にまで下がっている。これにより、現場での人材定着が進んでいることが確認された。
離職率が改善
訪問介護員の離職率が11.8%にまで低下したことは介護業界における大きな進展で、職場環境の改善が効果を発揮しているようだ。特に、職場の人間関係や労働時間の調整といった、働きやすさを重視した取り組みが奏功していると考えられる。また、全体の介護職員の離職率も13.1%と下がっており、採用率も上昇していることから、業界全体での人材確保と定着が進んでいることがうかがえる。また、ヘルパーと介護職員の採用率はそれぞれ16.8%、16.9%となっており、前年よりも上昇している。これらのデータは、介護業界が直面していた離職問題に対する効果的な対策が進んでいることを裏付けるものだ。
人材不足感は、依然として課題に
一方で、同調査では「人材不足感」が依然として残る課題として浮き彫りになった。特にヘルパーにおける人材不足感は深刻であり、「大いに不足」と回答した事業所が12.1%、「不足」「やや不足」を含めた不足感全体では64.7%に達している。これは、離職率の改善が進んでいる中でも、新たな人材の確保と現場での安定した勤務の確保が完全には達成されていないことを示している。
また、施設における介護ロボットやICT機器の導入状況についても言及されており、事業所のサービス種別にとらわれず、パソコンによって利用する介護ソフトで「利用者情報(ケア記録・ケアプラン等)の入力・保存・転記の機能」を利用している事業所は50%以上となっていた。一方で介護ロボットの導入はまだ一桁台の数字となっているため、現場の労働負担を軽減するための設備投資は今後も大きな課題となりそうだ。
今後の展望
介護業界における離職率の改善は、労働環境の改善が実を結んでいる証といえる。しかし、人材不足感の解消にはさらなる取り組みが求められている。特に、介護ロボットやICT機器の普及を通じて、現場での業務負担を軽減することが重要となる。また、政府や自治体による支援も必要不可欠であり、労働条件の改善を通じて、介護業界の持続可能な発展が期待される。
構成・文/介護ポストセブン編集部