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「冷凍した手作り介護食をこたつで解凍はNG」介護食のとろみ剤、作り置き、冷蔵・冷凍保存、解凍の注意点を徹底解説

 離れて暮らす高齢の親に介護食を作っていく。そんなシーンも増えているのではないだろうか。とろみのついた介護食は、冷蔵や冷凍保存ができるのか?とろみ剤の選び方や、加熱の注意ポイントなどについて、管理栄養士・川鍋仁美さんに教えてもらった。「コタツで解凍する」という高齢者の仰天エピソードもあり、作り置きをする際には、解凍の仕方にも注意が必要だという。

教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん

管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/

「介護食の作り置き」の保存法について解説

「遠距離介護」「中距離介護」という言葉も身近に聞かれるようになってきました。最近、介護食を「作り置き」するかたも増えてきています。

 介護が必要な家族と同居はせずに、離れていてもできる限りのサポートをしたいというかたにとって、「作り置き」は今後さらに必要になってくるのではないでしょうか。

「作り置き」といえば「冷蔵」「冷凍」保存が一般的ですが、介護食は飲み込みをしやすくするため“とろみ”をつけることが多いと思います。

 とろみのついた介護食は冷蔵・冷凍保存は可能なのでしょうか? 

 この記事では、とろみのついた手作りの介護食を、冷蔵・冷凍保存はできるのか――。『介護食の作り置き』について詳しく解説します。

とろみつきの介護食は「冷蔵」保存できる?

 作り置きしたとろみつきの介護食の「冷蔵」保存は可能です。ポイントは「とろみ調整剤(以下、とろみ剤)の種類と選び方」にあります。

 まずは、とろみ剤の成分について確認しておきましょう。

 とろみ剤は、大きく分けて3つに分類され、それぞれ主原料が異なっています。

・とろみ剤の主成分の違い

第一世代:デンプン

第二世代:デキストリン+デンプン+増粘多糖類(グアーガム)

第三世代:デキストリン+増粘多糖類(キサンタンガム)

 とろみ剤は時代とともに改良され、より使いやすく進化しています。デンプンが主原料のものは、とろみの発現が比較的速く、使いやすい側面もあります。

 一方、現在多くの施設等で使用されているのが、第三世代のとろみ剤。デキストリンを主原料とし、キサンタンガムという増粘多糖類が含まれています。デキストリンは、いも類やとうもろこしなどのデンプンから作られる「食品」で、とろみやコクを出すために使われています。

 第三世代のとろみ剤は、とろみをつけても白くならずほぼ無味無臭、食べ物や飲み物の味や色を変化させずにそのまま生かすことができるものが多くなっています。

 また、冷たいまま・常温のままでもとろみづけができ、温度変化や唾液の影響を受けにくく、時間が経ってもとろみの状態が変わりにくいというメリットもあります。

<検証>とろみ剤3つの商品で実験!「冷蔵」保存による変化

 第三世代のとろみ剤を使って、実際に試してみました。使ったのは以下の3品。

『バランス献立 とろみエール」(アサヒグループ食品)

『ソフティアS とろみ調整用食品」(ニュートリー)

『キユーピー やさしい献立 とろみファイン』(キユーピー)

 上記の3品を使って、とろみつきのみそ汁を冷蔵庫に保存して「直後」「12時間後」の変化を確認してみました。

 まずはみそ汁を作って「中間のとろみ(スプーンを傾けるととろとろと流れる)」をつけます。始めにとろみ剤をいれた温度は45度です。

【とろみ剤 添加直後】

 3品とも使用方法に記載のある規定量で適切なとろみをつけることができました。

とろみ剤を使うときのポイント「温度やかき混ぜ方に注意」

 とろみ剤の多くは『10~45度』の食品に使用することに適しています。

 高温の料理にとろみ剤を使用すると、とろみがつきにくく必要以上にとろみ剤を使用してしまい冷めたときにとろみが強くなりすぎてしまう恐れがあります。

 加熱した料理にとろみをつける時は一度鍋を火から下ろして粗熱をとって適温下でとろみつけするようにしましょう。

 また、最初にとろみをつけたときに混ぜ方にムラがあると、冷蔵保存したあとにもとろみにもムラができてしまうため注意が必要です。とろみをつけた食品を冷蔵保存する際はとろみをつける時点で良くかき混ぜてムラができないようにとくに意識しましょう。

【冷蔵庫に入れて12時間後の変化】

 3つとも、冷蔵庫から出した直後は表面にうすい膜をはったような状態でしたが、混ぜることで作りたてのとろみの状態に戻りました。

 その後も経過を観察したところ、1日(24時間程度)の範囲であれば一度とろみをつけた食品を冷蔵庫に保存しても、離水など見られずとろみの強さに大きな変化は見られませんでした。

 3品とも「冷蔵」しても形状の変化がないので、「冷蔵」保存は問題なくでき、温めて提供すれば作ったときと同じ状態になります。

 ただし、前述のように、とろみ剤の多くは『10~45度』の食品に使用することに適しています。とろみをつけた時より高い温度(45度以上、50度など)で加熱すると、とろみが再現されにくくなったり、とろみが弱くなったりしてしまうことが考えられます。

 介護食は熱々の状態で食べることは少ないとは思いますが、誤嚥を防ぐためにも『食べる前に必ずとろみの状態のチェック』をして安全を確認してから提供しましょう。

とろみつき介護食の作り置きを「冷蔵」保存する際のポイント【まとめ】

・第三世代(増粘多糖類+デキストリン原料)のとろみ剤がおすすめ。

・とろみをつける時にムラなく良く混ぜましょう。

・冷蔵庫から出したら、汁物・飲み物などは再度よく混ぜましょう(あんかけなど少量の場合はそのままでも可)。

・食べる前に必ずとろみの状態を確認してから提供しましょう。

とろみつき介護食の「冷凍」保存は可能?

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