最新AIで介護を便利に!オムツ選び、誤嚥予防、見守りに役立つ注目サービス3選
介護はどうしても人の手を必要とするが、最新のAIサービスを活用すれば、介護する人の負担を減らすことができるかもしれない。オムツ選び、誤嚥予防、介護の見守りに最新のAIを取り入れた、今注目のサービスを紹介する。
介護に役立つAIサービスに注目
厚生労働省によると、男の平均寿命は 81.64年、女は 87.74年となっており、前年を上回っている※1。これに対し、3年ごとに発表される「健康寿命」は、男性は72.68才、女性は75.38才※2となっている。
健康寿命から平均寿命まで10年以上もあり、この期間にはなんらかの介護や介助が必要になる場合もあるが、なるべく介護者の負担をかけずに生活したい。そこで注目なのが、介護現場に続々と参入するAIを使ったサービスだ。
介護は人の手が必要となるが、最新のAIテクノロジーを取り入れて、介護する人もされる人もラクに介護生活を過ごしたい。そこで、今注目の介護に役立つAIサービス3つを紹介する。
※1 厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況」
※2 厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」
【1】オムツの採寸をAIで「最適サイズ診断」
「80代の母は、服も紙パンツも、体を締め付けるものを嫌がります。大き目の紙パンツを履いていたら、横から漏れてしまうので困っています」(50代女性)
「介護中の父にそろそろオムツを使ってもらおうと思って、Lサイズを購入したら、意外と緩め。年を取って下半身の筋力が落ちていたのかな」(50代女性)
そんな介護に必要なオムツの悩みに、AIを取り入れたサービスが話題を集めている。
・介護用オムツ4割がサイズを間違えている
大人用排せつケアブランド『ライフリー』を販売するユニ・チャームでは、紙おむつに関する問い合わせが4年間で約4倍にも増えているという。
同社が運営するウェブサイト「大人用おむつNAVI」への問い合わせや、お客様相談センターに寄せられる声の中で、相談者の約6割が「適切なおむつの選び方やサイズ」に関するもの。
また、介護用に紙おむつを購入する介護者の多くは、本人に相談することなく、過去の洋服や下着のサイズから紙おむつを購入している人が多く、約4割の人たちが間違ったサイズを選んでしまっているというデータも。
・記者がオムツのサイズを採寸してみた!
正しいオムツのサイズ選びのために、ユニ・チャームが提供しているのが、AIを用いたオムツのサイズ診断だ。
LINEで公式アカウント『Unicharm』を友達登録し、質問に答えていくと、最適なオムツが提案され、『最適サイズ診断』アプリを使用できる。
「サイズ診断を始める」をクリックすると、「おむつサイズ診断」がスタート。スマホのカメラ機能で、全身(正面と横)を撮影すると、AIによって太もも周り、ウエスト(おへそ周り)、ヒップ周りを計測され、最適なオムツのサイズを提案してくれる。
・AIを利用したアプリ『Bodygram(ボディグラム)』
オムツの採寸に使用されているのは、AIを利用した『Bodygram(ボディグラム)』という身体計測アプリ。非接触で体のサイズを計測できるため、コロナ禍で注目を集め、アパレルブランドの採寸などにも活用されているものだ。
服を着たままでも、顔・首・手首などの情報から、AIが適切なサイズを導き出せるほか、体のサイズの変化なども計測できるので、ダイエットなどにも活用できる。
【データ】
ユニ・チャーム 最適オムツ診断
友達登録で無料で利用可能【2】誤嚥性肺炎のリスクをAIがお知らせ「GOKURI」
厚生労働省の調査によると、日本人の死亡の原因として5位に挙がる肺炎※3。中でも高齢者が注意したいのが「誤嚥性肺炎」だ。
誤嚥性肺炎は、食べたものや口の中の細菌などが誤って気道に入ることで発症する病気で、咀嚼したり飲み込んだりする機能が衰えることで発症するリスクが高まるとされている。そんな誤嚥を防ぐために開発されたAIサービス『GOKURI』にも注目だ。
これは、筑波大学発のスタートアップ企業PLIMES(プライムス)が開発したネックバンドで、スマホに繋いで使うもの。
首に装着したネックバンドのセンサーによって、飲み込む時の音や姿勢を計測。その結果をAIとクラウド上のデータベースが解析し、しっかり飲み込めているか、どのくらいの食事を食べられそうかを示してくれる。現在は、介護施設や病院、訪問歯科などでの利用がメインとなっているが、将来的には在宅介護での利用も見込まれる。
嚥下の状態を把握できれば、適切な食事のとろみや食べ方を把握でき、誤嚥を防ぎながら、おいしい食事を食べることにも役立つかもしれない。
※3 厚生労働省「2020年人口動態統計(確定数)」
【データ】
GOKURI
販売元:PLIMES
価格:本体9万9000円、利用料: 26万4000円(年間)(訪問歯科クリニックへの提供価格・編集部調べ)
【3】介護用の見守りカメラにAIを活用「ポンパドール」
認知症などで徘徊をしてしまう場合、四六時中つきっきりの介護が必要となる。しかし、24時間見守るといっても限界がある…。そんな介護者の不安を解消してくれるのが、AI画像解析技術を利用した介護用見守りカメラ『ポンパドール』だ。
搭載した画像解析ソフトが人間の動きのみを検知し、部屋や玄関を出るなど徘徊の動きがあったとき、大きな音で警告音を発してくれる。
また、スマホと連動させることで、外出時でも家族に状況が通知されるというオプション機能も。AIによるデータの蓄積により、転倒やベッドからの転落がどのタイミングで起こるかを解析し、室内でも事故の防止に役立つ。
【データ】
商品名:ポンパドール
販売元:Legit Networks
価格:980円(介護保険適用で1割負担の場合の月額レンタル料・編集部調べ)※オプション機能以外は介護保険料の適用対象
取材・文/西谷友里加