健康を増進しメタボ・認知症予防!良いことだらけの「家事エクササイズ」
家事のメリットは、活動量を稼ぐだけではない。手をよく使う家事は、認知症予防にも大きな効果がある。それは、他の部位と比べて、手は脳の活性化に大きな影響があると、わかっているからだ。
「特に手先を多く使う料理は、認知症予防に最適です。脳梗塞で倒れ、右手足の麻痺が残った男性が、家事で皿洗いをしたのが『どんなリハビリよりも疲れた』と、話してくれたことがあります。なぜ疲れたかというと、麻痺があったので皿洗いに時間がかかったことに加えて、脳も疲労したからです。その疲労こそが、認知症予防には大切なのです。
普段、家事をしない男性も、健康につながるのはもちろん、家族に感謝されるので、ぜひ積極的に家事に参加してほしいですね」(渡部さん)
家事は人のためならず。いつまでも元気でいるために、やらなきゃ損だ。
脳も体も鍛えられる!あなどれない家事ベスト3
あれこれ忙しく行う家事の中で、特に脳と体を鍛えるのに最適なおすすめを渡部さんに聞きました。下のやり方を参考にして、家事をしながら鍛えましょう!
上のイラストは、脳神経外科医のワイルダー・ペンフィールドが行った、脳と体の部位との対応関係についての実験を基に描かれた『ホムンクルス(小人)』。各部位の大きさは、知覚や思考、記憶など脳の重要な機能を司る大脳皮質の相当領域の面積に対応。大きな手や口は、脳で何かを認知するために重要な器官であることを示す。
●1:料理 デュアルタスクで認知症予防に
「手を使うと足を使った時の何倍もの量の酸素が脳に送られるため、思考力や集中力がアップし、脳が活性化します。また、料理はみそ汁を作りながら野菜を切るなど、2つ以上のことを同時に行う“デュアルタスク(ながら動作)”作業なので、認知症予防にも効果があります」
●2:風呂掃除 しゃがんで足腰を鍛える
しゃがんだり立ったりを繰り返す風呂掃除には、スクワット同様の効果が。
「太ももの大きな筋肉を使うので活動量も高くなる上、ダイエットにもおすすめ。中腰姿勢は腰に負担がかかるので、浴槽の高さに合わせてひざを曲げてしゃがんで行って。ただし、ひざが痛い人は無理せずに」
●3:洗濯物干し 腕の上げ下げで肩のストレッチ
高齢になると肩が上がりにくくなるもの。「生活の中では腕を持ち上げて行う動作は少ないので、洗濯物干しは肩周りの筋肉の維持やストレッチに最適です。ただし、猫背で行うと肩の筋肉にストレスがかかり痛めることもあるので注意して。手先を使うことが多いのもポイントです」
テレビを見ながら転倒予防エクサ!
次に、高齢者に多い骨折を予防するために、転倒しない体を作るエクササイズを渡部さんに教えてもらった。気づいた時に何度でも実践してみよう!
●1: 腰の圧迫骨折を予防
椅子に浅く腰掛け、ひざを伸ばしたまま左足を上げて10秒キープ(右足も同様に)。
「高齢になると、座ろうとした時にひざが抜けて尻もちをつき、腰椎圧迫骨折する人が増加します。ひざを伸ばす筋肉を強化すると予防になります」
●2:股関節の骨折を予防
椅子に浅く腰掛けて、右足を伸ばして上げ、ひざを曲げずに足を外に10回開く(左足も同様に)。
「横によろめいて転倒すると、股関節にある大腿骨を骨折します。よろけた時に踏ん張れるように、足の横の筋肉を鍛えましょう」
●3:手首の骨折を予防
椅子に腰掛け、両脚のかかとを床につけたまま、つま先を上げて10秒キープ。
「高齢者は転んだ拍子に手をついて、手首を骨折するケースが多くあります。つまずき予防のためにも、つま先を持ち上げる時に使う“すねの筋肉”を鍛えましょう」
メッツを稼ぐ「ちょっとだけめんどうな」生活
「健康のためには、家事をはじめとして、常に体を動かし、活動量を増やすことが大切」と渡部さん。運動・医科学の権威であるミズーリ大学のハミルトン教授の研究では、日常の生活活動で消費されるエネルギーを増やせば、特別な運動をしなくてもメタボが防げるという結果も出ている。
特に60代以降の人はちょっとめんどうな生活を意識するだけで、かなりの効果が期待できるそう。是非、実践してみよう。
以下はおすすめの生活!
●テレビは立って見て、リモコンを使わずにチャネルを変えるときはテレビまで歩く。
●万歩計をつける。
●買い物はこまめに行く。
●移動は徒歩で。
●よく噛んで食べる。
イラスト/山本郁子
※女性セブン2018年6月21日号
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