犬を飼っている人は飼っていない人に比べ死亡リスク33%軽減
高齢者がペットを飼うには、クリアしなければいけない問題が多いのが現状だ。しかし、高齢者がペットと暮らすメリットは、科学的にも証明されている。具体的にどんな効果があるのか、最新の研究結果と共に紹介する。
犬を飼っている人は、活動レベルが高い
2017年11月、イギリスの科学雑誌サイエンティフィック・リポーツに「犬を飼うと心血管疾患や死亡リスクが低下する」という研究結果が発表され、話題となった。
特にひとり暮らしの場合、犬を飼っている人は、飼っていない人に比べて死亡リスクが33%、心血管疾患関連の死亡リスクが36%も低減する可能性があるという。
その理由として、犬を飼っている人は、犬の散歩に出かけるなど、活動レベルが高いことが挙げられていた。
動物と触れ合うことは認知症ケアに
「肉体的なことに限らず、ペットとの触れ合いには、さまざまなメリットがあります」と話すのは、日本アニマルセラピー協会理事長の高松雅行さんだ。特に高齢者への影響は大きく、同協会では高齢者施設などに犬を派遣する活動を行っているという。
「動物と触れ合うことで会話や笑顔が増え、表情が豊かになるんです。そのため、認知症ケアにもつながるといわれています」(高松さん)
医療現場にも取り入れられている「アニマルセラピー」
このように、動物との触れ合いを通じて、生活の質の向上や病状の緩和を目指す療法をアニマルセラピーという。
「セラピーというと単なる“癒し”と思われがちですが、本来は治療・療法という意味。最近では、その効果が認められ、医療現場でも実績を上げています」(高松さん)
訓練をうけたセラピードッグが、国立病院の緩和ケア病棟を訪問してリハビリの手伝いや、場合によっては患者の緊張感を解くため、手術室まで同行しているという。
動物を触れ合うと幸せホルモン・オキシトシンが分泌される
ではなぜ、動物との触れ合いに癒し効果があるのか? それには幸せホルモンと呼ばれる“オキシトシン”が関係している。オキシトシンは女性ホルモンの一種だが、年齢・性別に関係なく、ペットなどに触れて“かわいい”“愛おしい”と思った時に分泌されるという。
「オキシトシンには、不安を和らげ、幸せな気持ちにさせる働きがあります。さらに免疫力が高まるともいわれていて、実際、ペットと暮らしている人は、ペットを飼っていない人より、年間20%前後、病院に行く回数が減ったというデータもあるほどです」(高松さん)
ペットとの暮らしは、肉体的・精神的にもプラスに働くことが多いようだ。
※女性セブン2018年5月10・17日号
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