【都営新宿線】注目の介護付有料老人ホーム【まとめ】
評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
東京都新宿区の新宿駅から千葉県市川市の本八幡駅までを結ぶ都営新宿線。全線でバリアフリー化を完了しており、高齢者にもやさしい路線となっている都営新宿線の介護付有料老人ホームを紹介する。
「歩く」をテーマにした介護付有料老人ホーム「プレザングラン江東亀戸」
都営新宿線「東大島」駅から徒歩11分、2017年にオープンした「プレザングラン江東亀戸」。「大島」駅からも徒歩14分の場所にある、こちらの施設のテーマは“歩くからはじまるセルフメディケーション”だ。
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」が“歩くからはじまるセルフメディケーション”の意味。その目的を達成するために、リハビリ(機能訓練)や医療、食事、QOL(生活の質)からアプローチをしているそうだ。リハビリでは、理学療法士が運動能力の評価をし、機能訓練のメニューを作成。また、食事では歩くことにプラスになる献立が栄養士によって考案されているという。1550キロカロリー・カルシウム620ミリグラムの「ベーシック食」があり、そこに100キロカロリー、カルシウム80ミリグラムを加えた食事を提供している。
理学療法士によるリハビリや往診の医師による医療の視点、さらに食事・栄養の側面からも歩くことをサポートしているという。歩けるようになると身体にエネルギーが必要になってくるので、カロリーをアップするために食事にオリーブオイルを加えたり、豆腐に小海老をかけてカルシウムを強化するなど工夫を重ねているそうだ。
建物内の廊下は広く、一直線になっていて、手すりを端までつけて歩きやすくしたという。また、水分補給のために館内各階に準備している給茶器は、緑茶、ほうじ茶、水、コーヒー、スポーツドリンクなど10種類から選べるそうだ。徹底して全てのことを歩くことにつなげている印象だ。
転倒などの事故を恐れて、他の階への移動を制限している施設も多いという。暗証番号を押さないとエレベーターを操作できないようにしている施設も多いそうだが、こちらでは入居者が自由にエレベーターに乗って移動できるようにしている。入居者の家族にも転倒などのリスクについては説明をし、「行動を制限するよりは歩いてほしい」という考えを共有しているそうだ。
歩くというコンセプトに基づき、入居者の状態によってステージ1、ステージ2、ステージ3に分けているという。ステージ1は自立歩行・杖歩行、ステージ2は車椅子・歩行器、ステージ3は寝たままの状態が長い方・座位保持の状態で、目標をそれぞれ定め、機能訓練や生活リハビリ、食事などの施策に落とし込んでいくそうだ。
例えば、ステージ2の車椅子・歩行器の人の目標は歩けるようになること。そして、目的は外出できるようになることと、いつまでも元気で過ごすことだ。そのために機能訓練で個別のプログラムに取り組み、カルシウムをプラスした食事を摂るという計画を立てるという。
こちらには「病院で行っていたリハビリの努力を無駄にしたくない」という動機で入居する人も多いという。その期待に応えるために、病院で行われているNST(Nutrition Support Team)という取り組みも参考にしているそうだ。NSTとは入院患者に最良の栄養療法を提供するために、多職種で構成する医療チームのこと。歩きたいという願いを持つ家族にとって、今後も頼れる存在になっていきそうだ。
→リハビリや食事で歩けるように!「歩く」をテーマにした介護付有料老人ホーム<前編>
→「歩く」をテーマに!一人で外出もできる介護付有料老人ホーム<後編>