兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし「第59回 非常ボタン」
若年性認知症を患う兄と暮らすライターのツガエマナミコさん。病気のため会社勤めを辞め、ほぼ1日中家で過ごす兄だが、このところ、日常生活でできないことが増えてきたことが気になっている。毎朝淹れるコーヒーメーカーの使い方を忘れたり、ベランダの窓をうまく閉められなかったり…。このたびは、またビックリすることが起きてしまったという。
「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。
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やらかしてしまった兄…とその顛末
兄が隠居生活を始めてから1年以上が経ちました。いまの兄を見ていると、朝「行ってきます」と言って会社に出掛けていたのが何十年も昔のことのようでございます。
目立ってひどい変化はありませんが、いろいろなことが怪しくなっておりまして、じわじわと認知症が進んでいることは確実です。
そして先日また兄がやらかしてくださいました。
少し前、わたくしが鍵を忘れて締め出されたお話(第53回)をしましたが、その日も少し久しぶりに抜き打ちテストをしようと思い、買い物を終えて部屋番号と呼出ボタンを押し、兄がイン