高齢者の介護サービスはどこまで「公的」にすべき? どこから自費? 生活援助は6割の人が「公的サービスで」と回答
この8月末に公表された「令和4年社会保障に関する意識調査」によれば、高齢者への掃除や洗濯といった生活援助について、6割の人が公的介護サービスとして提供すべきだと考えていることが明らかになった。
同調査では、訪問介護における生活援助サービスについて「負担が増えても公的サービスを充実すべき」と答えた人が14.4%に上り、「どちらかといえば公的サービスで賄うべき」とする人は45.6%に達した。あわせて6割以上の人が公的介護サービスとして提供されるべきと回答していることになる。一方、「自己負担で賄うべき」と答えた人は25.2%にとどまり、公的な支援への期待が高まっていることがわかる。
公的サービスで求められているものとは
この意識調査で公的に行うべき介護サービスについて調査したところ、「福祉用具の購入や貸与」が7割を上回る数字となり、次いで「外出の手伝い、送迎・移送サービス」「生活援助(掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援)が6割という結果になった。一方で、「趣味、レクリエーション活動、学習活動への支援サービス」などは「私的サービスでまかなうべき」との回答が4割を超えていた。
財務省が介護保険改革を提案、持続可能性を目指す
財務省は、介護保険制度の持続可能性を確保するため、生活援助を含む訪問介護や通所介護サービスを地域支援事業へ移行させることを提案している。
これは、少子高齢化に伴い増大する高齢者支援にかかる財源を確保するための対策だ。 特に、軽度な支援を公的保険の対象から外し、地域のサポートを強化することで、制度の効率化と財政健全化を図る狙いもあり、こうした動きは今後の介護サービス提供の形に大きな影響を与える可能性がある。
今後の課題と展望
厚労省の調査結果からもわかるように、多くの人が公的サービスによる生活援助を望んでいる。一方で、財務省が提案する改革案が実現すれば、軽度な介護サービスが自費化される可能性も出てくる。これからの介護保険制度の行方を見守る必要がある。
構成・文/介護ポストセブン編集部