関西のお正月を彩る「にらみ鯛」「さんま寿司」「棒鱈」…京都でかかせないのは「えびいもと棒鱈の炊いたん」【関西編】
おせちの定番といえば栗きんとん、伊達巻、黒豆、数の子などがあげられるが、地域の食材を活かした伝統料理も多い。各地域に根づいた特色あふれる食材に込められた意味や願いを知ることで、お正月を人一倍幸せに迎えられるかも?今回は読者に聞いた「関西」の名物おせち料理を紹介する。
教えてくれた人
こてらみやさん/料理家。京都府出身。
京都のお正月料理に欠かせない「えびいもと棒鱈の炊いたん」
乾いた棒鱈を水に浸けて数日かけて戻し、下ゆでしてから調味料で煮含め、ふっくら炊いたえびいもと合わせた煮物です。祖父の大好物で、お正月が近づくと棒鱈を浸けたバケツから漂う匂いが子供の鼻には臭くて…。幼い頃はおいしさがよくわかりませんでしたが、いまとなっては懐かしい味です(こてらみやさん)
【奈良県】柿なます
大根、にんじんを酢に混ぜてなますを作り、干し柿と和えた料理。酸味のある紅白なますに柿が入ることで食べやすくなる。「毎年柿なますを作る用に、柿を一個だけ熟すまで食べずに取っておきます」(54才 女性)
【京都府】えびいもと棒鱈の炊いたん
えびのような形でしま模様のある京の伝統野菜「えびいも」と、棒鱈を甘辛く煮つけた料理。えびいもが旬の秋から冬にかけてよく作られるが、里いもで代用する家庭もある。香りづけのゆずがアクセント。
【愛知県】はぜつくだ煮
「はぜの顔が翁の能面に似ていることから長寿を連想させる縁起物。干したはぜを甘辛く炊く匂いは強烈なので、いつも屋外で炊いていました。祖母が作ってくれた思い出の味です」(55才 女性)
【三重県】煮なます
しいたけ、にんじん、大根、昆布、油揚げなどをしょうゆ、酢、砂糖で汁気がなくなるまで煮る。お正月や法要など、多くの人が集まるときに作られる郷土料理。似た具材でしょうゆを使わない「ちゃつ」という料理もある。
【大阪府】にらみ鯛
関西には、尾頭つきのおめでたい鯛を塩焼きにしてから飾る風習がある。「三が日の間は見るだけですぐには食べず、数日置いてから箸をつけます。最終的には潮汁にして家族みんなで食べるのがわが家の慣わしです」(48才 女性)
【滋賀県】赤こんにゃく煮
赤こんにゃくに、花かつお、しょうゆ、みりんなどの調味料でじっくり味をしみ込ませ、最後に唐辛子を加えるのが一般的。「近江八幡市の名物。鉄分たっぷりで栄養価も抜群! 煮ても脱色せず、おめでたい赤色はおせち料理に欠かせません」(63才 女性)
【和歌山県】さんま寿司
開いて小骨を抜いたさんまを酢でしめ、酢飯にのせた寿司のこと。しょうゆにつけずそのまま食べる。もとは米飯や魚の保存食として発展したもので、秋祭りやお正月といった人が集まる行事で振る舞うごちそうだった。
【兵庫県】黒豆煮
丹波篠山の黒大豆は、粒が大きく糖度も高い。煮ても皮が破れにくいのが特徴。黒大豆の中では最高級品と言われる。「わが家では乾燥黒大豆を一晩以上水に浸けて戻し、水、砂糖、しょうゆを合わせて鉄鍋で水気がなくなるまで、弱火でじっくりと煮ます」(50才 女性)
※おせちに関する情報は、女性セブン読者1584人のアンケート調査結果(10月23日~11月5日に実施)、紀文食品『お正月に関するデータベース/全国の郷土のおせち料理』、農林水産省「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」(ともにサイト記事)を統合し、編集部で総合的に判断したものです。
※各県の一部地域でのみ確認できる料理、県境を越えて食される料理、また一部雑煮、冬期に食す郷土料理等も含まれています。
※各地の料理(または使われている食材)は、大手通販サイトや地方の特産品サイト等で取り寄せが可能なものもあります。
撮影/宮司信吾、深澤慎平 写真/PIXTA、農林水産省Webサイトから編集・加工
※女性セブン2024年1月4・11日号
https://josei7.com/
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