自粛でリハビリに行けない人に新サービスを 開発した理学療法士の願い【動画あり】
「脳卒中などで麻痺があり、リハビリが必要だけど、コロナ禍で外出を控えている」。そんな人に注目の自宅でできるリハビリサービスが登場。外出自粛で筋力が低下した高齢者にも役立つという。「リハビリを通じて世の中の人を笑顔にしたい」という、新たなサービスを開発した理学療法士に話を聞いた。
脳卒中でリハビリが必要だけど外出自粛の問題
コロナ禍の自粛生活が長引くことで、さまざまな問題が起きている。
「脳梗塞などの後遺症でリハビリを必要とする人たちが、リハビリ施設に行けずに困っているんです」
こう話すのは、神戸でリハビリ施設やサービスを展開するリモット代表・理学療法士の生野達也さんだ。
「脳卒中(脳血管疾患)には、脳の血管が詰まって血流量が減る脳梗塞や、血管が損傷する脳出血、くも膜下出血などがあります。後遺症として半身のしびれや麻痺、言語障害などが現れる場合があります。
手足が突っ張ってうまく歩けなくなったり、手指や関節などが硬直してうまく動かせなくなってしまうといった後遺症があり、日常生活をしやすくするために日々のリハビリがとても大切なのです」(以下、生野さん)
コロナフレイルも問題に…
また、外出を控えることで筋力が低下し、リハビリを必要とする高齢者も多いという。
「長期間、自宅に閉じこもることで、運動の機会が減り、筋力や体力が低下してしまうコロナフレイルも問題視されています」
実際、2020年度(コロナ禍)と2019年度(コロナ前)に行われた厚生労働省の調査※によると、高齢者(75才以上)は、外出の機会が減少した人が約18%増え、うつの項目に該当する人が約5%増えたなどの変化が見られた。
※厚生労働省「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ」より。
自宅でリハビリできる新たなサービス
「今、私たちのリハビリ施設でも、感染の恐怖からリハビリをお休みしている人がたくさんいらっしゃいます。
お電話で様子を聞いてみると、『自宅でリハビリしたいけどやり方がわからない』『YouTubeの動画はたくさんありすぎて、どれを選んだらいいのかわからない』などの声がありました。
そんな悩みを解消したくて、自宅にいながら自分に合ったリハビリができる『ひとりdeリハ』の提供をスタートしました。3月までの間は新規登録いただいた月の利用料が無料でお試しいただけます」(生野さん、以下同)
770本の動画から悩みや症状に合うリハビリを
『ひとりdeリハ』は、会員登録して簡単な情報などを入力することで、「マイページ」にアクセスできるようになる。簡単な質問に答えていくことで、専門家が監修・制作した770本のリハビリ動画の中から、自分にぴったりの動画が再生される。
リハビリのコースは、「歩く悩み」「手の悩み」の2種類。ほかに、生活の中での動作の悩みを解決する「家事や生活の悩み」のコースがあり、体の状態に合わせたリハビリ動画が見られるようになっている。
動画を見ながらリハビリをしてみた後は、「実感あり/なし」からどちらかを選択。
「実感なし」を選ぶと、実感を得られるようになるための動画に進み、「実感あり」を選ぶと、さらにレベルアップした動画が再生される。
ゲーム感覚で楽しくリハビリ
リハビリ後に点数を入力すると、自分の運動の成果を確認できる。点数が上がっていくと、『ひとりdeリハ』のキャラクターであるノウくん(プレイヤーの分身)がどんどん元気になっていく。
ひとつひとつの動画をクリアしていくことでリハビリのステップも進み、ノウくんの表情が変化するという、RPGゲームのような感覚で楽しめるのもポイントだ。