年賀状・年末の挨拶文4つのNG事例 ヘタ字を美文字に見せる技を専門家がアドバイス
年末も間近。お歳暮の礼状や年賀状など、手書きの機会が増えてくる季節。ヘタ字やクセ字をコンプレックスに感じている人も少なくないのでは? そんなあなたの文字がちょっとした工夫で“美文字”になるコツを『青山一丁目ペン字筆ペン教室』主宰の川南富美恵さんに教えてもらいました。
美しい年賀状の書き方10のポイント
年賀状書きはまず文字の配置決めから。相手の名前、住所の順番で進めると失敗しにくくなる。
【表面】
・名前の上に大きくスペースを空ける。住所よりやや下げた位置に。
・郵便番号の左から2枠目の下あたりから書くと中央に名前が書ける。
・住所の上は少しスペースを空け、目上の人には都道府県名を省かない。
・敬称である「様」は名前よりさらに大きめに書くと、見た目にもぐっと安定感が出る。
【裏面】
・賀詞は大きく、行頭を1段ずつずらして書くと、全体的にメリハリが出る。
・女性の場合は、「明」よりも「あ」にした方が柔らかな印象になる。
・人差し指でペンを下にまっすぐ押し出すようにして最後に止める。
・人差し指でペンを下にまっすぐ押し出すようにして最後に払う。
・あらかじめ、はがきの縁から余白を充分にとってから書くと読みやすい。
・賀詞の最後にくる文字をあえて大きめに書くと、文章の据わりがよくなる。
★ワンポイント★
「宛名の文字を美しく見せるには、はがきのスペースに対してあらかじめ文字の配置を決めること。列の配置を鉛筆で薄く引き、最初に相手の名前から丁寧に書くと失敗が少ないです」と川南さん。
気をつけたいのは、「迎春」や「新春」という2文字だという。
「これらは省略形の祝い言葉なので、目上の人に送るのは失礼にあたります。また、“あけまして”の前に“新年”とつけるのは表現の重複になるのでつける必要はありません」
年賀状・年末の挨拶文 NG実例と美文字のお手本
ヘタ字やクセ字にコンプレックスがあるという読者に時候の挨拶文を書いてもらい、読者の文字を川南さんに添削してもらった。下の4つのお手本とともに、川南さんのチェックポイントを参考にしてほしい。
NG!「字と字の間に乱れがあって読みにくい」
・字と字の間に乱れがあって文章が読みにくい。一定のスペースを保とう。
・いちばん大切な相手の名前。本文中でも目に留まりやすいぐらい大きめに書くことを意識。
・文章は下を揃える方が読みやすい。改行は意味のあるところでする。
・行と行の間が広かったり狭かったりと、まちまちな点を揃える。
・すべてのヨコ画がほぼ同じ長さで寸胴。1画だけ長く強調するのが重要。
・左払いが2本並ぶときは、1本目に2本目を近づけるようにするときれいになる。
NG!「文字の頭が小さすぎる」
・文字の頭が小さすぎる。一文字目は堂々としっかり大きく書くこと。
・上手に書けているのに、「しんにょう」の右払いが曖昧で雑に見えてしまって残念。
・全体的にひらがな“基本形”から外れている。「お」の空間の位置が違う点も気をつけて。
・「ま」の正しい形はタテ長。結びが小さく、最後の横線が長すぎるので注意して書こう。
・文字がつぶれて読みにくい。画数の多い漢字は大きく書くようにすれば○。
・上下と右側の余白のとり方はOKだが、左側の余白が目立つ。配置決めは慎重に。
・はがきの中にもう1枚はがきが入るようなイメージで最初に設定しておくとよい。
NG!「書き始めは勢いがあるが文末が詰まってアンバランス」
・「全」のいちばん最後にくる6画目は長めに書く。しなりを入れ、きちんと止める。
・勢いのよい書き始めの文字だが、文末が詰まってしまい、全体がアンバランスに見える。
・極端な丸文字は幼稚に見えたり、文字の読み間違えにもつながる。正しい形を覚えよう。
・右払いはいったん止めて、しっかり払うと安定感が出る。日頃から習慣づけておきたい。
・タテ長であるべき文字のタテの幅が足りないせいで子供っぽい字に。
・「しんにょう」の3画目は最後に少し右上に向けて払う。上にのせる字は中心よりやや右にのせる。
・形の大きさも同じで手書きのよさが伝わらない。文字にはメリハリをつけよう。
・あらかじめ文字配置を下書きして、はがきの上下左右の余白を確保したい。
NG!「字が小さすぎて空間がまったくない」
・「感」や「恵」など下に心がつく漢字は下に広がった形にするように書くのがコツ。
・「年」のヨコ画が右に上がり気味。「末」には上のヨコ画を長く書く。
・「お」の結び以降が途中で止まっている。点の位置に気をつけ、最後まで丁寧に。
・字が小さすぎるため、空間がまったくない。正しい位置にスキマを。
・「宜しく」はひらがなの方がソフト。「願」はへんとつくりのバランスが×。
・「しんにょう」の最後の右払いがだらんと下がってしまっている。少し右上に払う。
・文章が右側に偏って左側のスペースが大きく空きすぎ。のびのびと元気のある字を目指そう。
教えてくれた人
川南 富美恵さん/『青山一丁目ペン字筆ペン教室』主宰。きれいなだけでなく、自分に自信を持てる字の書き方、手紙のマナー、季節の挨拶や言葉の使い方などの指導が人気。近著『誰でも確実に美文字になる るいとも練習法』(草思社)が「効率よく文字が上達する」と好評。
取材・文/加藤みのり
※女性セブン2022年1月6・13日号
https://josei7.com/