「猫背」「腰曲がり」で寝たきりまっしぐら!?見直したいNG習慣って
スマホを見たり、食事をしたり、お風呂で体を洗う時、自分がどんな姿勢になっているか、一度、鏡を見てほしい。思いきり背筋が曲がっている人は要注意だ。そのまま年齢を重ねれば、見た目は老けた印象になり、足腰は弱って、最後は寝たきりになってしまうかもしれない。
猫背・平背・反り腰は危険
そのままでいれば寝たきりになる危険があるのが、「猫背」「フラット(平背)」「反り腰」の3つの姿勢。背中や腰が丸くなる「猫背」。「ストレートネック」や「ストレートバック」は、首や背骨にカーブがなく、平らな状態「フラット(平背)」になっている。これでは衝撃を逃がす“たわみ”がないので、首、肩、腰、ひざに痛みを招く。また、ハイヒールばかりを履くなど重心が前方に偏ると、腰を必要以上に反る「反り腰」になりやすい。
下記の3つの”ゴールデン”が正しくキープできれば、猫背、濃し間借り、寝たきりの人生が遠のく。
猫背、フラット、反り腰…。そんな姿勢を続けていると、65才頃には誰が見ても“腰が曲がっている”状態になりかねないと、『市谷八幡クリニック』院長で専門医の古賀昭義さんは警鐘を鳴らす。
「40~50代で姿勢の悪いかたは多くいますが、さすがに腰は曲がっていません。しかし、この年代は閉経など体に大きな変化のある時期です。姿勢の改善を含め、ケアをしないままでいると、60代中盤で、いわゆる老人体形になる可能性があります」(古賀さん)
そんな腰曲がりの初期段階が猫背だ。『ファミリーカイロプラクティック三鷹院』院長の佃隆さんは、猫背は生活のささいな習慣によって症状が進んでいくと言う。
「無防備な姿勢でスマホを見る、クヨクヨと思い悩む、うつぶせで寝る…ごく普通の習慣ですが、こういった生活の積み重ねが猫背を招き、ひいては腰曲がりにつながり、寝たきりのリスクも高めてしまいます」
細胞が衰えて筋肉が薄くなる
なぜ年をとると、知らず知らずのうちに猫背や腰曲がりに陥ってしまうのか? 前出の古賀さんは、次のように説明する。
「筋肉には瞬間的に大きな力を出す速筋と、持久力のある遅筋があります。加齢により減少するのは、主に腕や足に多い速筋です。
速筋が減少すると、体重を支える筋力が低下するため、歩く時にひざを曲げて体を支えるようになり、骨盤が後ろに傾くため、バランスをとって背中を丸めて猫背で歩くようになる。そして、背中を丸めた姿勢を続けると、背中と腰の筋肉が常に伸びた状態になり、血流が低下し、筋肉が貧血状態になる。すると細胞が衰え、筋肉が薄く、筋力は弱くなり前屈みの腰曲がりになるのです」
筋肉の衰えと同時に、骨ももろくなる。
「骨がもろくなる骨粗しょう症は、50才以上の女性の3人に1人がかかる病気です。その原因は、女性ホルモン“エストロゲン”の減少、加齢、生活習慣の3つが考えられる。骨の強度が低下するため、軽度の負担で圧迫骨折(いつの間にか骨折)をする危険があるのです」(古賀さん)
さらに、脊柱を構成している椎骨の位置がずれ、背骨が不安定になると、椎骨の間にある椎間板が摩耗して、背骨が少しずつ曲がってしまう。気持ちにも大きな変化が。
「背骨がきれいなカーブを描いていないと神経や血液の流れが滞ります。神経が滞ると痛みやしびれ、力が入らないなどの症状を引き起こしやすくなる。また、血流が低下すると、疲れが抜けない、けがが治りづらいなど回復機能もダウン。立っているだけで疲れてしまい、行動範囲が狭まってうつむいた人生になりかねません」(佃さん)
こんな生活習慣や体の変化が実は怖い!
日常生活で、自然と繰り返していることの中に、猫背や腰曲がりにつながることが多くある。気がつけば、すぐに改善できるサインをピックアップ。意外なサインも見逃さないで!
●礼儀正しい方だ
日本では謙虚な振る舞いを良しとするため、頭を下げる、あごを引くなどの所作が多い。その姿勢が猫背を招く。「場に合わせて、少し顔を下に向けるのが礼儀とされているため、普段からうつむいているかたも多いです」(佃さん)。
●相づちを速くうつ
キツツキのように「うん、うん、うん」と首だけガクガク揺らす相づちは、首を痛める原因に。「気を使うタイプや、接客業などコミュニケーションをとる機会の多い人は、注意が必要です。首を前後させる動作はできるだけ控えて。おじぎも股関節から体を折るイメージで行いましょう」(佃さん)。
●時間に遅れることが多くなった
速筋が集まっている太もものパワーが衰えると、瞬発力や俊敏さが減少する。「“いつも駅まで5分で行けるのに10分もかかり、電車に乗り損ねた”というようなことがたびたび起きるようになったら、速筋が衰えている可能性は大。重い荷物を持てなくなる人もいますよ」(古賀さん)。
●最近、お腹がぽっこりと出てきた
姿勢が悪いと体の使い方に偏りが生まれ、筋肉を使わない部分の筋肉量が減る。太っているわけではないのに、お腹がぽっこり出ている人は、背中が丸まっているため、腹筋が機能していないのだ。「筋肉が動くことで熱を産生し、血液が流れます。つまり筋肉量が減ると代謝も落ちてしまいます」(佃さん)。
●いつも横向きかうつぶせで寝ている
寝る時は上を向くのが理想。「横向きやうつぶせ寝は姿勢を崩します。もしくは崩れているために、そういった寝方が心地よくなっている」(佃さん)。合わない枕も姿勢を悪くする一因。固く丸めたバスタオルを首の下に入れる“首枕”がおすすめ。
●いつも背筋を伸ばしているつもり
猫背を気にするあまり、反り返ってしまう人も多いが、これも腰に負担がかかる。「胸を張ればいい姿勢だという勘違いをしている人も多くいます。正しい姿勢ではなく、やみくもに反り返っても、同じように体に負担をかけることになります」(佃さん)。
●気がつくとスマホをいじっている
何も考えずにスマホの小さい画面を凝視していると、いつの間にか顔は下を向き、腰も曲がってしまう。その時間がたとえ5分だとしても、その積み重ねが癖になる。
●最近、空を見上げた記憶がない
スマホばかり見ていたり、考えごとをしていると、下を向いて歩いていることが多くなる。「空を見上げれば視野が広がり、首のストレッチにもなります。意識して天気のいい日に空を見上げたり、夜、月を見たりして、顔を上げる習慣を増やしましょう」(佃さん)。
●エクササイズが続かない
つらい、面倒、どうせ効かないなど、ネガティブになると、なかなか体は動かせないもの。「とりあえずやってみる、という前向きさが大切です。40~50代はあまり余計なことは考えず、まずは体を動かして」(古賀さん)。
●クヨクヨ悩むことが多い
何ごともポジティブに考え、たとえ、嫌なことがあっても「そんなもんだよね」「また、よくなるから」と、前向きに捉えてほしいと佃さん。「人間、落ち込むと猫背になります。うつの人にいい姿勢の人はいません」(佃さん)。
腰が曲がると、こんなリスクを負うハメに
「年だから腰が曲がっていても仕方がない」と諦めていると、体はどんどん劣化していく。上にあげたサインを改善しないと、下のような将来が待っていることも…。
●呼吸が浅く、便秘がちに!
前傾姿勢は肺が萎縮し、呼吸が浅く速くなる。すると交感神経が優位になり、骨の破壊に関与する「破骨細胞」が活性化し、骨粗しょう症が進んでしまう。また、腸が圧迫され、便秘がちになる傾向も。
●いつの間にか骨折に!
骨粗しょう症で骨がもろくなっていると、多少の負荷で“いつの間にか骨折”が起きる。激痛ではないため気づかない場合も多く、一度折れるとその下の骨に負荷がかかり、骨折の連鎖も起きやすい。
●すぐに転倒!
骨粗しょう症が進んでいると骨折しやすい。転倒すると股関節、背骨、手首が折れやすく、特に股関節は骨折をすると歩行困難になるリスクが高い。高齢の場合、寝たきりになるケースもある。
イラスト/斉藤明子
※女性セブン2018年8月2日号
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