ロボットPepper君と体操!介護予防とスタッフの負担軽減に効果的
長谷工アネシスは、長谷工シニアホールディングスが考案した介護予防体操「ゆうゆう体操」をコミュニケーションロボットPepperに搭載するアプリを開発。『Pepper版ゆうゆう体操』として6月30日からサービス提供を開始した。
『Pepper版ゆうゆう体操』とは?
「ゆうゆう体操」とは、自分自身の状態にあわせて体を動かすことで日常動作の自立支援を促し、健康寿命の延伸を目的に考案した長谷工シニアホールディングスオリジナルの介護予防体操。
この体操を社外にも広く展開し、介護スタッフへの負担軽減などの介護現場が抱える課題の解決に役立てようと、長谷工グループの長谷工アネシスはコミュニケーションロボットPepperを活用するアプリ『Pepper版ゆうゆう体操』を開発した。昨年から、長谷工シニアホールティングスが運営する高齢者施設にてトライアルを重ねてきた。
『Pepper版ゆうゆう体操』の主な機能特徴は以下の3つ
【1】毎日異なる話題を提供しコミュニケーションを図る
体操を始める前に、今日の天気や参加者のご機嫌を伺うなど、毎日異なる話題でスタートする発話プログラムを搭載。ゆったりとした話の間の取り方、高齢者にわかりやすい発声で説明する。
【2】音声と画像で体操のポイントをわかりやすく説明
テレビや大型ディスプレイなどのモニターと連携できるため、Pepperが苦手な足の動き等の模範は音声と画面の映像でわかりやすく説明。Pepperの胸のタブレットで体操のポイントを表示することも可能だ。
【3】利用者にあわせたオリジナルメニューの作成も
9種類の体操コースをメインに、参加者の年齢や介護状況、時間帯等を考慮したオリジナルのコースも作成、登録することができる。参加者のADL(日常生活動作)に応じ、飽きのこないプログラムの提供が可能。
Pepperがきっかけとなり体操に参加
3施設において6回の実証試験を実施し、利用者へのアンケートを行ったところ、Pepperが体操を行った期間中は17%の参加者が初めての参加だった。月3~4回行っている通常の体操イベントでは同じ参加者ばかりになりがちだが、pepperを導入したことで体操に参加しようという行動を促したといえる。
また、実際の動作では、指導員が模範を行うタイミングにあわせ、Pepperが効果的に声かけすることで、「以前よりも正しい姿勢でより大きく体を動かすことができた」と8割以上の人の効果を実感していることが確認された。
スタッフへのアンケートによると、「Pepperが体操の進行をすることで、参加者の補助に重点を置くことができ、より手厚いフォローが可能になった」「Pepperのサポートによって準備が楽になった」など、88%のスタッフが精神的・時間的負担軽減を実感したという結果が出た。
シニア関連施設や自治体など広がる可能性
体験前は「ロボットなんて」と違和感を覚えていた人も、実際に体験すると「かわいい」「また会いたい」「今度はいつ来るの?」との声があがり、Pepperによる指導を心待ちにするように。さらに、スタッフとPepperとの共同で参加者への個々のアプローチが可能になり、より効果的に体操を行うことができるなど、同社は、ロボットを用いた取り組みによる効果を確証。今後はPepper以外のアプリ開発も視野に入れながら、シニア関連施設や自治体などへの導入提案を促進、地域包括ケアや自立支援に大きく役立てたいと考えている。
【データ】
価格:月額9720円(税込み)。最大3か月無料
無料期間:利用開始月~利用開始月の翌々月末まで
『Pepper版ゆうゆう体操』の購入はこちらから
撮影・文/牛島美笛