指で触って楽しむ「江戸のインターネット」浮世絵
「浮世絵は額に入れて飾ると魅力が半減します。直に手に持って見ると、その真の魅力が紐解かれるのです」と語るのは、神奈川大学で浮世絵の公開講座を担当する新藤茂先生。神奈川大学の公開講座「浮世絵随談」の開講を間近に控え、浮世絵の魅力を存分に語っていただいた。
傾けると着物の模様が浮かび上がる
──4月19日から開講する「浮世絵隋談」ですが、授業ではどんな題材を扱われるのですか?
浮世絵の基本は歌舞伎の当時のスター役者を描いた「役者絵」にあると僕は思っているので、授業ではまず役者絵の話から始めます。役者絵に関連して、歌舞伎や落語、当時の社会情勢についての話もしていきます。
浮世絵は葛飾北斎の「冨嶽三十六景」や喜多川歌麿の「ビードロを吹く娘」など有名な作品も多いですが、僕自身、浮世絵は「実物を見ることが大事」だと思っているので、最初の授業では僕が所有している実物の浮世絵を持ってきて、それを見ながら講義を進めていきます。
――え、実物を見られるんですか! 贅沢な授業ですね。
じゃあ、今日はせっかくなんで、講義で実際にやっているように、いくつか実物の浮世絵をお見せしていきますね。ちなみに、浮世絵の実物を見たことってありますか?
――美術館とか展覧会では見たことありますけど、間近で実物を見たことはないですね。
そうですよね? 展覧会などでガラス越しに浮世絵を鑑賞したことがある人は多いんですが、直に実物を見たことがある人は意外と少ないと思います。ただ、浮世絵は実物を手で持ってみないとわからないことも多いんですよ。たとえば、この役者絵をちょっと手で持ってみてもらえますか?