仕事と介護の両立を!自分らしい働き方を応援する「改正育児・介護休業法」を解説
今年1月、「改正育児・介護休業法」が施行された。改正のポイントは、「これまでよりも働きやすく、休みやすい」。具体的にどのように変わったか、ポイントを5つにまとめて解説する。
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■介護のために仕事を辞める人は「1年間に約10万人」
家族に介護が必要になったとき「休めないから辞める」という道を選ぶ人は少なくない。そんな介護離職者の数は、なんと年間約10万人。
このような状況を打破すべく、平成29年1月1日に「改正育児・介護休業法」が施行された。その5つのポイントはこちら。
「改正育児・介護休業法」でここが変わった!
このほかに、「介護休業の給付金が大幅にアップ!」した点も見逃せない。
それでは、1つ1つのポイントについて、くわしく見ていこう。
ポイント1:介護休業の分割
「介護になった母を入院させないと」「介護施設に父を入居させるので、下見に行ったり、面談をしたり、準備が必要」など、介護をしていれば長期間の休みが必要となる。
従来の介護休業制度でも、対象となる家族1人につき、93日間まで介護休業を取得することが認められていた。ただし、原則1回しか休みを取ることができなかったため、例えば入院の手続きなどで1回使ってしまえば、その後にまとまった休みを取ることはできなかった。
ただ、介護休業が1回取れればよいかと言えばそうではない。例えば、介護を必要とする家族が入院するときや退院するとき、施設に入居する準備期間など、介護が必要となる時期は何回もあるからだ。
■介護休業を3回まで分割できるように
今回の改正で、93日間の介護休業を3回まで分けて取ることが可能になった。これにより、こんな使い方が可能となる。さらに介護休業の対象となる家族の範囲も拡大された。「同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹および孫」も介護休業の対象に加わったのだ。
ポイント2:介護休暇の取り方が柔軟に
■そもそも介護休暇とは?
「介護休暇」とは、介護“休業”とはまた別モノ。介護をしながら働く人が、「親を病院に連れて行く」など、家族の介護や世話のために1年に5日(対象家族2人以上なら10日)まで取れる休暇のことだ。
■休みが1日単位から半日単位へ
これまでの介護休暇は、1日単位でしか取れなかった。それが今回の改正で、半日単位で取ることも可能になった。
これにより、例えば、こんな使い方ができる。ほかにも、「介護中の母が急病でデイサービスに行けなくなったので、午前と午後にわけて、夫婦が半日ずつ休暇を取って対応」「午前はヘルパーさんの手配ができなかったので、介護休暇を半日取って対応、午後からは出社」といった柔軟な働き方ができるようになる。
ポイント3:労働時間の短縮等の措置を延長
ここまでは、介護のための休業や休暇について紹介してきたが、ここからは「介護する人の普段の働き方から、介護との両立をしやすくする」ポイントを解説していく。