《ヨーグルトやサプリのまとめ摂りは逆効果?》医師が警告する「間違った腸活」の落とし穴 便通とメンタルを整える新常識
食事、消化、吸収、排泄という人の基本的営みを担う「内臓」は年齢とともに機能が低下しやすく、がんの罹患リスクも高まっていく。だが、日々の生活習慣で各臓器の老化をくい止め、機能を改善することはできる。そこで、肝臓を守り、復活させる方法を医師に聞いた。
食べる、歩く、眠る、出す…腸を整える鍵は日々の「基本」にあり
健康長寿のためには、腸の老化を防ぐことも欠かせない。国際医療福祉大学病院内科学教授の一石英一郎医師が語る。
「腸は肝臓や腎臓、胃や肺など全身の各部位と密接に関わっている人体の中心とも言える臓器です。また、腸内には約1000種、約100兆個という多種多様な細菌が生息しており、これらの細菌の働きが免疫力の向上や生活習慣病の予防につながることもわかっています」
さらに近年では、腸と脳が深い関係にある「脳腸相関」の考え方に注目が集まっているという。
「腸と脳は自律神経、迷走神経、ホルモン、免疫系、腸内細菌の代謝物などを介して双方向に情報交換しています。ストレスやメンタル面の負担で腸がバランスを崩すこともあれば、腸のバランスが崩れることでメンタルに影響が出ることもある。炎症性腸疾患などの消化器疾患では、不安・抑うつ症状が多いことも、多数の研究で確認されています」
腸を整えることは心身の健康に直結する。そのために意識したいのが腸内の「善玉菌」を増やすことだと一石医師。
「とくに酪酸菌という善玉菌が作る短鎖脂肪酸(代謝物質)の酪酸は細胞保護や老化を抑える効果を持つことがわかっており、近年、抗加齢物質候補として研究が進められています。酪酸菌は食物繊維の摂取で増やすことができます」
腸内環境を整えるための「腸活」なる言葉も流行しているが、そこには落とし穴もあるという。
「腸に良いからと乳酸菌飲料やヨーグルト、サプリなどをまとめて摂取している人がいますが、これは逆効果。腸内環境のバランスが崩れて腹部膨満や下痢、腹痛、便秘悪化などが出る場合があります。無理せず、日常生活の食事で少しずつ腸内細菌を増やすことが理想です」
発酵食品サプリ等を何種類も急激に摂取したり、食物繊維を急に増やしたりすることも、腸内環境をかえって悪化させるリスクがある。
1日1.5Lの水分摂取
腸の機能を保つうえで重要なのは、特別な腸活よりも、「食べる」「歩く」「眠る」「出す」の4つを毎日整えることだと一石医師は話す。
「食べ物では加工肉を摂りすぎないこと。加工成分や添加物、保存料などにより大腸がんのリスクが上がることがわかっています。水分摂取も大切で、1日1.5L、夏場は2L程度を目安にこまめに補給しましょう。とくに朝起きてコップ1杯の水を飲むと腸の運動が促され、便通の改善につながります。さらに座りっぱなしを避け、自宅での何気ない時間でも定期的に立ち上がることを意識することも便通を整えるのに効果的です」
歩くことも腸の蠕動運動を活発にする。1日6000~8000歩を目安に歩くと効果的だという。
「公園など緑の多い場所、景色のいい場所を歩けば、ストレス解消にもつながり、関節的に腸の動きに良い影響を与えてくれる可能性があります」
就寝の3時間前までに食事を済ませることも重要だ。
「欧米人に比べて日本人は消化力が弱いため、就寝2時間前の食事は膨満感が残りやすく、腸内環境が悪化しがちです。夜遅い時間の食事は控えましょう」
定期的に「検査」を受けることも怠ってはいけない。
厚生労働省の人口動態統計(2024年)によれば、主な部位別がん死亡数で大腸がんは男性2位、女性1位。男女を合わせた死亡数では最多となっている。
「年1回の便潜血検査が大切です。この検査で異常が出ても日常的な不調だと思って放置してしまう人が多いですが、体からのサインとして拾い、必ず大腸内視鏡検査につなげる必要がある。いずれ大腸がんに進展する可能性のある大腸ポリープができやすい家系や腸が老化しやすい体質の人もいるので、祖父母や両親の家族歴を確認しておくことも重要です」
便秘や下痢が続く、腹部膨満感や腹部不調が続いたら受診を検討すべきサイン。
便が細くなるのも要注意だ。腸内環境が悪化していい便が作れない状態にあるか、腸のどこかが狭くなっている可能性があるという。
「とくに血便や黒い便が出たらすぐに病院に行くべきです」
正しい対策を実践し、100年働く内臓を手に入れたい。
◆教えてくれた人:国際医療福祉大学病院内科学教授・一石英一郎医師
※週刊ポスト2026年9月18日号
