《不調に負けない60代の生き方》69歳オバ記者が実感する「まぐろ」の“自然界最強パワー”と、いくつになってもワクワクを忘れない日常の楽しみ方
ネットで見かけた「まぐろ」にまつわるある記事に、思わず目を丸くしたオバ記者ことライターの野原広子氏(69歳)。実は彼女の人生、振り返ればいつも「まぐろ」がそばにあった。大病を経験した今も元気に現役を続けられるのは、あの味のおかげかも!? まぐろ愛に突き動かされて向かった、雨のドライブの先で待っていたものとは?
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まぐろの“英才教育”?
69歳。先ゆきのばく然とした不安にかられてネット記事を流し読みしていたら「自然界最強」という文字が目に飛び込んできた。まぐろに含まれる「セレノネイン」にはビタミンEの約500倍の抗酸化力があって、老化の元の活性酸素を除去する強い力があることが実証されたんだって。さらによ。これまで捨てられていた血合いに多く含まれていて、生活習慣病予防、ストレス軽減、アンチエイジングへの高い効果が期待されています、とな。
ああ、もう言わずにいられないわ。まぐろの刺身といえば私はある種の英才教育を受けているのよね。幼少期の一時期、母子家庭だったわが家では、普通のまぐろの刺身は手が届かない。が、気の強い母親は「少しばかり買って子供が食べ物を奪い合う姿を見たくない」と言って、刺身のアラを大量に買ってお皿じゃなく、丼に山盛りにした。それで「ほら、好きなだけ食え」とドンとちゃぶ台に乗せたわけ。
アラにはさまざまな部位がある。おおお!と幸福に包まれる場合もあれば、筋っぽくての飲み込めないこともある。そもそも雑に切られているから、「これ!」というのを見定めるには、それなりに集中力がいるんだよね。
そんな育ちのおかげで、いまでもまぐろのアラを見ると血が騒ぐ。てか、上等を数切れじゃ満足はしない。上等を山盛りで食べたいとなると、スキミなどのアラ狙いになるの。
大病の手術後にうわ言で言っていたのは…
「野原さんはまぐろの刺身がお好きなの?」と聞かれたことがある。4年前に“境界悪性卵巣腫瘍”という病名で大学病院に入院して、子宮と卵巣の全摘手術をしてその翌々日だったか。年配の看護師さんにそう聞かれたのよ。何かと思えば、なんと私、麻酔が切れかけた時に「何がしたい?」と聞かれて「大間のまぐろが食べたい」とうわ言を言ったんだそうな。
われながら「大間のまぐろ」とは大きく出たなと笑ったけど、でも思い当たることはあるの。一時期、新宿に仕事場を構えていたことがあって、原稿書きが行き詰まると向かう先はひとつ。新宿伊勢丹の地下食品売り場、しかも鮮魚コーナーだったのよ。ここには色鮮やかな大間のまぐろがある。そしてごくまれに2、3000円で私でも手が出るアラが出ていたの。
それを事務所に持ち帰り、刺身とステーキにしてスタッフに振る舞うと、「これ、お肉です!」と目を丸くして驚かれた。冷凍まぐろの血合は独特の臭みがあるけれど、天然、生はそれがない。新鮮なレバー肉のよう! この美味しさといったらない。狭いワンルームマンションの事務所でのヒトコマは昨日のことのようだけど、35年以上前のことだ。
さてさて、そんなわけでここのところ公私共につるんでいるライターのアキちゃんから「三崎(神奈川県)にまぐろを食べに行きましょうよ。私が車の運転しますから」と誘われた。ウンもスンもない。アキちゃんは年齢は私よりひと回り以上下だけど、私と違って家庭をつくりちゃんと子育てをした人だ。聞けば三崎から横須賀は子供を連れてドライブコースだったんだって。
ひと口食べて大海のめぐみに思いを馳せ…
あいにくの雨だけどアキちゃんのハンドルさばきの見事なこと!
それだけじゃない。「お腹、空きましたよね」とグイと車を停めたのは三崎水産物地方卸売市場って、むむむ、オヌシ、やるな!
で、そこの2階の食堂の口開けに飛び込んで、私が狙いを定めたのは特製熟成ダレのまぐろの漬け丼(2150円)。これがもう、美味しいなんてもんじゃありませんて。ひと口食べては目を閉じて大海のめぐみに思いを馳せる。
「オバ、本気ですね」とアキちゃんにからかわれても止まるもんじゃありません。
その後、道の駅ならぬ海の駅『うらり』でアラ、見っけ!
酒、タバコ、ギャンブル。50歳までさんざんな不摂生をしていた私が今、こうして現役で仕事ができるのは、まぐろ大好きのおかげに違いない。なんたって「自然界最強」の抗酸化作用だもんね。
さて、この秋は築地まで原チャを走らせ、いつもの店でまぐろのアラ探しだわ。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。https://obakisha.com/
