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《「東京アプリ」と聞いて「何それ」という人も》68歳の現役ライターが区のスポーツセンターで感じたシニア世代の“情報格差” 

 何かわからないことがあるとスマホを使えば、多くのことが解決できるようになった。しかし、シニア世代ではスマホやネットを駆使して情報を集められる人とそうではない人との間に”格差”が広がっているようだ。この人の場合はどうか。68歳の現役ライター・オバ記者こと野原広子氏が自らの経験を綴る。 
 
* * * 

東京アプリって知ってる? 

 先日、区のスポーツセンターのエレベーターに女性8人が乗りあわせたの。動きにくくなった股関節や痛み出したひざをマッサージやストレッチでスムーズに動くようにする「機能改善」というクラスの帰りだから、年齢はアラカンからアラコキ。なので私、ふと疑問に思って質問してみた。 
 
「みなさん『東京アプリ』の登録しました?」と。しかし、この問いでこんなにエレベーターの空気が揺れるとは思わなかったわよ。「え、え、え? 何それ?」と誰かが言うと、「東京都民なら誰でも1万1000円もらえるのよね」と言う人もいる。「いや、お金じゃなくてポイントでしょ?」「存在は知ってるけど、どうやればいいかわからないのよ」「ああ、どうしよう。まったくなんの話かわかんないわ」。 

 で、エレベーターは1階に着いたので、言い出しっぺの私は「とにかくスマホに『東京アプリ』と入れて検索して!」と言い、「わかった! やってみるわ」と誰かが言い、おせっかい完了。 

「1万1000円」は絶妙な額

 で、そもそも「東京アプリ」ってなんだ、って話なんだけどね。いま、東京都がすすめているアプリで、これをインストールして手続きをしたら都民なら1万1000円分のポイントがもらえるの。ポイントはau PAYやPayPayなどの電子マネーに交換して使える、という仕組みなんだけどね。 
 
 東京都は都民のスマホを通してサービスの提供ができるようにしたいのよね。1万1000円分の電子マネーは、ま、そのための釣り餌だね。しかしこの値段、考えた人はほんとエライわ! 大金とは言えないけど、かといってみすみす逃すのは惜しいという絶妙な額だもの。 

 私は配布開始日にLINEしていた従姉妹のマサミから聞いて、即座にゲット。うなぎを食べに行ったりして2日後にはあぶく銭を使い切っちゃった。それで誰彼かまわず、「東京アプリ」を知っているか聞き回っているわけよ。 
 
 しかしさ、ふと立ち止まると一瞬で多くの人に電子マネーを送れるシステムって、10年前なら考えられなかったよね。と、同時に私がどれほどスマホに頼り、毒されているか、考えちゃった。

 お店選びも案内状作成もスマホを駆使

 先日、70代の洋裁の先生3人とランチをしたの。私にも「師匠」と呼べる人がいて、その師匠がこの度、“現代の名工”に選ばれたのよ。その祝賀会のお手伝いをすることになって、ランチをしながらその打ち合わせをした。 
 
 その間、スマホを手にしているのは私だけで、なんと先生方はみんなノートにメモをしている! その光景がすごく新鮮に映った、ってことは私はもう長いことノートにメモをしてないんだよね。ライターのくせにメモをしないてどうしているのかというと、みーんなスマホよ。 

 録音と同時に文字化するアプリを入れているから、声でメモ。この日は私がメモることはなかったので話を聞いていたらと、師匠から「日曜日に12人が集まって個室ランチが出来る駅近の店を探して」とか、「招待状の文案考えて」と司令が飛んだ。 
 
 はいはいはい、ちょっとお待ちをとスマホを開いて数分後には「今、LINEに投げました~」と私。「あら、野原さんすごいわね。私の秘書になってもらおうかしら」って、もしかしたら私、初めて師匠に褒められたかも。てへへ、実は褒められるようなことじゃないんだけどね。店探しは「食べログ」で、案内状はYahooに「祝賀会の案内状」と検索をかけただけ。さすがに案内状の文案はちょっと手を入れたけどそらも数分の話。 

スマホの師匠は全員年下 

 ほんと、スマホは便利なだけじゃなくて遊んでもくれる。先日はAIで自分の写真を“顔変”させちゃった。 
 
 思えばこの“顔変”を教えてくれた人もそうだけど、私のスマホ師匠は全員、年下だ。主にバイト先の衆議院会館でだけど、雑談の機会があると、よく見ているYouTubeは何か、なんて話からいつの間にか便利なアプリの話になる。でね。先日、議員事務所に来た40代の新聞記者が面白いことを言っていたのよ。 

「いまは昔みたいに家族みんなが見てるテレビもないし、同世代でもみんなが見ているドラマもないじゃないですか。その代わり、スマホの便利なアプリや、面白いYouTubeが共通の話題になる。最近でいえばその最たるキーワードが『高市早苗』で、それが衆議院選挙で自民党大勝利につながったと言う人がいますよ」と。なんか妙に納得しちゃった。

◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。

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