専門家が勧める「一生聞こえる耳」のために摂りたい食品ランキング 耳の老化を予防するキーワドは【抗酸化】と【抗炎症】
年を重ねると耳の聞こえも悪くなってくるが、耳の不調を放置しているのは危険。耳が遠くなるほど認知症など病気のリスクは増してしまう。最期まで元気よく生きるために、聴力を衰えさせないよういまから予防しよう。耳の老化を予防するために摂りたい食品について専門家に聞いた。
聞こえる耳を作る「食品ランキング」
以下3名の「耳の専門家」と3名の「栄養の専門家」に「聞こえる耳を作る食品」を挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。9点以上を獲得した回答を掲載した。
今野清志さん(耳の治療院日本リバース院長)、坂田英明さん(川越耳科学クリニック院長)、陣内賢さん(新中野耳鼻咽喉科クリニック院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、浜本千恵さん(管理栄養士)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)
《順位/食品名/獲得点数》
【12位】 納豆 9点
「精神を安定させるホルモンであるセロトニンの材料『トリプトファン』が豊富。ストレスによる聴力低下の回復を助ける」(望月さん)
【12位】 ごぼう 9点
「整腸作用があり自律神経の乱れを修復する効果のある食物繊維に加え、抗酸化作用のある『クロロゲン酸』も含まれる」(今野さん)
【12位】 あさり 9点
「貝類の中でも末梢神経の修復を助けるビタミンB12がいちばん多い。亜鉛も含まれており、ダブルの効果で耳の神経の働きを助ける」(中沢さん)
【10位】 緑黄色野菜 10点
「野菜を鮮やかに彩る『カロテノイド色素』やビタミンCが活性酸素を除去し、耳の細胞が受けたダメージを回復させる可能性が」(陣内さん)
【10位】 とろろ 10点
「漢方の世界では『耳をよくするなら腸から』が定石。とろろは消化によく、血糖値上昇を抑え便通を改善し栄養価も高い」(今野さん)
【9位】 ごま 12点
「亜鉛が豊富で、ドイツでは認知症治療にも用いられるほど神経にとって大事な栄養素。ただし、粒のままでは消化されづらいため、すったものを食べること」(坂田さん)、「亜鉛だけでなく血流改善効果を持つビタミンEも豊富」(中沢さん)
【7位】 レバー 13点
「耳の健康に必須なビタミンB12と亜鉛を効率よく摂取できる」(坂田さん)、「牛レバーはビタミンB12が多め、豚レバーなら亜鉛が多めと多少成分量の差があるが、どのレバーも耳にいい栄養が豊富」(中沢さん)
【7位】 キウイ 13点
「豊富に含まれるビタミンCが抗ストレスホルモンの生成を促し、ストレスによる聴力低下の回復を助ける」(望月さん)、「キウイのビタミンCはビタミンB12と組み合わせると相乗効果が期待できるため、さんまやしじみを食べた後にデザートで。オレンジもおすすめ」(浜本さん)
【6位】 しじみ 15点
「しじみの可食部30gには1日の摂取推奨量の10倍近くのビタミンB12が」(望月さん)、「亜鉛も豊富。吸収を助けるビタミンCが含まれるねぎと一緒にみそ汁にするのがおすすめ」(中沢さん)
【5位】 さんま 16点
「豊富に含まれるEPAが血流を改善し、聴力が回復するための栄養分の吸収を促す」(望月さん)、「神経の修復を助けるビタミンB12がたっぷり。熱に溶けやすいため、刺し身やなめろうなどがおすすめ」(中沢さん)
【4位】 豚肉 18点
「ビタミンB12を豊富に含有し、食事に取り入れやすいのも魅力」(坂田さん)、「たんぱく源としても優秀。たんぱく質は血管を丈夫にして栄養の耳への運搬を助ける」(今野さん)
【3位】 鮭 19点
「細胞に必要な栄養であり血流をよくするオメガ3系の脂が豊富。赤い色素『アスタキサンチン』は抗炎症作用に優れ、細胞を傷つける活性酸素を除去する効果も」(陣内さん)、「ビタミンB12が豊富で、ストレスによる自律神経の乱れからくる耳のダメージを修復する」(浜本さん
【2位】 かき 25点
「耳で聞いた情報を処理し、脳に伝える末梢神経の働きを活発にする亜鉛が豊富」(坂田さん)、「亜鉛には血流改善効果もあるため栄養が耳まで届きやすくなる」(浜本さん)、「かきに代表される貝類全般には、神経修復作用を持つビタミンB12も豊富。ビタミンCと一緒に食べると吸収がよくなるので、レモンやねぎと一緒に食べて」(中沢さん)
【1位】 ナッツ類 28点
「突発性難聴に効果があるとされるビタミンEに加え、ビタミンAの抗酸化作用を強める亜鉛も豊富。ビタミンAの多いレバーや卵と一緒に摂るといい」(陣内さん)、「特にくるみは亜鉛などミネラルが豊か。抗酸化作用と抗炎症作用の両方が期待でき、認知症予防にもいい」(坂田さん)、「特にアーモンドはビタミンEが豊富。血流を促し、聴力を回復させるための栄養分の運搬を助ける」(望月さん)
専門家勧める食品1位は「ナッツ」、2位は「かき」!耳にいい理由とは
難聴を予防し、「一生聞こえる耳」を作るためのキーワードは、「抗酸化」と「抗炎症」にあると川越耳科学クリニック院長の坂田英明さんは言う。
「耳は臓器の一部なので、体全体を老化させないことが対策になる。酸化を防ぎ、慢性的な炎症を避ける習慣が肝要で、食事においても同じことが言えます」
そこで本誌が専門家たちに「聞こえる耳を作るおすすめの食材」を取材したところ、堂々の1位に輝いたのは「ナッツ類」だった。
「ナッツ類は抗酸化作用のあるビタミンEが豊富で、ビタミンAの抗酸化作用を促してくれる亜鉛も多い」(陣内さん)
坂田さんも言い添える。
「亜鉛は聴力の働きを維持するうえで欠かせない栄養素ですが、現代人は亜鉛が不足しがち。くるみには抗酸化作用と抗炎症作用があるといわれていて、認知症予防になるというデータもあります」
2位にランクインしたのは「かき」だ。管理栄養士の中沢るみさんが解説する。
「かきには亜鉛とビタミンB12が豊富に含まれています。ビタミンB12は傷ついた末梢神経の修復を促して、難聴を改善する効果が期待できます」
同じくビタミンB12の含有率が高いものとして、管理栄養士の浜本千恵さんが挙げたのが、3位、4位にランクインした「鮭」と「豚肉」だ。
「鮭と豚肉はどちらもビタミンB12が豊富で、価格も安いので手軽に摂ることができます。ただし、耳にいいからといって同じものばかり食べず、バランスのよい食事と規則正しい生活を心がけてください」(浜本さん)
7位の「レバー」も亜鉛とビタミンB12がたっぷり。
「牛・豚・鶏のどれを選んでも両方の栄養素が摂れるので、自分の好みで選んでください。抗酸化作用のあるビタミンCと組み合わせるなら、レバニラ炒めが最適です」(中沢さん)
夏が近づくにつれ、スパイシーな食べ物が欲しくなるが、刺激が強すぎる食べ物には注意してほしいと今野さんは注意を促す。
「冷たいものや辛いものばかり食べて胃腸に負担がかかると、自律神経の乱れに直結します。難聴の『聴』は胃腸の『腸』だと心得てほしい」
※女性セブン2024年4月18日号
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