最新!「腟」の正しいケア法|かゆみ、頻尿、尿漏れ…悩みを解消
腟の老化は35才くらいから始まり、40代半ばの更年期を過ぎる頃から顕著になる。腟や外陰部のトラブル、排尿障害を総称して『閉経後性器尿路症候群(GSM)』と呼び、閉経後の女性の7~8割が自覚するようになる。
「腟に雑菌が入っても、生理があれば経血と一緒に流れるのですが、生理がなくなると、腟の中の雑菌が停滞したままで、よどんだ池のようになります。すると、においが強くて色の濃いおりものが出たり、かゆみや頻尿、尿漏れといった症状が現れてきます。
これは閉経後に限らず、女性ホルモンが減少してくる閉経前の女性にも起こります。おりものの量や色の変化は、性感染症や子宮がんなどの可能性もありますので、おかしいと思ったらすぐに婦人科を受診してください」(八田さん・以下同)
女性は誰しも決して無関心ではいられない、「腟」の問題。正しいケアの最新情報を八田さんに聞いた。
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骨盤底筋はトレーニングで鍛えられる
セックスやマスターベーションで骨盤底筋を鍛えることができる。しかし、抵抗がある人は左記トレーニング方法でも同等の効果を得られる。
骨盤底筋トレーニング
【1】両足をそろえ姿勢を真っすぐにして立ったら、お腹とお尻に手を当てる。
【2】【1】の姿勢のまま腟と肛門に力を入れ、キュッと締める。締めるときは息を吐き、緩めるときは息を吸う。締めたり緩めたりを2~3回繰り返す。
【3】ゆっくり息を吐きながら、骨盤底筋全体を引き上げるイメージで、腟と肛門を10秒かけて強い力でギューッと締める。次に10秒息を吸いながらゆっくりと緩める。これを2~3回繰り返す。
デリケートゾーンは「専用石鹸で洗う」が常識
一昔前はお湯で流すだけがいいとされていたが‥‥。
「洗うなといわれていた時代は終わりました。ただし一般的な石けんだとしみることがあるため、ベビー用や外陰部専用の弱酸性の石けんを使うといいでしょう。石けんを泡立てて指の腹で優しく洗ってください。腟の中まで指を入れて洗う必要はなく、小陰唇のところを開いて腟の入口周辺まで洗えば充分です」
保湿もデリケートゾーン専用クリームやオイルがいい。
銭湯やプールでは雑菌の感染に要注意
セックスをしていなくても、性病に感染することは珍しくない。
「銭湯やプールなどの公共施設で感染することがあります。更年期を過ぎると腟内の環境を整える常在菌が減少し、外から雑菌が入りやすくなるため、感染するリスクが高まるのです」
感染を予防するためには、床に直に座らない、椅子に座る前には水で流す、入浴後は外陰部をシャワーで洗い流すことを心掛けたい。
トイレは深呼吸しながら、ゆっくり
毎日のトイレタイムにも、腟を傷める落とし穴が。
「排尿や排便の際、長時間にわたり腹圧をかけると骨盤臓器脱の原因につながります。トイレでは息を吐きながらゆっくり用を足して、拭くときはゴシゴシこすらずに、ペーパーをそっと押し当てること。排便は3分以上強くいきまないようにしてください」
温水洗浄便座にも注意が必要だ。
「強い水圧をかけると傷つけてしまったり、雑菌が腟内に入ってしまうことがあります。優しく肛門周囲を洗い流す程度にしてください」
アンダーヘアは整える程度にする
海外では常識といわれる陰部周辺のムダ毛処理。日本でも、若者を中心に流行中だが…。
「逆に刺激が強くなったり、乾燥しやすくなる恐れもあるので、腟内に巻き込まない長さにカットする程度に。脱毛は、毛抜きで処理するのは絶対にNG。必ず専門の医療機関へ」
レーザー治療で腟を活性化できる
腟のレーザー治療とは、腟内にレーザーを照射し、萎縮した細胞を活性化させること。腟の不快症状や排尿障害を軽減させる効果がある。
「施術時間は5分程で、痛みはほとんどありません。基本的には年齢問わず治療を行えますが、施術当日の入浴と3日間は性交を控えていただきます。腟炎を発症している場合や、腟の外に脱出した骨盤臓器脱がある人、出血があるときは行えません」
八田さんのクリニックでは、レーザー治療は1回3万2400円。約1か月後に2回目の施術を行うことで、8~10か月ほど効果は持続するそう。
レーザー治療以外には、ホルモン補充療法や女性ホルモンの腟錠を挿入する方法もある。ただし、頻尿や尿漏れにはあまり効果がないので、自分の症状に合わせて選びたい。
骨盤底筋は、前方の恥骨と後方の尾骨の間にあるハンモック上の筋肉群のこと。膀胱や子宮など骨盤内にある臓器を支えており、出産や加齢によって骨盤底筋が緩むと、骨盤臓器脱などにつながってしまう。
イラスト/小山ゆうこ
※女性セブン2019年3月7日号