写真付き!足の爪の変形や変色の理由って?巻き爪 、爪甲鉤彎症、爪白癬…症状と原因、治療、予防法
「おしゃれを楽しみたかったのに、足の爪が変形していて断念」「爪が変色したなと思っていたら、みるみるうちにもろくなった」──それらの症状は、足爪に何らかの病気やトラブルがあるサインかもしれません。
足爪のトラブルが歩行困難を招く
「巻き爪に悩まされています。見た目がどんどん悪くなっていて、この夏も恥ずかしくてサンダルが履けませんでした」(47才・事務職)
「最近、介護中の母がデイケアや散歩に行きたがらなくなったので理由を聞くと、『足の爪が靴に当たって痛い』と。見ると普通の爪切りでは切れないほど分厚くなっていたので、すぐに皮膚科に連れて行きました」(56才・会社員)
日頃から目につきやすい手の爪に比べ、足の爪はケアも疎かになりがち。神楽坂 肌と爪のクリニックの野田弘二郎院長によると、幅広い年齢層の女性が足の爪にトラブルを抱えているという。
「先端のとがった靴やストッキング等で日常的に足の爪に圧迫を与えている人が巻き爪などになりやすい。外反母趾が原因になることもあります」(野田院長・以下同)
四肢の先端にある爪は指先を保護すると共に微細な知覚にも役立っている。足の爪に関しては、荷重バランスのセンサー的な役割も担っている。
「歩くときに爪が支えとなって指先に力を入れるのに役立っています。指先に爪が食い込んで痛みが生じる場合、足を正しく踏み込めずに転倒したりふらついたりすることもあります。治療が必要な場合はすぐに病院へ」
足をいたわる靴選びも大切。
「ポイントは親指に圧迫がかからないもの。足の健康を第一に考えてシューフィッターのいる靴店などでプロに相談することをおすすめします」
女性に多い爪の病気って?
女性に多い症状は、巻き爪(陥入爪かんにゅうそう)、爪甲鉤彎症、爪白癬、グリーンネイルの4つ。それぞれの症状、原因、治療や予防法を具体的に見ていこう。
巻き爪(陥入爪:かんにゅうそう)
【症状】
「女性で多いのは、爪を先端側から見たときに、アルファベットのCの形のように内側に丸く巻いているタイプ。爪の両端が皮膚に刺さって炎症や化膿、痛みを伴うものを陥入爪といいます。悪化すると赤い肉の塊が盛り上がり、靴を履くのもつらくなります。痛みがひどいと歩き方が不自然になり、足をかばうことによって膝や足首に負担をかけ、日常生活に支障をきたすこともあります」(野田院長・以下同)
【原因】
「女性の場合、小さすぎる靴やハイヒール、ストッキングで足先を締めつけることによって起こることが多いです」。
ストッキングを履き、先端が細いハイヒールで歩くと、それら自体の圧迫に加え、足が前に滑って、足の指先をさらに強く圧迫してしまう。また、長時間の立ち仕事によるむくみも爪が食い込む一因となる。
「深爪などの不適切な爪切りが巻き爪を引き起こすケースや、外反母趾のような骨格的な足の問題が爪に影響を与える場合も」。
【治療と予防】
治療としては、手術または矯正が行われる。
「手術は2種類あります。1つは、爪を作っている爪母の一部を切除し、変形した部分の爪を生えてこなくする方法。もう1つは、食い込んでいる爪の一部を切って一時的に痛みを緩和させる方法。矯正は、爪の先端の両脇に穴を開け、弾性のあるマチワイヤーを通す方法が主流です。爪の左右に穴を開けてチタン合金のワイヤーを入れて接着・固定し、ワイヤーが直線に戻ろうとする力で矯正します」。
適切な爪の切り方を心がけ、合わない靴やストッキング、5本指の靴下等、圧迫するものは避ける。
巻き爪の矯正法
●小さなワイヤーの弾力を利用して行う巻き爪矯正
<治療前>
一見わかりにくいが(写真1)、横から見るとトランペットのように爪の両端が丸まり(写真2)、皮膚に食い込んでいる。
<治療後>
マチワイヤー法で治療。直後~数日で痛みがやわらぐ。
爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)
【症状】
高齢者に多く見られる。
「爪の伸びが遅く、黄色っぽく貝殻のように横筋が入って何層にも重なり、分厚くなります。通常、痛みはありませんが、放っておくと爪が鉤型に湾曲して隣の指や靴に当たったり、指先に食い込んで痛みます。爪が半分ほど皮膚から浮き上がり、カパカパするのも特徴です」。
【原因】
重い物を落とすなどして爪がはがれたり、激しいスポーツ後になりやすい。
「原因はよくわかっていませんが、強い外力や慢性的な圧迫により爪の伸び方に問題が起き、爪が何層にも重なり厚くなってしまうのです」。
【治療と予防】
「治療は困難。手術で爪を抜く方法もありますが、経験上、よい爪が生えてくるケースは2割程度。ほかに、爪を抜いて爪母を除去し、まったく生えてこなくする手術も。入浴後に爪専用やすりで削るのが一般的ですが、フットケアサロンを利用してもいいでしょう」。
爪白癬(つめはくせん)
【症状】
爪が白や黄色く濁って厚く硬く、もろくなる。
「爪の裏に粉のようなものがたまることも。自覚症状はないが、家族に感染する可能性もあるため早めに治療を」。
【原因】
「白癬菌という真菌(カビ)による爪の水虫で、足の水虫が爪にうつる。爪が割れていたり、傷ついていると感染しやすい」。
【治療と予防】
「まずは水虫に感染しているか検査。菌がいる場合は内服薬と外用薬で対処します」。根治までに約1年。
「公衆浴場やジムに行った後は、足を洗ってアルコール消毒してください」。
グリーンネイル
【症状】
「爪が緑色に変色しますが、痛みやかゆみなどの症状はありません。爪を破壊したりすることもなく、ほかの指にうつることもありません」。
【原因】
「ジェルネイルが浮いた部分に緑膿菌が繁殖して起こります」。
【治療と予防】
「速やかにジェルネイルを外して石けんで洗い、2週間自爪で生活すれば自然治癒します」。
ジェルネイルは浮きがないか、こまめに観察する。
写真提供/神楽坂 肌と爪のクリニック
https://www.hadatotsume.com/
教えてくれた人
野田弘二郎さん/神楽坂 肌と爪のクリニック院長
※女性セブン2020年10月15日号
https://josei7.com/
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