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健康

外出自粛で重大健康リスクが!家ごもり生活に潜む病気4つのリスクと対策

 新型コロナで不要不急の外出を控える”家ごもり生活”が長引くと、実は別の病気や不調を呼び込んでいるかもしれない。日光を浴びず、歩かずに骨や筋力が弱り、転倒リスクも上昇…。長引く家ごもり生活のリスクと対策を専門医に聞いた。

コロナで長引く家ごもり生活に悲鳴

「とにかく、もう息が詰まりそう。システムエンジニアの夫は3月頭から、事務職の私も中旬からテレワークになりました。高校生の息子も、もちろん休校中。さらに義理の母も同居しており、たいして広くない家に一家5人が閉じこもって暮らす日々が、もう1か月は続いています。

 特に高齢者は感染リスクが高いということで義母は日課の散歩を控えています。そのためか『ひざと腰が痛い』と言うように。私も最近は眠りが浅く、ずっと疲れが取れません」

 都内に住む太田早苗さん(52才・仮名)が嘆息まじりに言う。

 いつまで続くかわからないこの状況に心身が蝕まれていく様が、ひしひしと伝わる。

 もちろん、政府が出す外出自粛要請は疫学上、理にかなったものだ。新型コロナウイルスはヒトからヒトへと感染するため、人混みを避け、家の中に閉じこもっていれば確実に感染リスクを下げることができる。

 医学博士で西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣さんが話す。

「考えようですが、家の中いさえすればいいのだから非常に恵まれているということもいえます。空襲や爆撃がいつ起こるかわからない戦争は逃げ場がないし、災害で家を失えば冷たい体育館の床で他人と一緒に過ごさねばならないのですから。

 とはいえ、自宅での生活が長期化すれば、やはり運動不足や食事の偏りなど、さまざまな問題が浮上し、それが思わぬ病気や不調を招くのも事実。自己管理をするしかないでしょう」

 ウイルスへの感染を免れてもほかの病気にかかってしまえば、元も子もない。自宅にこもる生活には、具体的にどんなリスクがあり、何に気をつけるべきなのだろうか。

1:日光を浴びないとうつや免疫力低下

 家にこもりがちになると、まず減るのは外に出て日光に当たる時間だ。

 秋葉原駅クリニックの内科医、佐々木欧さんは「健康を保つうえで、日光を浴びることはとても重要だ」と説く。

「脳内で働く神経伝達物質のセロトニンは日光を浴びることで分泌され、不足するとうつ病につながりやすい。実際に北欧など緯度の高い地域では、日照時間が短くなる冬にうつ病の発症率が高くなることが知られており、『冬季うつ』と呼ばれています」

 うつ状態のほかにも、日光を浴びないことで引き起こされる病気や不調は数多くある。

「日光を浴びると皮膚ではビタミンDが作られます。不足すると骨粗しょう症の原因となることで有名ですが、それに加えてウイルスなどの感染を防ぐのに役立つ免疫機能に重要な役割を担っていたり、認知機能や肥満にも影響することもわかっています」(佐々木さん・以下同)

 つまり、長い間お天道様を見ない「家ごもり」によって、うつや骨粗しょう症のほか、認知症、肥満などにまでつながる恐れがあることになるのだ。なかでも「免疫力低下」のリスクにさらされるというのは「家ごもり」の目的を考えると、なんとも皮肉としか言いようがない。

 実際、WHOの規程でも「間違いなく少量の日光が健康にとって大事」としているほか、環境省でも「両手の甲に1日1回、日向で約15分あるいは日陰で約30分」の日光浴をすすめている。

2:歩く歩数が減って筋力低下

 さらに、平常時は通勤や外食、買い物などで無意識にしていた「歩行」が減ることも、健康を考えたとき、大きなリスク要因となる。

「高齢者はもちろん、若い人でも歩かずにいると筋力が低下してしまいます。たとえば、病院のベッドで数日寝たきりになるだけでも、筋肉がガクンと落ちる。若者であれば筋力回復も早いのですが、高齢者は戻るまで時間がかかる。そうなると転倒のリスクも増加してしまう」

3:座りすぎで筋力や認知機能低下

 さらに恐ろしいのは、歩かずに、ずっと座りっぱなしでいることだと佐々木さんが続ける。

「長期間歩かずにいると『フレイル』と呼ばれる、筋力低下や認知機能低下に伴い日常生活に支障をきたす状況に陥ることが危惧される。これはいわば認知症の一歩手前の状態です。特に、座りっぱなしは肥満や生活習慣病とも関連し、死亡率を上げるという報告が数多く出ています」

 実際、オーストラリアのシドニー大学が45才以上の男女を対象に約9年間行った追跡調査でも、ほとんど運動をしない場合、1日に座っている時間が8時間以上の人は、4時間未満の人に比べて死亡リスクが52%増えていた。なぜ座りすぎは不調を招くのか。佐々木さんは、血液の循環不全による影響を指摘する。

「『第2の心臓』といわれるふくらはぎは静脈血を心臓に戻すのを助けるため、筋力維持が不可欠です。これが低下すると循環が滞って血栓ができたり老廃物を排出しにくくなり、さまざまな体の不調につながると考えられます」

4:テレビの見すぎで死亡率上昇

 退屈な家ごもり生活では、テレビをつけっぱなしにし、スマホやタブレットで暇つぶし、という向きも多いはずだが、こちらも健康を考えるといいとはいえない。

 大阪大学が約8万6000人の日本人男女を対象に行った調査によれば、1日5時間以上テレビを見る人は2.5時間以下の人に比べてエコノミークラス症候群による死亡リスクが2.5倍高まるという。

「テレビやスマホなど、情報が自分の側に一方的に降り注ぐような機器の使用時間が長ければ長いほど、うつ病のリスクが上がるという報告もある。また、情報過多は不安を増大させる恐れもあり、時には情報から少し離れる勇気も必要です。使い方や時間には注意を払った方がいいでしょう」(佐々木さん)

 テレビやスマホを見るときは、椅子やソファに座ることが多いはず。時を忘れ、座りすぎになることにもつながるため、前述の2つの意味で気をつけたい。

コロナによる家ごもり生活のリスクと対策【まとめ】

1:日光を充分に浴びない

リスク:うつ病の発症率が高くなる、骨粗しょう症や認知症の発症率が上がる、肥満や免疫力低下を引き起こすなどの可能性がある。

対策:手の甲だけでも日光に1日15分は当てる。さけやめかじきなどビタミンDを含有する魚や天日干しのきのこを積極的に摂る。

2:1日に歩く歩数が減る

リスク:筋力の低下により、フレイルや転倒を引き起こすリスクが上がる。

対策:1日15分でもウオーキングやスクワット、ラジオ体操など人込みを避けてできる運動を実施する。万歩計を使って自分がどのくらいの歩行量なのかを把握する。

3:座りすぎ

リスク:1日8時間以上座ることで死亡率が上がるうえ、循環器系の病気を引き起こす危険も。

対策:意識的に立ち上がり、ストレッチなどを数時間ごとにして体が固まらないようにする。

4:テレビやスマホの使いすぎ

リスク:1日5時間以上テレビを見る人の死亡率が高いというデータが。加えて、テレビやスマホの使いすぎはうつ病のリスクを上げるという報告もある。

対策:使うならば一方的に情報が降り注ぐような方法ではなくテレビ電話などコミュニケーションツールとして、1日30分のテレビ電話が認知機能を上げるという報告も。

教えてくれた人

佐々木欧さん/秋葉原駅クリニック・内科医

※女性セブン2020年4年23号
https://josei7.com/

●コロナ不安の今必読! 医療・健康サイトの正しい見分け方

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●コロナ防衛は玄関から! ウイルスや花粉を家に持ち込まない掃除法

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