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大好評《介護のなかまカフェ》イベントレポート|第2回のテーマは【福祉用具】「介護の悩みを共有できて心が軽くなった」

 介護ポストセブン主催、読者会員組織「介護のなかま」を招待して実施する交流イベント「介護のなかまカフェ」。大好評だった第1回に続き、この10月に第2回が開催された。温かな雰囲気の中、盛り上がった当日の様子をレポートする。

「介護のなかまカフェ」好評につき2回目を開催

 秋の陽射しが心地よい10月3日(金)、第2回「介護のなかまカフェ」を開催がされた。抽選で当選した「介護のなかま」会員、20代から80代まで幅広い年代の参加者のかたがたに、セミナーやフリートークなど“カフェタイム”を楽しんでいただいた。

「小さな工夫で日常生活を快適に」福祉用具のプロが解説

 会場に到着した参加者は席順を決めるくじを引き、席番号を確認しながら着席。冷たいドリンクや挽きたての温かいコーヒーを飲みながら、同じテーブルのメンバー同士で挨拶を交わし、早速和気あいあいとした雰囲気に包まれる。

 編集長からの挨拶の後は、早速、福祉用具に関するセミナーへと続く。今回のゲスト登壇者である山上智史さんが入場し、温かい拍手で迎えられた。

今回のテーマは「福祉用具」

 山上智史さんは、福祉用具専門相談員として約18年間にわたり活躍中。ホームセンターでの勤務経験を活かし、独自の視点から介護に適した住環境づくりを支援している。「就職活動ではダイソーに内定が決まっていた」という山上さんは、100円グッズにも愛着があり、介護役立つアイテムとしてもでそのアイディアを取り入れている。

 山上さんは、9月に新会社アップサポートを設立したばかり。新会社のトレードマークは「ペンギン」。「皇帝(こうてい)ペンギン」にかけて、何ごとも「肯定(こうてい)しよう」という思いを込めているのだと参加者へ説明してくれた。

「環境を見直したり、道具の使い方や視点を変えたりすることで、高齢者の自立支援や介助者の負担を軽減したい」が山上さんのモットーだ。

 マイクを握る山上さんが、参加者全員に配られた編集部特製の「介護のなかま」ロゴ入りボールペンを手に「このボールペンをもらえたということは、私も皆さんと“なかま”ですね!」と話を切り出すと、会場は一気に和やかに。

 山上さんは介護ポストセブンで福祉用具の活用方法やメリット・デメリットに関する記事を20本以上発信。分かりやすく、すぐ実践できる内容だと読者にも定評がある。今回のセミナーでも、山上さんがこれまで培ったノウハウを、さまざまな実例を交えて紹介してくれた。

「デイサービスの職員として在宅介護をしていた時、視力が落ちて、つまづく回数が増えて歩くのが億劫になった人がいらっしゃいました。車いすや杖を使い始める前に、まずできることを考えました」(山上さん)

 山上さんが思いついた、アイディアとは、「靴の色を“赤”にする」ことだったという。

「視認性の高い赤い色の靴を履くことで、歩くときに自然と目線が足元に向くようになったんです。道の段差や出っ張りにも気づくようになり、つまづく頻度が減ったんですよ。出歩く時間も長くなって体力・筋力の維持向上につながりました」

福祉用具はまず「レンタル」でお試しを

 高齢者が自立した日常生活を営むための福祉用具の利用の仕方についても解説。

「介護保険を通じて利用できる福祉用具は、レンタル、購入、住宅改修と大きく3つの方法があります。

 福祉用具を使い始めるなら、まずはレンタルがいいでしょう。収入や介護レベル(要介護度)によって負担額や金額の上限、借りられる用具は異なりますが、1割負担の場合は車いすが月500円、特殊寝台が月1000円程度で利用できます」

「トイレやお風呂で使うシャワーチェアなどの福祉用具は、レンタルの対象にはならず“購入”となります。和式便器の上にかぶせるだけで洋式になる便座や、補高便座など深く腰掛けるのが難しい人とって助かるアイテムも豊富ですよ」

 住宅改修の使用例について話題が変わると、参加者の眼差しはさらに真剣に。

「介護保険を使える住宅改修には、廊下に手すりを取り付けたり、段差やすべりを解消したりする工事が、イメージしやすいですよね。

 意外に需要があるのがお風呂のドア。内開きの場合、もし浴室内で転倒して気を失ってしまうと体で扉をふさいでしまい外から救助ができません。万が一に備えて、折れ戸や引き戸に改修するご家庭も多いんですよ」

「できないをできる」に変える環境づくりや道具の工夫

 福祉用具専門相談員の役割は、高齢者の「できない動き」を「環境や道具で補う」ための専門職だと語る山上さん。

「身の回りにある道具を見直し、使い方を工夫することで、まだまだできることはたくさんあるんですよ。

 また、福祉用具は同じように見えて構造や特徴がそれぞれ異なるので、安全で快適な生活を送るためにも、福祉用具のプロに気軽に相談して欲しいですね」

「100円グッズを介護にもいかす」取り組みにも積極的な山上さんは、この日もダイソーで見つけた便利グッズを持参。

「片麻痺となって両手がうまく使えない人にとって、布団ばさみは使いにくいものです。しかし100円ショップを覗いてみると、片手で挟むタイプの布団ばさみが売っているんです。これなら片手でOKですし、握力が弱い人でも使えます。“介護”という視点を持って100円ショップを歩いてみると、たくさんの便利グッズが見つかると思います」

 山上さんの話に熱心にメモを取りながら、聞き入る参加者の姿もたくさん見られた。質疑応答でも、あちこち手が挙がり、福祉用具への関心の高さが窺えるセミナーとなった。

介護にも役立つ便利な100円グッズは参加者へのお土産に

 今回、山上さんがセレクト、紹介した介護にも使える100円アイテムを参加者のみなさんへのお土産に。片手で使える『ノック式の油性ペン』、握力が弱ってきてもフタを開けられる『ビンオープナー』、ペットボトルのキャップをいちいち回して開けずにすむ『ボトルキャップ』の3点だ。

 さらに編集部からは、先に紹介した「介護のなかま」ロゴ入りのオリジナルボールペンと、介護のなかまカフェ第1回でもお土産にし、参加者に大好評だった神保町名菓、大丸やき茶房の『大丸やき』を用意。特別に小学館の焼き印入りのものだ。

「大丸やきは嬉しかったです。職場に戻って同僚にひとつお裾分けしました」「講師のお話に出てきたものがお土産にいただけたのもよかった」など、お土産に関するコメントも寄せられた。

フリートークは介護食も試食し盛り上がった

 講演後は、山上さんが各テーブルを回りながらのフリートークを実施。福祉用具専門相談員との付き合い方やICTを活用した在宅整備などさまざまなテーマで盛り上がった。参加者同士が介護の経験を語り、悩みを相談し合う様子も。

 テーブル上には、介護に活用できる栄養補助食品、『メイバランスMini』(明治)、『エンジョイクリミール』(森永乳業クリニコ)、『アイソカル ゼリー ハイカロリー』(ネスレ)を用意、さまざまな味を試してもらった。

 談笑しながら食べ比べをするグループもあり、感想を聞いてみると…。

「栄養補助ドリンクは普段はスーパーではあまり見かけない色々な味があるのは驚きました。ヨーグルト味のものが酸味もほどよくておいしかったですね」

「介護食って味が薄いんじゃないかとか、物足りないのではと思っていたけど、しっかりした味わいで食べ応えもありました」

「栄養補助食品って抵抗があったけど、手軽に栄養素を摂取できるのは助かりますね。初めて食べてみましたが、腹持ちがいいので驚きです」「介護中の親よりも、介護をする自分がまず食べて、飲んでみることが大切だと感じました」

 初めて試してみたという参加者が多く、なかなか味見することができない商品を知るいい機会となったようだ。

介護のなかまカフェ参加者から寄せられたコメント

 フリートークは二部制にして、席替えを実施。予定を時間をオーバーするほど、参加者のみなさんは打ち解け、リラックスした様子だったことが印象的だった第2回介護のなかまカフェ。終了後には、たくさんのお声が寄せられた。

「『できない』を細分化する、色々な見方をする」という山上さんの話を聞き、義父母のこれからを見守る、勇気と余裕が持てました」

「介護の話はタブーも多く友人に相談しにくい。介護経験者など同じバックグラウンドの人が多いからこそ、本音を隠さずに話すことができた」

「席替えのおかげで多様な意見が聞けて有難かった。新しい出逢いとつながりが生まれた素晴らしい取り組みだと思う」

「初めてお会いするかたたちなのですが、介護という同じ悩みを抱えているということで心が軽くなった気がします」

「介護の経験が他の人に役立つとは思ってもみなかった。両親はすでに他界したが、当時の思い出を振り返りながら話せる機会は貴重でした」

***

 参加者のかたがたの温かい交流が生まれた「介護のなかまカフェ」。2回目も大好評のうちに幕を閉じた。

 今回ご応募、ご参加くださったかたを始め、介護ポストセブンをご愛読いただいている「介護のなかま」の皆さまに改めて感謝申し上げます。

 次の機会に皆さまとお会いできるのを、編集部スタッフ一同心より楽しみにしております。次回もお楽しみに!

撮影/杉原賢紀 取材・文/松藤浩一

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