《認知症の家族の介護にあると安心》位置情報共有サービスを手軽に活用したい…費用を抑えて導入する方法
認知症を患っている家族がいる場合などに便利なのが「位置情報サービス」。しかし、GPS付きの位置情報端末は購入費用のほか、月額の利用料金もかかるなど、高くついてしまうことも。そこで、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、費用を抑えて位置情報サービスを使う方法を教えてもらった。
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教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。
おすすめはGoogleアカウントでの位置情報共有
位置情報の共有サービスは各種ありますが、手軽に設定できておすすめなのが、Googleアカウントで位置情報を共有するやり方です。利用料が無料であることに加え、アカウントを作成すればすぐ使えますし、何より精度が高いのがメリットです。
Googleアカウントを使った位置情報共有のやり方
使い方も簡単です。位置情報を知りたい相手のスマートフォンに「Google Maps」のアプリを入れ、まず設定画面から位置情報を常にオンに設定します。そのうえで、「Google Maps」のアプリを開き、右上のアカウントアイコンを押して「現在地の共有」で自分(もしくは位置情報を共有したい相手)のスマートフォンを選ぶと、位置情報をオンに設定したスマートフォンの現在地を知ることができます。
親の位置情報を把握したい場合は、まず親のGoogleアカウントを作成します。作成が終わったら、以下の手順で位置情報共有の設定を行ってください。
《「Google Maps」とGoogleアカウントでの位置情報共有のやり方》
【1】親のスマートフォンで「Google Maps」のアプリをダウンロードする
【2】スマートフォンの設定画面から位置情報を「常にオン」に設定する
【3】「Google Maps」アプリで、右上のプロフィールアイコンをタップする
【4】「現在地の共有」をタップし、「共有を開始」をタップする
【5】共有相手に自分を選択し、共有時間を設定する
【6】共有をタップすれば完了
共有する期間の設定なども可能
位置情報を共有する時間は「15分」~「無効にするまで」の間で設定することができます。外出時だけ共有したい場合などは、外出時間を考慮して時間を設定するといいでしょう。一方、常に共有するようにしたい場合は、「無効にするまで」を選択しましょう。ただし、位置情報を共有している間はスマホのバッテリーの減りが早くなるため、充電切れには注意が必要です。
この機能は、Androidのスマホ、iPhoneどちらでも、Googleのアカウントを作成し、「Google Maps」のアプリをインストールすれば、使うことができます。
ただし、らくらくスマホなど、アプリのインストールが制限させるスマホを利用している場合は、利用することができません。
要介護者がスマホを持ち歩かない場合などはAirTagの利用もおすすめ
要介護者がスマホをもっていない場合や、Googleアカウントをもっていない場合、作るのに抵抗がある場合などは、AirTag(エアタグ)を利用するのも選択肢です。AirTagはApple社製の「紛失防止スマートトラッカー」で、鍵や財布に取り付けておくことで、鍵や財布を紛失した時に、紐づけたiPhoneを使って探し出すことを可能にするものです。
AirTagはそれ単体でiPhoneに位置情報を発信できるため、介護をされる人がスマホをもつ必要がありません。鍵や財布、かばん、衣類など介護される人が身につけるものに付けて持ち歩いてもらえば、遠隔地からiPhoneで居場所を確認することができます。
また、AirTag本体の購入費用とiPhoneやiPadといったAirTagと紐づける端末が必要ですが、毎月の利用料は不要。AirTagは電池が無くなったら自分電池も自分で交換できるので、手軽です。市販のAirTag用のケースに入れることで、ピン止めやキーホルダーなど用途に応じた使い方ができます。
ただし、AirTagの位置情報を探すにはiPhone用の「探す」というアプリを使う必要があるため、家族にiPhoneユーザーがいないと利用できないことと、人通りがほとんどないエリアで行動した場合、位置情報が正しく表示されないこともあるので、注意が必要です。
Android用の スマートタグも販売されていますので、iPhoneが無い場合は、Android用のスマートタグを購入しましょう。
自治体によってはGPSサービスの費用補助なども
GPSサービスの契約に伴う費用などを補助している自治体もあるため、こうした制度がないか調べてみるのもおすすめです。
江東区では、認知症を患っている高齢者などを介護する家族を対象に、GPSを使った位置情報サービスの新規契約に必要な費用(最大7700円)を助成しています(https://www.city.koto.lg.jp/211502/ninchi/ninchi_gps.html)。
このほか、豊島区ではGPSなどを使った位置情報端末機を貸し出す「位置情報サービス」や、介護者から要請があった場合に係員が現場に急行して要介護者を保護する「現場急行サービス」なども提供しています(https://www.city.toshima.lg.jp/379/kenko/koresha/ippansesaku/1502171312.html)。
別居している場合などは見守りサービスの導入もおすすめ
認知症の親と別居している場合などは、位置情報サービスに加え、「見守りサービス」を導入するのもおすすめです。
見守りサービスとは、遠方に住む家族の代わりに高齢者の生活をサポートするサービスで、見守りカメラや、電源を入れると通知が届くサービス、配達時に安否を確認する宅食サービス、24時間トイレの扉の開閉がなかった場合にガードマンが駆けつけるようなサービスなど、幅広くあります。どのようなサービスなら見守る側が使いやすく、本人が拒否感を示さないか、本人ともよく相談したうえで決めるといいでしょう。
また、横浜市では、横浜市在住の65歳以上の一人暮らしの人を対象に、安否が確認できない際にガードマンが駆けつけてくれる見守りサービスなど、計7種類(2025年度時点)の見守りサービスの費用を最大月額1000円補助しています(https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/kaigohoken-igai-service/zaitaku-yoengo-shien/mimamori.html)。自治体によってさまざまな制度があるため、気になる場合は一度調べてみることをおすすめします。
位置情報サービスや見守りサービスは、1つだけではなく複数利用することで精度が高まりますので、複数のサービスを利用することをおすすめします。はじめは、無料のものから始めて、状況に応じて複数のサービスを利用することで、安心感が高まるとともに、いざという時も早期発見につながる可能性が高くなります。