介護用品《100円ショップの賢い活用術》「紙おむつは持ち歩き用に」「介護シーツは赤ちゃん用で代用」介護経験を振り返り社会福祉士が解説
「介護用品は100円ショップを活用するのがお得ですが、買っていいものと、あまりおすすめできないものもあります」とは、社会福祉士でファイナンシャルプランナーの資格をもつ渋澤和世さん。13年に渡る実母の介護を振り返り、100円ショップの介護用品の選び方と活用方法を教えてもらった。
この記事を執筆した専門家/渋澤和世さん
渋澤和世さん/在宅介護エキスパート協会代表。会社員として働きながら親の介護を10年以上経験し、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。自治体の介護サービス相談員も務め、多くのメディアで執筆。著書『入院・介護・認知症…親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)、監修『親と私の老後とお金完全読本』(宝島社)などがある。
100円ショップの介護用品の選び方・活用法
介護がはじまると、介護用品を慌てて揃えるかたもいらっしゃると思います。例えばストローコップ、これは普通に買うと500~1,000円はします。薬の仕分けケースも1,000円程度です。実は、これらの介護グッズは100円ショップで買えるものばかりなのです。
勿論、高価なものはそれなりにおしゃれであるとか、素材も異なるかもしれませんが、100円ショップの商品でも問題なく使用できるのであれば、あえて高価なものを購入する必要はありません。
どのような商品が購入できるのか、【衣】【食】【住】にわけてご紹介いたします。
【衣】紙おむつは外出時や持ち歩き用として活用
・大人用紙おむつ(パンツ・テープタイプ)
・尿取りパッド
・締めつけない靴下 など
紙おむつや尿取りパッドは、100円ショップで売っているものは、たいてい1枚の個包装タイプで、尿取りパットは、2~3枚入りなど枚数は少なめなので、コスパがいいとはいえません。また、取り扱いがない店舗もあります。
紙おむつに関しては、ドラッグストアやホームセンターなどで売っている20~30枚入りのものが割安です。私は普段はそちらを利用し、外出先などで足りなくなったときや持ち歩くときに100円ショップのものを活用していました。
紙おむつを持ち歩く際、ダイソーの紙おむつ圧縮袋を利用すると荷物がかさばらずにすむので便利です。
また、100円ショップの締めつけない靴下は、足がむくみやすかった実母を介護していたときに、よく利用していました。
【食】食事介助のエプロンは使い捨てと割り切るならあり
・シリコーン製スプーン
・介護スプーン(端が曲がっているもの、フォークと一体のもの)
・U字スプーン、介護箸(リングの付いたトレーニングタイプ)
・介護用コップ(取手付き)
・ストローコップ
・吸い飲み
・使い捨てエプロン
・口腔ケアスポンジブラシ
・舌ブラシ
・入れ歯用洗浄剤
・うがい受け
・入れ歯ケース など
高齢者にアルミ製のスプーンを使うと唇や舌を傷つける可能性があります。シリコーン製の軟らかいものが良いのですが、ネットショップの比較的安いものでも500~1,000円くらいします。100円ショップは種類やサイズも限られますが、ちょうどいいものが見つかれば問題なく利用できると思います。
うがい受けなどのプラスチック製品も100円ショップのもので問題なく、我が家でも活用していました。
ただし、100円ショップの食事用のエプロンはあくまでも、使い捨てと割り切ったほうがいいでしょう。シリコーンエプロンも近年販売されていますが、500円商品であることも多く、暗めの色のものが多いので食事のときに楽しい気分になるにはちょっと相応しくないデザインかもしれません。
食事介助用に作られた100円ショップ以外のエプロンは、デザインも豊富にあり、防水加工にすぐれていて、洗って繰り返し使えます。食事のときに食べ物や飲み物をよくこぼしてしまう場合には、介護用のものを購入したほうが結果的にお得になると思います。
【住】排泄ケア用品は赤ちゃん用品も活用
・介護シーツ
・からだふき、おしりふき
・薬ケース
・ピルカッターケース
・入れ歯ケース、入れ歯用歯ブラシ
・車いすマーク、身体障害者マーク
・杖ホルダー、杖ゴム(取り換え用ステッキゴムキャップ)
・ビニール袋
・ビニール手袋 など
「介護シーツも100円ショップで購入できるの?」と思ったかもしれません。ダイソーで防水タイプの使い捨て介護シーツを購入したことがありますが、布団やトイレ周りで重宝するアイテムです。
ポータブルトイレの下に敷いておけば、床の汚れ防止になります。使い捨てなので汚れたら廃棄すればいいので、洗濯などの手間が省けます。
店舗や時期によっては、介護シーツは取り扱いがないかもしれません。排泄ケアに関するアイテムは、赤ちゃん用なら豊富に揃っている場合が多いので、赤ちゃん用のおむつ替えシートを2枚使うという方法もあります。
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100円ショップの中でも、介護用品の圧倒的な品揃えがあるのはダイソーです。ネットショップでも介護用品というカテゴリーがあるほどの充実ぶりです。
他の100円ショップのネットショップで販売しているところは多くないですが、取り扱いはあるので、まずはお近くの100円ショップをのぞいてみてください。
ただし、100円ショップは商品の入れ替わりが早いので、目当てのものが店頭になくなっていることもあります。
介護はただでさえお金がかかるものです。介護用品を求めてネットショップ、ドラッグストア、ホームセンターなどで購入したら、同じようなものが100円ショップにあったというのはよくある話です。
介護専用のアイテムは割高ではありますがもちろん品質は良いので、100円ショップのもので材質や使い勝手に納得がいくものであれば、ぜひ検討してみてください。