介護人材のキャリアモデルに変化 新たなイメージは「山脈型」、多様なキャリアパス普及めざす
介護業界の人材不足に対応するため、厚生労働省は新たに「山脈型キャリアモデル」を提案した。これまでの一方向的なキャリア構築「富士山型」ではなく、介護職員が自身の志向に合わせて多様な道を選べるようにするこのモデルは、2025年度の概算要求に盛り込まれ、普及に向けた試行が進められる。
山脈型キャリアモデルとは?
「山脈型キャリアモデル」は、介護職員が自分の志向や能力に合わせて、管理職への昇進だけでなく、介護技術のスペシャリストや他の分野への転身といった多様なキャリアパスを選べるようにするものだ。これにより、介護職が現場で技術を極めたい場合でも、管理職に進みたい場合でも、その選択肢が広がる。「認知症ケア」「看取りケア」など、特定の分野でのキャリアスキル向上をはかることも可能だ。
この新しいキャリアモデルは、介護業界に長期的に留まることを可能にするだけでなく、職員の意欲やライフステージに応じたキャリアの柔軟な構築を促進する。また、2025年度には、法人と職員が協力してキャリアパスを作成し、それを実際に試行するモデル事業も実施される予定となっている。
従来のキャリアモデルとの違い
従来の介護業界では「まんじゅう型」や「富士山型」と呼ばれるキャリアパスが存在していた。「まんじゅう型」はキャリアの見通しが悪く、役割が不明確だったため、2015年にはより明確な「富士山型」が導入された。このモデルは多様な人材を呼び込み、裾野を広げて専門性を高めることを目指していたが、主に管理職へのキャリアアップが強調されていたため、現場で技術を追求したい職員には適していなかった。
今後の展望
「山脈型キャリアモデル」は、介護職員が自身のキャリアを選べる自由度を高めるだけでなく、職員がキャリアの方向性を途中で変更できる柔軟性も提供する。これにより、これまで現場にとどまっていた人々も、専門分野で頂点を目指すことが可能になる。この新しいモデルを通じて、介護職員が自分のキャリアに対してより多様な選択ができる時代を築き、それぞれの分野で活躍できる人材が出てくることが期待できる。
構成・文/介護ポストセブン編集部