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健康

3人に1人が悩んでいる「痔」種類や原因、50代女性に切れ痔が多い理由を医師が解説

 トイレに行くたびに痛い、座れないほど痛い。「痔」になったことがある人なら、この独特の痛みと怖さがわかるはず。寒さがいっそう厳しくなったこの時期はまさに“痔のハイシーズン”だ。平田肛門科医院院長の平田雅彦さんに「痔」のタイプや原因、対処法

「痔」は3人に1人が悩んでいる調査も

 痔はいまや“第二の国民病”と言っても過言ではない。日本でもっとも患者数が多いのは歯周病で、成人の8割がかかっており、次いで患者数が多いのが痔だといわれているのだ。

『マンガでわかる痔の治し方』(小学館集英社プロダクション)などの著書がある、平田肛門科医院院長の平田雅彦さんが解説する。

「アメリカのフォード病院の調査では、自覚症状のない“隠れ痔”を含めると、約800人の調査対象の8割が痔でした。日本の製薬会社の調査でも“3人に1人が痔に悩んでいる”というデータがあり、実際はもっと多いのではないかと推測されます」

女性こそ痔になりやすい

 そもそも「痔」とは、肛門の病気の総称。「いぼ痔(痔核)」、「切れ痔(裂肛)」、「あな痔(痔ろう)」の3つが代表的で、男女ともにもっとも患者数が多いのは「いぼ痔」だ。

「肛門付近は、毛細血管が集まることで、クッションの役割を担っています。冷えや運動不足、長時間の座位で毛細血管がうっ血することでできる、動静脈瘤の一種が痔核、つまりいぼ痔です。

 肛門奥の直腸側にできるのが『内痔核(ないじかく)』、外側にできるのが『外痔核(がいじかく)』。痛覚のない内側にできる内痔核は、痛みがないことから気づきにくいのですが、当院では全体の6割を占めます。痛みがなくても、便の外側に血がついていたり、排便時にいぼが飛び出してくるという人は、内痔核かもしれません」(平田さん・以下同)

 いぼ痔に次いで多いのは「切れ痔」で、これは女性に多く、15%を占める。排便時に硬い便が通ったり、強くいきんだりすることで肛門の粘膜が切れるのが原因だ。

「痔」の3タイプ

【いぼ痔(内痔核が多い)】

 肛門付近のうっ血により、しこりができる。内痔核の場合は自覚症状がないことも多い。

【切れ痔(裂肛)】

 肛門ポリープ(上)や、さけ目の周囲が盛り上がったみはりいぼ(下)ができる場合も。硬い便が通るときに肛門上皮を切ってしまう。痛みと出血がある。女性に多い。

【あな痔(痔ろう)】

 炎症が悪化して肛門腺にうみがたまり、肛門付近にあな(肛門腺窩)が開く。がん化することもあり、治療には手術が必須。

根本的な原因は「炎症」

 だがどんな痔も、根本的な原因は「肛門の炎症」だと、平田さんは言う。

「肛門の粘膜は、目の粘膜と同じ、わずか1mmほどの厚さしかありません。そんな繊細な場所を毎日便が通っても平気なのは、強い免疫機能が働いているから。ところが、ストレスや睡眠不足、冷え、血行不良、アルコール、長時間の座業など、何らかの理由で免疫のバランスが崩れると、ちょっとした刺激で炎症が起きやすくなるのです」

 肛門内の炎症が広がって肛門腺にうみがたまると「ろう管」というトンネルになる。これが排便でいきむたびに広がっていき「痔ろう」となる。

「排便時でなくてもお尻がはれて痛みがあったり、38℃以上の熱が出る場合は、すぐに病院を受診してください」

切れ痔は20代後半・50代前後の女性に集中

 平田さんは「女性の方が痔になりやすく、悪化しやすい」と語る。「痔はおじさんの病気」というのは間違ったイメージなのだ。切れ痔の大きな要因は便秘。男性と比べて便秘になりやすい女性は、その分痔になりやすいといえる。

「女性の切れ痔は20代後半と50代前後に集中しており、これは便秘になりやすい年代と一致しています。また、生理中や妊娠中は、ホルモンバランスの関係で便秘や下痢になりやすく、それも痔の要因となります。さらに、出産時のいきみは痔を悪化させやすいのです。無理なダイエットで食事を減らして便秘になったり、便意があってもがまんすることが多いことも影響しているでしょう」

40才以上は2年に1度は大腸がん検診を

 女性の場合、恥ずかしさから病院に行かず、悪化させてしまうというケースも少なくない。痔の男女比の調査はないが、少なくとも平田さんの病院においては、患者の7割が女性だという。

「排便時の痛みや、血やうみが出るといった症状があれば、一度は診察を受けて。特に妊娠中は、ホルモンの影響で痔が悪化しやすい。たまに便に血がつくのを“ただの切れ痔だと思って放置していたら、大腸がんだった”というケースも珍しくありません。

 40才以上の人は、2年に1度は大腸がん検診を受けてほしい。日本大腸肛門病学会の肛門領域の指導医か専門医を受診するといいでしょう。最近は、待合室で名前ではなく番号で呼んだり、診察時の声が漏れないようになっていたり、プライバシーに配慮した病院も増えています」

教えてくれた人

平田雅彦さん/平田肛門科医院院長。著書に『マンガでわかる痔の治し方』(小学館集英社プロダクション)

イラスト/勝山英幸

※女性セブン2023年2月16日号
https://josei7.com/

●「痔」に悩む女性がステイホームと更年期で急増中 血便はがんの恐れも!自己判断せず受診を

●女性に多い便秘と痔の悩み 血便が出たら受診を!便秘解消のポイントも解説

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